最近よく聞く「腸内フローラ」って何ですか? 整えると何がいいのでしょうか?


よく聞く「腸内フローラ」って何ですか?

「腸活」に注目が集まっている今、腸内フローラという言葉もよく耳にするようになりました。しかし、腸内フローラとは一体何なのか、なぜ整えるといいのか詳しくご存知でしょうか。今回は、腸内フローラについて管理栄養士に解説していただきました。

腸内フローラとは?

Q. まず「腸内フローラ」とはなんですか?

A. 簡単に言えば腸内に生息する細菌たちの集団のバランスのことです。動物に例えると色んな種類の動物たちの「群れ」が腸内にいるということになります。

Q. どのぐらいの数の細菌が腸内に生息しているのでしょうか?

A. 人間の腸内細菌は約1000種類以上、100兆個も生息しているといわれており、体重の1~2kgを占めます。これだけ多いので種類の組み合わせには個人差があり、種類によって働きが異なります。

Q. 「腸内フローラ」という名前は綺麗なイメージですが名前の由来はありますか?

A. フローラとは「お花畑」という意味になります。腸内に色んな種類の細菌がびっしり生息していることから、お花畑をイメージして「腸内フローラ」と呼ばれています。細菌と聞くと少し気持ち悪いかもしれませんが、お腹の中のお花畑と考えると綺麗に育てたいという気持ちになりますよね。

腸内フローラを整えよう

Q. それでは「腸内フローラ」はどんな状態だと整っているといえるのでしょうか?

A. 腸内細菌は、腸の調子を整える「善玉菌」、調子を悪くする「悪玉菌」、どちらにも属さず多いほうに加勢する「日和見菌」の3種類に大きく分けられます。「善玉菌」を増やして「悪玉菌」よりも多くすることが腸内環境を整えることになります。

Q. 「善玉菌」はどのような働きがあるのでしょうか?

A. 善玉菌は腸の動きを促すことで便秘の解消に作用したり、ほかの善玉菌の増殖を促したり、悪玉菌の増殖を抑えたりします。したがって、善玉菌を増やすこと自体が、悪玉菌を増やさないことに直結するといえます。また、お腹の調子を整えるのはもちろん、免疫機能を高めたり、ビタミンを産生したりする働きもあるため善玉菌は健康維持に欠かせない存在です。

Q. 一方の「悪玉菌」はどのように作用するのでしょうか?

A. 悪玉菌は腸内のたんぱく質を腐敗させて有害物質をつくりだします。「善玉菌」とは逆に便秘や下痢などお腹のトラブルを引き起こす原因となります。また、肥満や発がん性とも関係があると言われており、加齢とともにその数は増える傾向にあります。「悪玉菌」は、脂質やたんぱく質を好むため、脂っこいものやお肉中心に偏った食生活をおくっている人は増殖している可能性が高まります。

腸内フローラのバランスを整えるには?

Q. 善玉菌はどのような食品に含まれているのでしょうか?

A. ヨーグルト、納豆、キムチ、味噌などの発酵食品に多く含まれています。ビフィズス菌や乳酸菌は特に有名ですね。また、善玉菌そのものを摂取するのも大切ですが、腸内フローラを整えるには善玉菌のエサになるものを摂取することが重要です。

Q. 善玉菌のエサはどのようなものですか?

A. 食物繊維とオリゴ糖を摂取することで善玉菌のエサとなり、善玉菌がより効果的に働いてくれます。特に食物繊維は「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」分けられ、このうち「水溶性食物繊維」が善玉菌のエサになり、便秘の解消にもなります。水溶性食物繊維は、キャベツ、大根、人参などの野菜類や大麦、イモ類に多く含まれ、オリゴ糖は玉ねぎ、ブロッコリー、バナナなどの野菜や果物に含まれます。下痢の場合は、キノコ類や豆類に多く含まれる「不溶性食物繊維」を多めに摂るのがおすすめです。その時のお腹の調子によって食べる野菜を調整するといいでしょう。

Q. 腸内フローラを整えると身体にどのような効果がありますか?

A. まず「善玉菌」が優勢になり「悪玉菌」が減ることから、お腹の調子が良くなり、病気にかかりにくくなる免疫機能のアップなど健康維持効果が期待できます。ほかにも、「悪玉菌」が肥満体質や発がん性リスクと関係があることから肥満防止やがんの防止にもつながるでしょう。さらにアレルギーや生活習慣病の防止、美肌やうつ病との関わりについても研究が進められています。


落合 美月(管理栄養士)

和洋女子大学家政学部健康栄養学科卒業。卒業後は、美容皮膚科のスタッフとして勤務。現在は管理栄養士のライターとして、正しくわかりやすい情報を発信中。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
免責事項(Medical DOCサイトへ)

医師への24時間相談サービス 詳しくは「first call」へ

このコラムを読んだ方におすすめのアプリ

医師への24時間相談サービス

相談し放題になる、「dヘルスケア」有料利用についてはこちら

健康に関するちょっとした相談にも、医師が丁寧に回答。チャットで24時間気軽に医師に相談できます。