金属アレルギーに使える薬の種類と選び方


金属アレルギーに使える市販薬|薬の種類や選び方を解説

金属アレルギーは原因や症状によって、局所性と全身性接触皮膚炎の2種類に分けられます。全身性は病院の受診が必要ですが、局所性はステロイド配合の塗り薬などで対処できます。この記事では、局所性の症状に使える薬の種類と選び方を解説します。

金属アレルギーとは?

金属アレルギーとは、金属と皮膚や粘膜が接触することで生じるアレルギー性の接触皮膚炎です。

金属アレルギーは、原因や症状によって、局所性接触皮膚炎と全身性接触皮膚炎の2種類に分けられます。

  局所性接触皮膚炎 全身性接触皮膚炎
原因 ・アクセサリーなどの金属が直接肌に触れる ・歯科治療で使われる銀歯などの金属や、食品に含まれる
金属が体内に吸収され、血流にのって全身に広がる
症状 ・皮ふの赤みやブツブツ、腫れ、かゆみ など ・皮ふの赤みやブツブツ、腫れ、かゆみ
・喘息、動機、腹痛、嘔吐 など
症状発現部位 ・金属が直接触れた部位 ・部位を問わず、全身

真鍮も金属アレルギーになる?

金属アレルギーは、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、金、水銀などの金属が原因となることが多いといわれていますが、真鍮も金属アレルギーを引き起こすことがあります。

金属アレルギーに使える市販薬の選び方

金属アレルギーを治すためにはまず、原因となる物質との接触を避けることが大切です。

また、金属アレルギーのなかでも、局所性接触皮膚炎の症状は市販薬で対処できますが、全身性接触皮膚炎は原因を特定しづらく、他の病気の可能性もあるため、病院での受診が必要です。

局所性接触皮膚炎の症状に使える市販薬については、ステロイド成分配合の塗り薬や抗ヒスタミン成分配合の飲み薬などがあり、それぞれの使い分けは次の通りです。

  使い方
ステロイド成分配合の塗り薬 ・かゆみ・かぶれが生じている患部に直接塗る
抗ヒスタミン成分配合の飲み薬 ・かゆみがひどい場合に補助的に用いる

ステロイドには5段階のランクがあります

ステロイドの塗り薬は、作用の強さによって5段階にランク分けされており、症状や部位などに応じて適した強さが異なります。

5段階のうち、ストロンゲストとベリーストロングは病院で処方される処方薬のみで、市販薬は、ストロング、ミディアム、ウィークの3段階に限られています。

また、ステロイドには免疫抑制作用もあり、化膿している(細菌に感染している)皮膚に使うとかえって悪化するおそれがあるため、注意が必要です。市販薬使用の際は、添付文書を確認しておきましょう。

金属アレルギーに使える塗り薬

剤形別の特徴と適した部位

金属アレルギーに使える塗り薬は、軟膏やクリームなどがあります。

それぞれの特徴をもとに、ご自身の症状や好みに合わせて選びましょう。

  特徴
軟膏 ・患部にしみにくい
・保護力に優れている
・べたつき感がある
クリーム ・伸びが良く広範囲に塗りやすい
・軟膏よりべたつきが少ない
・患部の状態によってはしみることがある

金属アレルギーに使える飲み薬

金属アレルギーによるかゆみが特に気になる場合には、塗り薬に加え抗ヒスタミン成分配合の飲み薬を補助的に用いることができます。

抗ヒスタミン成分について

抗ヒスタミン成分は、体内でアレルギー反応の原因となるヒスタミンの作用をブロックし、皮ふのかゆみを鎮めます。

抗ヒスタミン成分のなかでも『アゼラスチン塩酸塩』は、アレルギー反応をおさえる作用と炎症を鎮める作用をあわせ持っています。そのため、金属アレルギーによる皮ふのかゆみだけでなく、腫れも鎮め、悪化させないようにします。

金属アレルギーによるかぶれのケア

金属アレルギーは、特定の金属に一度反応してしまうと、その金属に対するアレルギーが2度と起こらないようにアレルギー自体を治療することは難しいです。

ただし、原因物質がわかっているときは、その物質に触れないようにすることで、ある程度症状をコントロールすることができます。

原因が特定できている場合

原因が特定できている場合は、市販薬(ステロイド外用剤もしくは抗ヒスタミン内服薬)をお試しいただくか、もしくは次にあてはまる場合、なるべく早く皮膚科を受診することで、症状の改善を目指していきます。

皮膚科受診の目安 ・市販薬を試しても良くならない
・長期にわたってかぶれがおさまらない
・症状が重く、かき壊すおそれがある
・眠れないほど、かゆみがひどい
・範囲が広範囲に及んでいる
・水ぶくれが生じている
・発熱、だるさなど皮膚以外に症状がある など

原因がわからない場合

金属アレルギーの原因がわからない場合は、まず病院を受診していただくことをおすすめします。その上での治療方法は医師の判断によりますが、たとえば金属アレルギーかどうか判断するために、パッチテスト(金属アレルギー検査)を行い、具体的な治療方針を検査結果をもとに決定します。

原因物質が特定された場合は、原因物質との接触を断つようにします。さらに、ステロイド外用薬などを使用して、症状の改善をはかります。

いつ、どこで発症したかを考えてみる

金属アレルギーの原因がわからない場合は、さらに、症状がどんなときに、どんな場所で出たかを意識してみるとよいでしょう。

たとえば、「お休みの日にいつも使っている化粧品を使用しないと、肌の調子がいい」場合は、もしかしたら化粧品に含まれている金属が原因かもしれません。

また、「家にいるときにも、外に出ていても症状がでる」場合は、日常的に使っているものに原因があるかもしれません。

金属アレルギーの予防法

金属アレルギーによるかぶれを改善するためにはまず、原因となるものを特定して避ける、触れないようにすることが大切です。

原因となる物質を含むアクセサリー類を身につけないようにすることで発症を防ぐことができます。原因となる物質は、皮膚科でパッチテスト(金属アレルギー検査)を受けることで特定できることがあります。

金属アレルギーによる症状の悪化を防ぐためにも、日常生活で次のことを心がけましょう。また、日頃から肌を清潔に保ち、皮ふの刺激に対する抵抗力を高めておきましょう。

汗に触れないようにする・汗をふきとる

金属アレルギーは、金属が汗をかいた肌に触れたり、体内に吸収されたりすることで起こります。

これは汗によって金属がイオン化するためです。

汗ばむ夏場や、スポーツなどで汗をかきやすいときは、金属類をはずしたり、直接皮ふに触れないように工夫しましょう。

また、汗をふく用にタオルやハンカチを持ち歩くのもよいでしょう。

できるだけ刺激を避けましょう

かぶれは、症状がある場所をこすったり、いじったりすると悪化する可能性があるため気をつけましょう。

また、お酒や辛いものをとると、体温が上昇し、かゆみを強く感じるようになります。かゆみが強くなると、皮膚をかきこわすことで、患部に細菌が侵入・増殖して症状を悪化させるおそれもあります。

お酒や辛いものなどの刺激物は控えめにしましょう。

そのほか、長風呂や熱いお湯に入るのは避け、お湯の温度を少し低めにしたり、気になるときにはシャワーで体を流す程度にとどめるようにしましょう。

紫外線に気をつける

炎症を起こした場所に紫外線が当たると、茶色く跡が残り、色素沈着が起きやすくなります。

症状がある場所は、できる限り紫外線をあてないようにするか、早めのケアを行いましょう。


ミナカラ薬局 薬剤師 高橋 伊津美

(経歴)
昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ/ ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル


引用:「ミナカラメディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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