【女性必見】イライラ・気分の落ち込み… 女性ホルモンの変化と心の不調の関係を医師が解説

心と体のバランスを保つ大切な役割を担っている「女性ホルモン」。年齢やライフステージによる変化が、気分の落ち込みやイライラなどメンタル面にも影響を与えることがあります。今回は、その仕組みと向き合い方について、医師に教えていただきました。
女性ホルモンの変化がメンタルに与える影響
Q. 女性ホルモンの変化で心の不調が起きると聞きますが、具体的にはどのような影響があるのでしょうか?
A. 「気分が落ち込む」「イライラする」「不安が強くなる」「眠れなくなる」など、不調は多岐にわたります。女性はホルモンの変化が大きく、特に生理前や出産後、更年期などのホルモンが急に変動する時期に、メンタルの不調が出やすくなります。
Q. PMS(月経前症候群)もその一種ですか?
A. PMSもホルモン変動による心身の不調の1つです。生理前になると情緒不安定や過敏、不眠、集中力の低下などが表れます。生活に支障をきたす場合は、PMDD(月経前不快気分障害)と診断されることもあります。
Q. 「PMSに悩んでいる女性が多い」という話はよく耳にします。
A. 「生理前になるとイライラしてつい食べ過ぎたり、意味もなく後輩にきつく当たったりする、でも生理が始まるとスッと楽になる」、そんな女性は多くいらっしゃいます。しかし、そうなると毎月のうち穏やかに過ごせるのは、ほんの半分くらいです。プライベートでは楽しみにしていた予定もキャンセルしてしまったり、仕事でも思うように力を発揮できなかったりして、毎月しんどい思いをしているのです。
Q. PMSに悩む女性は、どれくらいいるのでしょうか?
A. 調査によると、女性の7割がPMSを経験していることがわかっています。症状の重さは人それぞれですが、診察をしていると様々な悩みを抱えている患者さんに多く出会います。例えば、見た目はすごく可愛らしい女性でも、「お風呂に入れない」「化粧を落とさず玄関先で寝てしまった」「食器を洗う気力が出ない」というような悩みで受診するケースもありました。外からは元気で可愛らしく見えても、生活の中でそういった困りごとが出るのが、PMSのつらい部分と言えるでしょう。
Q. 産後うつや更年期うつもホルモンの影響ですか?
A. はい。妊娠・出産の後や、閉経の前後は女性ホルモンがガクッと減り、その変化に脳がついていけなくて、気分が落ち込んだり、不安が強くなったりします。特に産後の数週間~数カ月の時期や、更年期にあたる40代後半〜50代前半の女性にはよくみられます。
Q. 一般的な心の病気とは、どう違うのですか?
A. 女性ホルモンの変化による不調とうつ病や不安障害は、一見すると似ています。しかし、大きな違いは、女性ホルモンの変化による不調はホルモンの周期と関係していることです。症状に“波”があって、生理のタイミングなどと一緒に出やすいのです。ただし、症状が重くなると本当のうつ病を併発してしまうこともあるので注意が必要です。
女性ホルモンの変化がメンタルに影響を及ぼす理由
Q. なぜ、ホルモンの変化でメンタルまで不調になるのでしょうか?
A. 女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンは、脳の中のセロトニンやドーパミンにも影響しています。そのため、ホルモンのバランスが乱れると、気分が安定しなかったり、眠れなかったり、集中できなくなったりするのです。
Q. 注意が必要な年代はありますか?
A. PMSは10〜30代の女性に多くみられますが、最近は出産年齢が上がってきているので、妊娠・出産に関する不調はアラサーからアラフォー世代にかけて目立ちます。そして更年期に差しかかるアラフォー・アラフィフ世代では、更年期障害の悩みが出てきます。このように、年代ごとに抱える困りごとは変わっていきますが、女性は一生を通じてホルモンの影響を受けながら過ごしているのです。
