肉食による大腸がんのリスクを専門医が解説 鶏肉・赤身肉・加工肉など種類による違いはあるのか?


肉食による大腸がんのリスクを専門医が解説 鶏肉・赤身肉・加工肉など種類による違いはあるのか?

「肉をよく食べる人は大腸がんになりやすい」という話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか? また、「ソーセージやハムなどの加工肉を食べすぎると危険」と言われることもありますが、実際のところどうなのでしょう。

肉食によって大腸がんのリスクが高まるって本当? 発がん性の理由を消化器の専門医に聞く

Q. 肉をよく食べる人は大腸がんのリスクが高くなると聞いたことがあります。本当でしょうか?

A. 研究により、肉食と大腸がんのリスクには相関関係があることが示されています。たとえば、国立がん研究センターが過去に行った研究によると、「赤肉の摂取量が多いグループで女性の結腸がんのリスクが高くなった」「肉類全体の摂取量が多いグループで男性の結腸がんリスクが高くなった」という結論が得られています。

Q. なぜ、肉をよく食べると大腸がんのリスクが高まるのですか?

A. 「肉」と一口にいっても大腸がんとの相関関係が指摘されるのは、赤肉です。赤肉とは、一般的に牛肉、豚肉、羊肉のように見た目が赤い肉のことを言います。赤肉には亜鉛とヘム鉄が多く含まれており、亜鉛は大腸がんのリスクを軽減する働きをしますが、反対にヘム鉄は大腸がんリスクを上げてしまうことがわかっています。

Q. 生肉だけでなく、ハムやベーコン、ソーセージなどの加工肉も大腸がんのリスクを上げると言われますが。

A. ハムやベーコン、ソーセージなどを加工する過程で、硝酸塩や亜硝酸塩などの添加物が使用されます。これらは、加工肉の鮮度維持や防腐を目的として使用されるのですが、実は、これらに発がん性があるため、大腸がんのリスクを上げるとされているのです。もちろん大腸がんだけに限らず、がん全体のリスクが上がります。

鶏肉は赤身肉(牛肉・豚肉)や加工肉(ハム・ソーセージ)と比べて大腸がん発症のリスクが低いのはなぜ?

Q. 鶏肉は赤肉ではないですよね。赤肉や加工肉に比べて、大腸がんの発症リスクが低いのですか?

A. これまでの研究により、鶏肉には大腸がんのリスクが赤肉に比べて低いだろうとされています。かつて、国立がん研究センターが行った研究によれば、牛肉、豚肉、加工肉は結腸がんのリスク上昇と関連性が認められたのに対し、鶏肉は優位な関連は認められなかったということです。

Q. それはなぜですか?

A. 鶏肉は赤肉に比べて低カロリーで、脂肪が少なく、良質なタンパク質を多く含みます。「脂肪が多い肉を食べると大腸がんや乳がんのリスクを上げる」ということも、これまでさまざまな研究で明らかになっており、その点、低脂肪でヘルシーな鶏肉は、がんのリスクを上昇させることがないだろうと言われています。

Q. 鶏肉だったら、どれだけ食べてもいいのですか?

A. もちろん調理法も大事です。揚げた鶏肉ばかり食べていては脂肪分が高く、がんだけでなく肥満や生活習慣病などのリスクを招いてしまいます。魚や野菜などとともに、バランスよく摂ることが大事です。

肉が好きな人は摂取量を抑えれば良い? 大腸がんの予防には鶏肉や野菜中心の食生活が必要? 正しいがん予防は?

Q. 牛肉や豚肉、加工肉が大好きでやめられないという人は、どういうことに気をつけたら良いでしょうか?

A. 2007年に改訂された「世界がん研究基金(WCRF)」と「米国がん研究協会(AICR)」による報告書では、赤肉の摂取量は週に500g未満にすることを推奨しています。毎日、牛肉や豚肉をたくさん食べているという人は、自分が食べている量を見直し、これを下回る摂取量に減らすことを検討すると良いでしょう。なかには、硝酸塩や亜硝酸塩を含まない無添加の加工肉も販売されていますから、そういったものを選ぶのも良いのではないでしょうか。

Q. 肉は鶏肉に変えた方が良いのですか?

A. 鶏肉は高タンパク低脂肪でとても優秀な食材です。ただ牛肉や豚肉、羊肉などの赤肉には鉄分やビタミン類などが豊富に含まれています。「赤肉を食べすぎない」ように気をつけつつ、バランスよく取るのが良いのではないかと思います。

Q. ほかに、食習慣で気をつけることはありますか?

A. 大腸がんを予防するために大切なことは、常に腸内環境をよくしておくことです。そのためには食物繊維をたくさん摂るようにしましょう。例えば、野菜や果物、海藻類、きのこ類などを積極的に摂るといいでしょう。また禁煙をする、過度な飲酒を避ける、運動習慣を身につけることも大切です。生活習慣に気をつけることで、大腸がんは十分予防できる病気です。ぜひご自分のライフスタイルを見直してみましょう。


浜野 徹也(浜野胃腸科外科医院)

杏林大学医学部卒業。立川相互病院、東京女子医科大学八千代医療センターを経て、2021年浜野胃腸科外科副院長就任。東京女子医科大学八千代医療センター内視鏡科非常勤講師、東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科非常勤医師、千葉県がんセンター消化器内科非常勤医師。日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本内科学会認定医、日本胆道学会認定指導医。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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