その指の痛みや変形、もしかしたら現代病「スマホ指」かも!? 医師が症状や対策を解説


その指の痛みや変形、もしかしたら現代病「スマホ指」かも!? 医師が症状や対策を解説

メールや調べものだけでなくSNSや動画視聴なども、スマートフォン1つでなんでもおこなえるようになりました。しかし、便利になった反面、肩こりや首こり、目の疲れなど、スマホの使い過ぎによる体の不調も増えてきています。今回は、スマホの操作でとくに負担のかかる指にフォーカスを当てて、医師に解説していただきました。

最近よく聞く「スマホ指」とは? 症状や予防法を医師が解説

Q. 最近、「スマホ指」という言葉をよく聞くようになりました。

A. まず、医学用語として「スマホ指」という病名はありません。でもたしかに、スマホの使い過ぎによって手指が痛くなったり、変形してしまったりする人はいらっしゃいます。このような長時間のスマホ操作による手指の障害を総称してスマホ指と呼んでいるのだと思います。

Q. 具体的に、どのような症状があるのですか?

A. 親指と小指の痛みが特徴的です。スマホを操作する親指の使いすぎで、親指の付け根にある「CM関節」という部分が痛くなってしまうケースと、片手でスマホを持ったときにスマホの重さがすべて小指にかかってしまうため、小指が外側に変形してしまうケースが多いですね。

Q. スマホ指にならないためには、どうしたらいいのでしょうか?

A. 一番はスマホを極力使わないことですが、現代の生活ではなかなか難しいですよね。ですから、スマホの持ち方を工夫してみましょう。両手で持ち、両方の親指で操作するようにすると、それぞれの指の負担は半分になりますし、例えば左手でスマホを持ち、右手の人差し指で操作することもできます。また、リングのついているスマホケースも、小指にかかる負担を軽減してくれます。

医学的にスマホ指はどんな疾患なの? 整形外科医が解説

Q. では、スマホ操作のしすぎで親指が痛くなった場合、どんな状態が考えられるのですか?

A. 「親指が痛い」と言ってもメカニズムは様々なので、一概に「こうなっています」とは決められませんが、スマホ操作のしすぎで親指が痛くなった場合、「ばね指(屈筋腱腱鞘炎)」の発症が考えられます。また、親指の付け根にあるCM関節にゆるみが出て「CM関節症」となっているケースも多いですね。

Q. ばね指とは何ですか?

A. 親指に限らず、指には「屈筋」と呼ばれる関節を曲げる筋肉があり、それぞれの屈筋の端には「屈筋腱」があります。そして、その腱を滑らかに動かすために、「腱鞘」というトンネルがあります。この腱鞘と、その中を通っている屈筋腱がこすれ合って炎症が起き、ばね指を引き起こします。

Q. 指を使いすぎると、屈筋腱がこすれて炎症を起こすのですか?

A. そうですね。スマホを頻繁に触っている人のほかにも、「楽器などで指をよく使う人」「更年期で女性ホルモンの働きが低下している人」「関節リウマチの人」「透析を受けている人」などにもばね指がみられます。

Q. CM関節症についても教えてください。

A. 親指の付け根にある関節を(母指)CM関節と言います。CM関節は、スマホの操作だけでなく、箸や筆記用具を使ったり、ものを握ったり、つまんだりするときに負荷がかかります。加齢や使い過ぎなどにより、この関節部分にゆるみが生じた結果、軟骨がすり減って摩擦が生じて腫れや変形が起きるのがCM関節症です。発症するのは、男性と比べて女性の方が3倍ほど多く、とくに45歳以降で患者さんが増える傾向にあります。

スマホの使い過ぎで指が変形… 医療機関に受診する目安をご紹介

Q. では、小指の変形についてはいかがですか?

A. 小指はほかの指よりも関節が小さいため、スマホの重みを支え続けていると、痛みやしびれ、変形などを起こす恐れがあります。ばね指の可能性もありますが、腱鞘ではなく、指の関節の「関節包」に炎症が起こっているかもしれません。この場合、進行すると「変形性関節症」となる可能性もあります。

Q. もう少し詳しく教えてください。

A. 関節に重みがかかり続けることで、関節包に負担がかかり、炎症を引き起こします。炎症が繰り返されると関節包の組織が硬くなり、痛みを感じやすくなります。そして、いつの間にか軟骨部分が摩耗してしまい、先ほどのCM関節症と同様、小指の変形性関節症になりやすくなるのです。

Q. 医療機関に受診する目安はありますか?

A. 指を全く使わずに生活することはできません。そして、ばね指も変形性関節症も、使い続けることで悪化していく疾患です。早期に整形外科などの医療機関を受診することで、悪化を防ぐことができます。そのため、「少し指が痛いかな」「なんだか動かしにくいかも……」くらいのちょっとした症状でも、できるだけ早い段階で受診することをおすすめします。


横山 光輝 医師(よこやま整形外科 手とリウマチクリニック)

金沢大学医学部医学科(現・金沢大学医薬保健学域医学類)卒業。その後、金沢大学附属病院、金沢医科大学病院および各関連病院にて勤務医として研鑽を積む。2022年、石川県金沢市に「よこやま整形外科 手とリウマチクリニック」を開院。手外科専門医として手、手関節、肘関節などの上肢の疾患のほか、骨折、脱臼などの外傷治療、膝関節および股関節などの人工関節治療、脊椎疾患などの一般的な整形外科疾患治療を含め、多くの診療と手術に携わる。日本整形外科学会専門医・認定リウマチ医、日本手外科学会専門医。前職は金沢医科大学氷見市民病院整形外科教授。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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