Q. もともとの性格にもよって症状は異なりますか?
A. 几帳面だったり、責任感が強かったり、真面目なタイプの人ほど、ホルモンの変化の影響を強く受けやすい傾向はあります。そこに仕事や育児のストレスが重なると、症状が悪化しやすくなることも考えられるでしょう。
Q. 不調がみられる場合、ホルモンが原因かどうか、どう判断すればいいですか?
A. 「特定の時期に決まって不調が起きる」「周期性がある」などのパターンがヒントになります。症状が2週間以上続いたり、生活に支障があったりする場合には、ぜひ医療機関で相談をしてほしいと思います。
女性ホルモンによるメンタル不調の対処法
Q. 症状がつらいときは、どこに相談すればいいですか?
A. 婦人科または心療内科のどちらでも相談できます。近年は「女性外来」や「更年期外来」など、ホルモンとメンタルの両方を診る専門外来も増えています。1人で苦しまず、早めに受診することで症状の悪化を予防できるでしょう。
Q. 自然に改善することはないのでしょうか?
A. 女性の生涯は、ホルモンバランスの変化とともに進むようなものなので、何年にもわたって不調を抱えたまま過ごしてしまう人も少なくありません。それなら少しでも早く相談してもらった人が、治療が必要かどうかもすぐに判断できますし、漢方薬や西洋薬など、その人に合った処方を検討することができます。放っておいて自然によくなるケースは少ないので、迷っているなら早めに医療機関を受診した方が安心だと思いますよ。
Q. 治療法はありますか?
A. 症状に応じて、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬、抗うつ薬・抗不安薬などが使われます。重度でなければ、生活習慣の改善だけでも軽快することもあります。
Q. 日常生活でできる対策はありますか?
A. 基本になるのは、生活習慣を整えることです。しっかり睡眠をとって、栄養バランスの良い食事を心がけ、そして軽い運動やストレスを発散できる時間を持つことが大切ですね。
Q. ほかにも、自分でできることはありますか?
A. 個人的には、「アロマ」をおすすめしたいです。嗅覚は脳全体にダイレクトに働きかけるので、自分の好きな香りをかいでリラックスするだけでも気分が落ち着きますよ。また、「半身浴」もリラックス効果が高いのでおすすめです。加えて、「有酸素運動」はセロトニンの分泌を促してくれるので、気分の安定にもつながります。ただし、無理をしないことが大切で、疲れを感じたらしっかり休むようにしてくださいね。
Q. 「自分はダメだ」など気分が落ち込んだときには、どう立ち直ればいいですか?
A. 実際、「お風呂に入れなかった、自分はダメだ。人としてあり得ない……」など、自分で自分を責めてしまう人は意外と多いのではないでしょうか。でも、疲れているときは、そのまま寝ちゃってもいいんです。大事なのは、自分を許してあげることです。完璧じゃなくても大丈夫なんです。
Q. パートナーや家族に理解してもらうには、どうしたらいいですか?
A. ホルモンの影響で起こる心の変化は、目に見えにくいからこそ、自分でもコントロールできなくてつらいと思います。そのため、パートナーや家族には「つらいんだ」と素直に言葉にすることが大事だと思います。そして、受診したときに先生からどんなアドバイスをもらったか、治療でどんなことを始めたかなども共有するのもおすすめです。治療を続けていくうちに、パートナーや家族から「前より落ち着いてきたんじゃない?」などと言われれば、自分で変化を実感できます。1人で抱え込まないことが大事です。つらさを言葉にして誰かに伝えることで、気持ちがグッと楽になることもあると思います。
渡辺 佐知子 医師(渋谷365メンタルクリニック)
金沢医科大学大学院医学研究科修了。同大学の神経科精神科、女性総合医療センター外来を経て、厚生労働省医系技官として医療行政に携わる。精神保健指定医。日本精神神経学会認定専門医・指導医。産業医。医学博士。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
※記事内容は執筆時点のものです。
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