「気象病」になりやすい人の特徴はご存じですか?症状やセルフチェック法を医師が解説!

「雨が降ると頭が痛くなる」「季節の変わり目はいつもだるい」などの症状を感じている人はいませんか? もしかしたら、それは「気象病」かもしれません。一体、どのような症状が出たら、気象病が疑われるのでしょうか。また、検査や治療の方法も気になります。今回は医師に解説していただきました。
気象病とは?
Q. 気象病について教えてください。
A. 天候や気圧の変化などが原因となり、頭痛や倦怠感、首こり・肩こりなどの様々な不調が出現する疾患を気象病と言います。
Q. 具体的に、どのような症状が出るのでしょうか?
A.
一例として、以下のような症状が表れると考えられています。
・頭痛
・全身の倦怠感・だるさ
・肩こり・首こり
・めまい
・気分の不安定さ
・動悸
・目のかゆみ・鼻水・気管支ぜんそくなどのアレルギー症状
・布団から起き上がれない
・関節痛
・血圧が上下する
・手足のしびれ
Q. これらの症状が表れるのには、気象が関係しているのですか?
A. はい。気象病の原因となるのは、主に気圧、温度、湿度など気象の変化です。例えば、天気が悪くなる前後や梅雨の時期などに、このような症状を感じる人が多いですね。また、台風シーズンや季節の変わり目に症状が出る人も多いとされています。「明日天気が崩れそう」というような短いスパンでも症状が出ることも多い一方で、季節やシーズンのように長期的なスパンで出る場合もあります。
Q. 様々なタイミングで症状が出るのですね。
A. 中でも春先は気温の差が大きく、気圧の変化も大きい上に、乾燥しやすかったり、花粉が飛び始めたりします。そのため、体にかかる負担が増えて、症状に悩まされる人は少なくありません。
気象病が起きる仕組み
Q. なぜ、気象病が起きるのですか?
A. 「自律神経の乱れ」と「普段から蓄積していたストレスや疲労」が背景にあります。人間の体において、気圧の変化を感じるセンサーは「内耳(ないじ)」という、耳の奥の部分にあります。内耳が気圧の変化を感じ取ると、その信号が脳に伝わり、自律神経に影響を及ぼします。
Q. 自律神経の乱れについて、もう少し詳しく教えてください。
A. 通常、自律神経は「交感神経」と「副交感神経」が拮抗することでバランスをとっています。しかし、気圧や温度などの変化によって自律神経が影響を受けると、そのバランスが乱れて交感神経が過剰に優位になることがあります。そうなると、めまいや頭痛などの症状が起こるのです。
Q. 気象病になりやすい人の特徴はありますか?
A. 気圧の変化を感じる内耳の感受性がもともと高いことも、気象病を発症する原因になります。そのほか、普段からストレスや疲労が蓄積していると、自律神経のバランスを崩しやすいということもわかっています。
Q. どんな人に症状が出やすいのですか?
A. 男女比を見ると、約7割が女性であることがわかっています。なぜ女性の方が多いのかというと、ホルモンバランスの影響で不調が出やすいことや、男性と比べて筋肉量が少ないことが関係しています。
Q. 自律神経失調症と気象病は同じなのでしょうか?
A. いいえ、厳密に言うと違います。気象病はあくまでも気圧や気温、湿度などの気象条件が変化することで様々な症状が出現します。その一方、自律神経失調症は日常的なストレスや生活習慣の乱れなどが原因となって、自律神経のバランスが崩れることで起こります。ただし、両者の関係は深く、気象変化によって不調が起きると自律神経の乱れが起きますし、反対に自律神経が乱れている人は気象病を発症しやすいとされています。
気象病の診察と治療
Q. 気象病はどのようにして診察するのですか?
A. 気象病の場合、身体的な検査をおこなっても、明らかな異常がみられることはほとんどありません。しかし、場合によっては脳卒中や心筋梗塞などを併発していることもあります。そうした疾患が疑われる場合には、CTやMRIの画像検査や心電図検査などをおこなうこともあります。
Q. どのように治療するのですか?
A.
まずは、気象病かどうか正確に鑑別することが必要です。気象病かどうか調べるために、まずは次の質問に答えてみてください。以下のどちらかに該当した人は、ほぼ気象病と考えて間違いないと思います。
・天候が悪いときに体調が悪くなる
・雨が降る前など天気の変化がなんとなく予測できる
Q. 気象病が疑われる場合、どのような治療がおこなわれるのですか?
A. 私が臨床で多く使用しているのは、「五苓散(ごれいさん)」という漢方薬です。五苓散は、気圧を原因とした諸症状(頭痛、めまいなど)に対して効果が期待できます。実際、服用してもらった患者さんの多くは「症状がだいぶ楽になった」と話しています。また、症状が出ているときだけでなく、定期的に服用することで頭痛などの症状が出る回数が減ったり、症状が楽になったりする効果も期待できます。
Q. そのほか、どのような治療法がありますか?
A. 症状によって異なり、めまいには抗めまい薬を、片頭痛なら都度治療薬を使います。ただし鎮痛剤の場合、過度に服用すると薬物乱用頭痛になる可能性があります。そのため、服用する回数が月10回を超えているのであれば、頭痛の専門医などに相談することをおすすめします。
Q. そのほか、日常生活で気をつけることはありますか?
A. 日常生活においては、疲れを溜めないことやストレスを解消することが大切です。そして、「良質な睡眠をしっかりとる」「適度に運動する」「夜寝る前にはデジタル機器を使わない」といった心がけも重要です。
Q. そのほかに注意点はありますか?
A. 気圧予報のアプリもあるので、活用してみてはいかがでしょうか。もし明日、天気が崩れそうだなと思ったら、予定を少し空けておくなど、体調がつらくても行動できるようにアレンジしておくといいかもしれませんね。
Q. 気象病は何科を受診すればいいのでしょうか?
A. 頭痛がひどい場合には、脳神経内科や脳神経外科、頭痛外来に相談してください。また、めまいなら耳鼻科を、全身倦怠感や血圧などの様々な不調があれば総合内科を受診するといいでしょう。東洋医学もこの分野に強いので、相談してみるのもいいかもしれません。そのほか、躁うつなどメンタルの症状が出るときには心療内科や精神科が適しています。
Q. 気象病を専門で診てくれる医療機関はありますか?
A. 近年では気象病の認知度も上がり、気象病外来を設けている医療機関もあります。特に、先述した2つのチェック項目から気象病が強く疑われる場合には、気象病外来を受診することをおすすめします。
久手堅 司 医師(せたがや内科・神経内科クリニック)
東邦大学医学部医学科卒業。その後、東邦大学医療センター大森病院、済生会横浜市東部病院勤務。2013年、東京都世田谷に「せたがや内科・神経内科クリニック」を開院。一人ひとりの症状に向き合うことを大切にした診断と治療を提供している。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本神経学会神経内科専門医、日本頭痛学会頭痛専門医、日本脳卒中学会脳卒中専門医。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
※記事内容は執筆時点のものです。
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