「8000歩以上のウォーキングを週1~2日」で10年後の死亡リスク低下


	「8000歩以上のウォーキングを週1~2日」で10年後の死亡リスク低下

京都大学らの研究グループは「8000歩以上のウォーキングを週1~2日続ければ、10年後の死亡リスクが大きく低下する」という研究結果をまとめました。このニュースの詳細について医師に解説していただきました。

研究グループが発表した内容とは?

今回、京都大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。

京都大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)らの研究グループは、アメリカの成人が1週間のうち十分な歩数を歩いた日数と死亡率との間にはどのような関連があるのかを調べました。対象となったのは平均50.5歳の男女3101人で、歩数や年齢、性別、病歴などと、10年後に心筋梗塞や脳梗塞などで死亡するリスクを解析しました。

その結果、1日8000歩以上を週1~2日歩く人の10年後の全死亡リスクは、週1日も8000歩以上歩かない人と比べて14.9%低くなりました。また、1日8000歩以上を週3~7日歩く人は週1日も8000歩以上歩かない人と比べると、死亡リスクは16.5%低下しました。歩数などの条件を変えて調べると、1日に歩く歩数が6000歩を超える日が全くないと死亡リスクは大きく上昇しましたが、「週1~2日、1日8000歩」の健康効果は「週3~7日、1日1万歩」と同じ程度だったとのことです。

研究グループは「今回の研究結果は、週に1~2日程度でも目標歩数を達成することが健康に十分良い影響をもたらす可能性を示唆します。運動の時間を確保できない人や、仕事の都合上定期的な運動が難しい人でも、週に数日間だけ歩く習慣を取り入れることで健康リスクを低減できる可能性があり、現代社会の働く世代や高齢者にとって重要なエビデンスとなることが期待されます」とコメントしています。

研究結果の受け止めは?

京都大学らの研究グループが発表した内容についての受け止めを教えてください。

「健康のために歩きましょう」「1日1万歩を目標にしましょう」と昔から言われてきましたが、その発言には根拠がありませんでした。しかし、たくさん歩く人は健康な人が多いということはよく知られており、経験的に医学的な指導がなされてきた経緯があります。

今回のこの研究結果は、この経験的な提言に裏付けをしたということで、注目すべき研究結果と言えます。もちろん、この結果を100%そのまま信用していいのかという問題はあります。例えば、1日8000歩歩く人はもともと健康に留意している人が多くいるため、「歩数以外にも食事や睡眠時間などの様々な健康に関与する事柄に気を遣っているから効果が出ているのではないか」ということも考えられるでしょう。しかし、この点に関しても、歩数以外の条件がなるべく一致する条件になるように留意した統計解析をおこなっており、信頼性は高いと言えます。また、「1万歩まで至らなくても8000歩で十分効果がある」と具体的に必要な歩数を示した初めての研究になります。今後はこの研究結果にならって、1日8000歩を目標にするような指導がおこなわれていくと考えられます。

ウォーキングをする際に気をつけることは?

今回紹介した研究では、週1~2日に8000歩以上歩くことでも十分健康効果があることが示されましたが、ウォーキングをする際に気をつけるべきことはありますか?

せっかく健康のためにウォーキングするのであれば、効果の高いウォーキングをすることが推奨されます。例えば、姿勢を意識するだけでも変わります。前屈み、猫背でウォーキングすると腰椎や足首に負担がかかり、痛みの原因になります。そのため、視線はまっすぐにし、正しい姿勢でウォーキングするようにしましょう。また、歩く際には腕をしっかり振ることで全身の運動となり、効果が増強します。一方で「階段を上ったり、走ったりすると効果がさらにあるのではないか」と思われるかもしれませんが、過度な運動は膝や股関節に負担をかけてしまい、やはり痛みを起こしてしまいます。したがって、ご自身の体調に合った運動強度をおこなうのがいいでしょう。もし関節に不安がある中で運動強度を上げたいのであれば、プールでの水中ウォーキングがおすすめです。


郷 正憲(医師)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、ICLSコースディレクター、JB-POT。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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