「コーヒーで薬を飲むのは危険!」その理由を薬剤師が解説
薬をコーヒーで飲んではいけないという話を聞いたことがありますか? そもそも薬は、水やお湯で飲むのが正しい飲み方で、水以外の飲み物で飲まない方がいいことをご存知の方も多いと思います。では、なぜコーヒーで飲んではいけないのでしょうか。
なぜコーヒーで薬を飲んではいけない? 水で服用することが推奨される理由とは
Q. なぜコーヒーで薬を飲んではいけないのですか?
A. コーヒーで薬を飲んではいけない理由はいくつかあります。まず、最大の理由は「コーヒーにカフェインが入っていること」です。カフェインが薬の効果を強めたり弱めたりすることがあるため、コーヒーで薬を飲んではいけないと言われているのです。また、薬自体にもカフェインが入っている場合もあり、カフェインは摂りすぎると危険ですので注意が必要です。ほかにもコーヒーそのものが胃を荒らしやすいというのも薬と一緒に飲まない方がいい理由の1つです。
Q. ノンカフェインのコーヒーであれば、薬を服用しても大丈夫でしょうか?
A. 基本的にはやめたほうがいいでしょう。薬というのは水やぬるま湯で飲むことで効果を正しく発揮できるように設計されています。薬の種類によってはグレープフルーツジュースと一緒に飲むと効果に影響が出るものもあります。
Q. 薬を飲むときに水が必要である理由について教えてください。
A. 薬を飲むとき、からだの中に入る経路としては、口から入り、食道、胃と順に進んでいきます。表面が粘膜でできている組織を通るため、水がないと途中で張り付いてしまったり粘膜を傷つけてしまったりする可能性があります。体内に正しく届かないことで効果がしっかり発揮できないこともあるので、水で服用するようにしましょう。水なしで飲めるようになっている薬(OD錠など)は大丈夫です。
薬をコーヒーで服用した際に考えられるリスクとは 薬によって効果を強めたり弱めたりすることがある?
Q. 薬をコーヒーで服用するとなにが起こりますか?
A. カフェインが含まれる薬は、コーヒーで服用するとカフェインを過剰に摂取してしまうおそれがあります。ほかにも、カフェインとの相互作用でしっかりと薬の効果が得られなくなったり、逆に効果が強く出すぎてしまったりするというリスクもあります。
Q. コーヒーではなく、お茶や紅茶などで服用するのもダメですか?
A. お茶や紅茶にもカフェインは含まれます。むしろコーヒーよりも多くのカフェインを含む場合もありますので要注意です。水で服用するようにしましょう。
Q. コーヒー自体にも副作用がありますか?
A. コーヒーの副作用というよりはカフェインの副作用ということですね。コーヒーを飲みすぎるとカフェインを摂りすぎてしまうので注意が必要です。コーヒー自体は適量を飲むことでリラックス効果があったり、抗酸化作用を持つポリフェノールを含むのでがんや動脈硬化の予防になったりというメリットもあります。何事も適量を守るということが大事ですね。
コーヒーと飲み合わせで特に注意したい薬とは 服用後すぐにコーヒーを飲むのも危険?
Q. コーヒーとの飲み合わせが特によくない薬はどのようなものがありますか?
A. カフェインを含む薬以外にも、睡眠導入剤や気管支喘息の薬、痛風の薬なども飲み合わせがよくないと言われています。カフェインの覚醒作用は、睡眠導入剤の効果を邪魔してしまいます。また、カフェインは気管支喘息の薬に含まれる「キサンチン誘導体」という気管を拡げて呼吸を楽にする薬と同じような働きをするので、気管支喘息の薬の副作用を強めてしまう可能性もあります。ほかにも、カフェインは尿酸と形が似ているので、痛風の薬で尿酸ではなくカフェインを排出してしまい、尿酸が排出できず効果が発揮されにくくしてしまうおそれもあります。
Q. 薬を服用した後、どのくらい時間をあければコーヒーを飲んでもいいですか?
A. 薬を服用する前後30分はコーヒーを飲まない方がいいでしょう。もちろん、緑茶や紅茶にもカフェインが含まれるので緑茶や紅茶も同じくらいあけた方がよいです。
Q. ニコチンガムもコーヒーと組み合わせてはいけないのですか?
A. やめたほうがいいですね。コーヒーなどの酸性飲料と併用してしまうと、口腔内のpHが低下してニコチンが吸収されにくくなります。実際にもコーヒーと併用してニコチンガムがあまり効かなかったという事例もあるようです。
鈴木 智哉(薬剤師)
星薬科大学薬学部薬学科卒業。卒業後調剤併設ドラッグストアであるスギ薬局に就職。処方箋、OTCと様々な業務を学びつつ2015年から管理薬剤師として従事。ただ説明するだけでなくプラスアルファの知識を届けられるよう日々活動。研修認定薬剤師。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
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