夜よりも朝に食物繊維を摂るべき理由とは?「食物繊維」と「腸内環境」の関係を解説


夜よりも朝に食物繊維を摂るべき理由とは?「食物繊維」と「腸内環境」の関係を解説

皆さんは「腸内環境」が私たちの健康にどれほど影響を与えるかご存知でしょうか? 体には数多くの細菌が住んでおり、そのバランスが崩れると、ストレスや免疫異常の原因になることがあるようです。また、最近の研究では食事のタイミングが腸内環境に影響を与えることがわかってきています。今回は、腸内環境の基本や食事での改善方法について、時間栄養学の専門家の准教授と管理栄養士に解説していただきました。

腸内環境とは?

Q. 漠然と使ってしまっていたのですが、改めて「腸内環境」とはどのようなものですか?

A.
消化管には10兆から100兆個の細菌が存在すると言われています。腸内環境とは、消化管に住む微生物の集合体を示したり、消化管に存在する食・栄養、さらには消化管そのものとの相互作用により作り出される環境のことを示したりします。

Q. 腸内環境が良い状態・悪い状態とはどのような状況なのですか?

A. 消化管には、様々な種類の腸内細菌が住んでいます。腸内細菌の良い状態とは、その細菌たち(細菌叢)のバランスが取れた状態のことをいいます。一方で、悪い状態とは、細菌叢のバランスが崩れて、ストレスなどに対して適応できなかったり、免疫異常が起こったりしている状態を示します。

Q. 腸内環境は、食事のタイミングや内容に影響を受けるのですか?

A. 私たちが食べた物の一部は、腸内細菌の栄養源としても利用されます。そのため、食事の内容によって腸内細菌の量や種類、バランスが変化します。また、腸内細菌は私たちの生活リズムと同様に、24時間のリズムを持って増減を繰り返しています。なので、食事のタイミングも腸内細菌に影響を与えます。

腸内環境を整えるカギは食物繊維?

Q. 腸内環境を改善するためには、どのような点に注意すると良いですか?

A. 一番は食事内容です。食物繊維を豊富に含む食品や、発酵食品を積極的に摂取すると良いですね。脂っこい食事や、過度な糖分の摂取は控えるように心がけましょう。また、十分な水分の摂取は、腸内の排泄がスムーズになるため、重要です。

Q. 特に食物繊維が重要である理由を教えてください。

A. 特に水溶性の食物繊維は、腸内細菌の餌になり、短鎖脂肪酸という私たちの体の機能を助ける成分を生成してくれます。短鎖脂肪酸は、免疫機能の調節、血糖値の調節、さらには体内時計の調節にも役立ちます。一方で、不溶性の食物繊維は、水分を保持し、便通改善効果があります。

Q. 食物繊維はいつ摂ると良いですか?

A. 日本人は、食物繊維の摂取が全体的に不足していますので、毎食摂取するよう心がけることが大事です。一方で、朝食と夕食で食物繊維を摂取し比較した研究では、朝の摂取の方が、より血糖低下作用や、便通改善、短鎖脂肪酸の分泌が見られました。もし1日1回摂取するのであれば、朝がおすすめです。

腸内環境を整えるためのポイントとは

Q. 朝食で食物繊維を摂れるおすすめの食事はありますか?

A. 主食のご飯やパンだと、精製されていない玄米や雑穀米、全粒粉パン、ライ麦パンに食物繊維が豊富です。シリアルも食物繊維が豊富なものを選ぶとよいでしょう。ほかにも野菜や海藻、きのこ、豆類、フルーツにも食物繊維が含まれています。

Q. 昼食や夕食時の食物繊維摂取には、どのようなメリットはありますか?

A. 夕食時は1日の中で一番血糖値が上がりやすく、食後の血糖スパイクに注意が必要です。食物繊維や、それによって生成される短鎖脂肪酸は、血糖調節に役立ちます。なので、昼食、間食、さらには夕食時の食物繊維摂取は、血糖調節に良い効果をもたらします。

Q. 脂っこいものは腸内環境を悪くしますか? もし食べたくなった際には、食べるタイミングのコツなどあれば教えてください。

A. 脂っこい料理をよく食べる人は、腸内環境を悪くしやすくなる場合があります。食物繊維の豊富な野菜類、海藻類、キノコ類などを一緒に食べることで、その影響を軽減できます。


田原 優(広島大学大学院 医系科学研究科公衆衛生学 准教授)

早稲田大学にて博士(理学)取得。その後、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)留学などを経て現職。「食べるタイミング」を考える時間栄養学をメインに、睡眠や運動など日常行動まで取り入れた時間健康科学研究を進めている。著書に「Q&Aですらすらわかる体内時計応用法(杏林書院,編著,2022)」「体を整えるすごい時間割(大和書房,2019)」などがある。

市川 知美(管理栄養士)

管理栄養士。大学卒業後、病院の管理栄養士として勤務。県立広島女子大学(現・県立広島大学)大学院 修士(生活科学)取得。広島女学院大学 専任講師・准教授を経て2020年より現職。広島大学大学院 博士(口腔健康科学)取得。疾病予防の観点から、生活リズムおよび生活習慣、食事摂取に関する研究をおこなっている。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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