睡眠障害を解決するためにお酒を飲むのはNG! 睡眠薬で改善するべきワケとは


睡眠障害を解決するためにお酒を飲むのはNG! 睡眠薬で改善するべきワケとは

「絶対にNG」というイメージのある睡眠薬とお酒の組み合わせ。はたして、睡眠薬とお酒のセットによる弊害には、どのようなことがあるのでしょうか。また、睡眠薬を服用していると、お酒は全く飲めないのでしょうか。今回は医師に、最新事情を確認してみました。

薬の影響だけでなく、「酔いやすくなること」に注意が必要

Q. ズバリ本題です。飲酒と睡眠薬の服用を同日におこなってもいいのでしょうか?

A. お酒と睡眠薬の併用の問題を考えるにあたっては、「お酒が好きで毎日飲んでいる場合」と「付き合いでお酒を飲んでいる場合」で分けて考える必要があります。一般的に使われている睡眠薬は、アルコールと近い作用があります。そのため前者の場合、お酒と相まって睡眠薬も体に慣れてしまうので、より注意が必要です。

Q. 仮にNGだとすると、睡眠薬を常用している場合、お酒が全く飲めなくなるということでしょうか?

A. できれば飲まないことに越したことはないです。しかし、現実的とも思えないので、前者の場合は「週2回など、適度な“休肝日”を設けましょう」という落とし所になると思います。薬が欠かせないなら、「体内にアルコールが残っていない日」を少しでもつくってください。ただし、チャンポンして同時に睡眠薬とお酒を飲む行為は、どちらの場合でも論外です。

Q. お酒と睡眠薬を併用すると、どのような影響がありますか?

A. 直接的な影響としては、睡眠薬というよりお酒の利き方、つまり「酔い方」に注意が必要です。これは睡眠薬に限りませんが、アルコールも薬も肝臓で分解されていきます。肝臓にとっては仕事量が増えることになりますから、お酒が残りやすくなります。

Q. 睡眠薬によって命を落とすようなリスクはありますか?

A. 昨今の睡眠薬で亡くなることは、“まず”ありません。昔の睡眠薬は「呼吸を抑制して落ち着かせる」働きがあったため、過度に効きすぎると呼吸不全に陥ってしまい、時には死に至ることもありました。現在は、過量服薬での致死量の前に睡眠薬で寝てしまいますが、肝臓を含めて体への負担はとても大きいですね。

Q. 「休肝日」の話が出ていましたし、許容できるものなのでしょうか?

A. 睡眠薬の種類にもよりますが、改めて注意したい観点は「お酒に酔いやすくなる」ということです。治療中で睡眠薬を常用している人は「お酒との付き合い方」が問われます。お仕事などで飲酒の機会が避けられないなら、「ゆっくり飲む」「アルコール度数の低いお酒にする」といった工夫をしてください。

不眠にお酒はNG! 不眠で悩んだら、生活習慣改善と併せて睡眠薬を

Q. 睡眠障害対策でどちらか一択だとすると、手に入れやすい「お酒」に目がいきます。

A. アルコールの摂取は、睡眠障害の解決になっていないどころか、睡眠障害を悪化させます。たしかに、睡眠薬と近い作用があるので、一時的には眠りやすくなります。しかしながら、アルコールは睡眠を浅くしてしまいます。また、睡眠時無呼吸がある人は症状を悪化させます。さらに、お酒には利尿作用があるので、寝ている間にトイレで起きやすくなってしまいます。加えて、「アルコールへの慣れ」により飲酒量が次第に増えてきますよね。飲まないと寝られなくなってきたら、依存という別の問題が生じます。

