「膀胱がん」の初期症状とセルフチェック方法を解説 !頻尿・血尿などの異変に要注意!

突然、何の兆候もなく血尿がみられることで発見されるケースが目立つ「膀胱がん」。痛みをほとんど伴わないため見逃すことも多く、進行してから気づくという人も少なくないそうです。一体、どのような症状に気をつければいいのかについて、医師に教えていただきました。
血尿や頻尿は膀胱がんのサイン? 膀胱がんの初期症状をチェック!
Q. 膀胱がんには、どのような初期症状があるのですか?
A. 初期症状で最も多いのは、痛みなどの症状がなく血尿が出る「無症候性肉眼的血尿」です。尿が血の色で赤色やピンクになるのが特徴です。
Q. ほかには、どのような初期症状がありますか?
A. 膀胱炎のような症状が出ることがあります。例えば、頻尿、残尿感、排尿時痛などを自覚する場合があります。
Q. 「そうした症状がみられて、受診したらがんが見つかった」という人が多いのですか?
A. はい。そのほかにも健康診断の尿検査で、潜血反応を指摘されて受診する患者さんもいます。これは顕微鏡的血尿と言い、目に見えて血尿が出ているわけではなく、顕微鏡で見て血液成分がわかります。
喫煙・飲酒は膀胱がん発症のリスクを高める? 膀胱がんに多い原因と予防法
Q. 膀胱がんの発症リスクを高める原因はなんですか?
A. 膀胱がんのリスク要因としては、「喫煙」が考えられます。タバコを吸わない人と比較して、現在喫煙している人は4倍、以前喫煙していた人は2~3倍膀胱がんになりやすいことがわかっています。
Q. なぜ、喫煙が関係しているのですか?
A. タバコの煙には様々な発がん物質が含まれており、血流に乗って全身を回った後、濃縮されて尿の中に排泄されます。そのため、膀胱の粘膜は常に発がん物質にさらされることになり、がんが発生するのではないかと考えられています。
Q. そのほかにも原因はありますか?
A. アニリン色素などの合成染料や、ナフチラミやナフチラミンなどの特殊な化学薬品も膀胱がんの発症リスクを高めます。そのほか、抗がん剤のシクロフォスファミドや、腎障害を起こすとして販売中止になった鎮痛剤フェナセチンなども、膀胱がんの発症リスクを高める要因として知られています。
Q. 膀胱がんを予防するには、どうしたらいいでしょうか?
A. まずは禁煙が必要です。男女比で見ると、男性に多く発症することがわかっています。特に喫煙している男性はリスクが高いので、禁煙を推奨します。
膀胱がんになったら手術・治療で治る? 膀胱がんの検査・診断から治療法まで進行度別に泌尿器科医が解説
Q. 膀胱がんの検査や診断は、どのようにおこなわれるのですか?
A. 膀胱がんの診断には、尿検査、超音波検査、膀胱鏡(内視鏡)検査などをおこないます。また、MRI検査もして、がんがどれくらいの深さなのかを確認したり、CT検査でほかの臓器への転移を調べたりします。
Q. 膀胱がんと診断された場合、どのように治療するのですか?
A. まずは病期を区分します。一般に「T:局所でのがんの進展度」「N:骨盤内リンパ節転移の有無と程度」「M:ほかの臓器への転移の有無」という3つに分け、病期を分類します。この分類をおこなうために、診断と治療を兼ねて「TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)」をします。TURBTは、尿道を通して膀胱内に内視鏡を入れ、電気メスで腫瘍を切り取る手術です。
Q. その後は?
A. TURBTで採取したがん組織を顕微鏡で調べて、悪性度と深達度(がんの深さ)を評価します。筋層までがん細胞が浸潤していない「筋層非浸潤性膀胱がん」であるとわかった場合は、いわゆる「ステージ1」です。この場合、手術で根治できる可能性もあります。また、筋層浸潤性膀胱がんであっても転移がない場合は、膀胱全摘除術が標準治療です。膀胱周囲の臓器までがんが浸潤している、あるいは転移があるなど、がんが進行している場合には薬物療法を検討します。

磯野 誠(所沢いそのクリニック)
防衛医科大学校卒業。その後、デュッセルドルフ大学泌尿器科、恵佑会札幌病院泌尿器科、我孫子東邦病院泌尿器科などで経験を積む。2023年、埼玉県所沢市に「所沢いそのクリニック」を開院。老若男女問わず元気で豊かな生活を送れるよう、一人ひとりに最適な医療を提供する。医学博士。日本泌尿器科学会専門医・指導医。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
※記事内容は執筆時点のものです。
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