その肥満が「糖尿病」の原因に? 肥満症治療が不可欠な理由と起こりうる合併症を医師が解説


その肥満が「糖尿病」の原因に? 肥満症治療が不可欠な理由と起こりうる合併症を医師が解説

肥満症は「体重が多い」だけでなく、“糖尿病”や“高血圧”など生活習慣病のリスクを高める医学的な疾患です。BMIや内臓脂肪量、生活への影響を総合的に評価し、必要であれば医療による治療がおこなわれます。今回は、肥満症治療に詳しい医師に、肥満症の基礎知識から医療機関での治療まで詳しく伺いました。

肥満症とはどんな病気?

Q. はじめに、肥満症とはどのような病気か教えてください。

A. 肥満症は、脂肪が過剰に蓄積し、健康への悪影響がすでに出ている状態を指します。単なる「太っている状態」とは異なり、糖尿病や高血圧、脂質異常症などのリスクが高まる点が特徴です。肥満症は“生活の乱れ”だけが原因ではありません。体質、ホルモン、年齢、睡眠、ストレスなど、複数の要因が重なって起こる医学的な疾患です。

Q. 肥満症と診断される基準はあるのでしょうか?

A. 一般的にはBMIが25以上で肥満症と診断されます。BMIは体重を身長の2乗で割って算出し、数値が高いほど脂肪が蓄積していると考えられます。ただし、同じBMIでも脂肪のつき方(特に内臓脂肪)、生活習慣病の有無によって、健康リスクは大きく異なります。標準体重から少し外れただけで、過度に心配する必要はありません。体全体の状態を見て判断することが大切です。

Q. 肥満症になりやすい要因にはどのようなものがありますか?

A. 食べ過ぎや運動不足など生活習慣の影響が大きいですが、年齢、遺伝、ホルモンの異常、睡眠不足、ストレスなども関わってきます。特に、内臓脂肪型の肥満はリスクが高く、痩せ型に見えても内臓脂肪が多い方もいらっしゃいます。生活環境と体質が重なることで発症しやすくなります。

見た目だけじゃない! 肥満症が体に与える影響とは

Q. 肥満症に気づくためのサインはありますか?

A. 単なる体重増加だけでなく、疲れやすさや息切れ、睡眠の質の低下、健康診断の結果悪化などは、肥満症の重要なサインかもしれません。心当たりがある方は、放置せず早めに医師へ相談することをおすすめします。

Q. 肥満症になると、どのような健康リスクが高まるのでしょうか?

A. 代表的なのは糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病です。内臓脂肪が増えることで炎症物質が分泌され、血管や臓器に負担がかかります。また、肥満症は睡眠時無呼吸症候群や脂肪肝、関節の負担増加など、多くの全身症状につながります。これらを放置すると、将来的に心筋梗塞や脳卒中など、命に関わる重大な病気を引き起こすリスクも高まります。

Q. 自己流のダイエットでは改善が難しいのでしょうか?

A. 短期間で体重を落とすダイエットは、「筋肉量が減る→基礎代謝が下がる→リバウンドしやすくなる」という悪循環に陥りがちです。肥満症は“根性論”では改善しません。医学的に評価し、安全性を確保したうえで進めることが重要です。

医療機関でおこなう肥満症治療の特徴

Q. 肥満症は医療機関で治療できるのでしょうか?

A. はい。生活習慣の改善を基本に、必要に応じて薬物療法を併用します。医療機関では問診や体組成分析をおこない、「なぜ太りやすいのか」を一緒に整理します。生活習慣の改善を基本に、必要に応じて薬物療法を検討する場合もありますが、あくまで補助的な位置づけです。

Q. 費用も気になります。

A. 例えば、選択肢の一つである「GLP-1受容体作動薬」は、現時点では「肥満症」に対しての保険適用が限定的です。そのため、肥満症治療として使用する多くの場合は自費診療となり、クリニックによって費用は異なります。当院では診察のうえ、体質や健康状態を踏まえて薬剤や投与量を判断し、負担の少ない形で治療を続けられるよう調整しています。

Q. 実際に、治療にかかる費用や期間はどれくらいでしょうか?

A. 医療機関や薬剤によって異なります。導入にあたっては、数カ月かけて体重や体脂肪量の変化を確認しながら進めていきます。生活習慣の改善と併用し、無理なく継続できるペースで治療をおこなうことが効果を高めるポイントです。


加藤 勇人 医師(88内科クリニック)

岩手医科大学医学部卒業。八戸赤十字病院、東京女子医科大学 糖尿病センター、新宿メディカルクリニック院長を経て、2025年より「88内科クリニック」を開院、院長となる。生活習慣病、内分泌代謝疾患、肥満症治療を中心に幅広い診療をおこなっている。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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