Q. 睡眠障害は睡眠薬で解決すべきということですか?

A. そうですね。睡眠薬を適切に利用しつつ、睡眠にとって良い生活習慣を心がけていきましょう。例えば、眠れないからといって早く寝ようとしすぎずに、起床時間から逆算してむしろタイトな就寝デッドラインを作って、自然な眠気を大事にして眠りに入っていただく方がいいです。また、寝付けなければ一度布団から離れて、落ち着いてから眠りに入るようにしてみてはいかがでしょうか。こうした睡眠に良い生活習慣を取り入れながら、出口を見据えて睡眠薬を使っていくことが大切です。

Q. 寝付きが良くないのか、夜中に起きてしまうのか、睡眠障害にも色々あるのでしょうか?

A. はい。睡眠障害のタイプもですが、その背景にある原因も踏まえながら薬の選択や治療方針を考えていきます。薬も様々なタイプを不眠症治療には活用していきます。いわゆる睡眠導入剤と言われている睡眠薬以外にも、最近では睡眠覚醒のメカニズムに働いて依存性が極めて少ないとされている薬も発売されています。そのほかにも、眠りを深くする抗うつ剤や抗精神病薬なども使っていきます。

Q. ところで、市販の睡眠薬やサプリメントとお酒の組み合わせはどうなのでしょうか?

A. 市販されている睡眠薬は、大きく分けて「抗ヒスタミン薬」と「漢方薬」の2つのタイプです。抗ヒスタミン薬は、花粉症薬や感冒薬での眠気と同じになります。病院の睡眠薬と同じように効果はあるのですが、連日服用すると次第に慣れてしまいます。もう一方の漢方薬については生薬ですから、大きな影響はないと思います。睡眠サプリメントについては、アミノ酸のグリシンやGABA、ビタミンなどが含まれており、こちらも効果は別としてアルコールの影響は少ないと思います。

もう1つあった「耐性」という問題

Q. お酒にしても睡眠薬にしても、依存や慣れが出ませんか?

A. はい。アルコールと一般的に睡眠導入剤と呼ばれているような従来の睡眠薬は似ているところがあり、どちらも慣れが出てしまいます。ですが、お酒のように睡眠薬はどんどん増えていくことは少なく、「常用量(いつもの量での)依存」と呼ばれています。今でこそ依存性の極めて少ない薬が発売されてきていますが、お年寄りの方では、ずっと同じ睡眠薬を服用されていることをよく見かけます。

Q. しかし、加齢によって誰でも睡眠が浅くなるものなんですよね?

A. そうですね。加齢によって夢を見るレム睡眠が増えていって、「徐派睡眠」と呼ばれる深いノンレム睡眠も減っていきます。そのため、睡眠に良い生活習慣なども意識しながら、なるべく依存性の少ない睡眠薬から始めていくことがベターだと考えます。

Q. 「睡眠に良い生活習慣」について、もう少し詳しくお願いします。

A. 「リズム」「光」「体温」を意識してくださいと、患者さんには伝えています。起床時間をそろえて就寝時間は自然な眠気を大切にして早く寝すぎないようにしましょう。また、朝は光を浴びて、夜はなるべく避けた方がいいですよね。そして、体温が下がっていく方が寝やすくなるので、お風呂にゆっくり浸かったり、軽いストレッチをしたりするのもいいと思います。


大澤 亮太 医師(医療法人社団こころみ)

山梨大学医学部卒業。国際医療福祉大学にて研修後、精神科医療や産業医としての臨床経験を積む。2017年、神奈川県川崎市に「元住吉こころみクリニック」開院。法人化に伴い「医療法人社団こころみ」の理事長に就任。現在は「こころみクリニック」「東京横浜TMSクリニック」など、首都圏に7院を展開。精神保健指定医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医。日本精神神経学会会員。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
免責事項(Medical DOCサイトへ)

医師への24時間相談サービス 詳しくは「first call」へ

このコラムを読んだ方におすすめのアプリ

医師への24時間相談サービス

相談し放題になる、「dヘルスケア」有料利用についてはこちら

健康に関するちょっとした相談にも、医師が丁寧に回答。チャットで24時間気軽に医師に相談できます。