「チョコレートが勉強にもたらす3つの効果」とは? 管理栄養士が解説
「勉強をするときにチョコレートを食べると記憶力が上がる」という話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。たしかに頭を使っていると甘いものが欲しくなりますが、本当にチョコレートが効果的なのか気になるところです。
チョコレートで集中力・記憶力がアップ
Q. チョコレートが勉強に効果的と聞きますが、本当なのでしょうか?
A. 本当です。チョコレートは①脳の活性化、②集中力・記憶力の向上、③疲労回復の効果が期待できます。チョコレートが勉強に及ぼす影響を調べた研究では、3時間の演習時にチョコレートを食べたグループは、何も食べないまたは砂糖菓子を食べたグループと比べて集中力が持続し、さらに疲労感が抑えられていたという結果が出ました。
Q. どうしてチョコレートに集中力を上げるといった効果があるのでしょうか?
A. チョコレートの主原料であるカカオに、勉強の効率化に適した成分が複数含まれているからです。例えばカカオポリフェノールには脳の血流量を増やす働きがあります。血流がよくなることで脳の活性化、認知機能や記憶力がアップします。
Q. カカオの成分が重要なのですね。ほかにはどのような成分が含まれているのですか?
A. 苦み成分のテオブロミンは集中力を向上させる働きがあります。テオブロミンはカフェインと似た構造をしており、精神を安定させる「セロトニン」というホルモンを増やすことでイライラや精神的疲労を抑えてくれます。また、チョコレートの甘さであるブドウ糖は、脳にとって唯一のエネルギー源で疲労回復に作用します。疲れた時に甘いものが欲しくなるのは、脳がエネルギーを求めている現れです。
Q. 最近ではGABAが配合されたチョコレートも売っていますね。
A. そうですね、GABAはアミノ酸の1種です。ストレスや興奮を抑えリラックスさせる作用があります。リラックスすると勉強に集中できないというイメージがあるかもしれませんが、神経の高ぶりを抑えることは集中力アップに大事なことです。
勉強中にはカカオ70%のチョコレートがおすすめ
Q. オススメのチョコレートはありますか?
A. 勉強の効率化に効果がある成分はカカオに含まれているため、カカオが70%程度配合された苦めのチョコレートがオススメです。カカオが多い分砂糖が少ないため、血糖値の影響による眠気やだるさが起きにくくなります。
Q. ナッツが入ったチョコレートでも大丈夫ですか?
A. 問題ありません。ナッツには脳に重要なオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、むしろ脳の働きをサポートしてくれます。ただし、ナッツは脂質が多いためカロリーが比較的高くなっています。食べすぎには注意しましょう。
Q. ココアでも同様の効果が得られますか?
A. ココアにもカカオポリフェノールやテオブロミンは含まれています。しかし、含有量がチョコレートと比べて少なくなってしまうため、より効果を求めるならチョコレートの方が良いですね。一般的にチョコレート1かけには、ココア2杯分のカカオポリフェノールが含まれています。
チョコレートは1日5~6粒を目安に
Q. チョコレートはいつ食べれば勉強に効果的なのでしょう?
A. 消化吸収にかかる時間や血糖値の変動を考慮すると、勉強を始める30分〜1時間前、休憩中がベストです。勉強しながらチョコレートを食べると、身体に余計な負担を増やしてしまいます。すると反対に集中力が落ちるリスクがあるため、オススメしません。
Q. 1回にどのくらいなら食べてもいいですか?
A. 板チョコであれば1〜2かけにしましょう。一度に食べ過ぎると血糖値が乱高下し、低血糖になる恐れがあります。
Q. 甘いものを食べた後に、低血糖になるのですか?
A. 糖分を取り入れると血糖値が上がり、元に戻そうと「インスリン」というホルモンが分泌されます。1回の糖分の量が多いと「インスリン」も多量に分泌されてしまうため、血糖値を元に戻すどころか下げ過ぎてしまう事態が起こります。こうして低血糖になると、眠気やだるさが起こり、かえって集中力を落とす原因になりかねません。砂糖が多いチョコレートほど注意が必要です。
Q. 勉強に効果的とはいえ、カロリーが気になります。
A. 食事摂取基準では、1日に摂っても良い間食のカロリーは200kcalです。板チョコ1かけ約30kcalなので、1日6かけまでに抑えましょう。またカカオ高配合の商品を選ぶことで、砂糖のとり過ぎを防ぐことができます。
三樹 彩夏(管理栄養士)
「健康的な生活が普通になるように」をモットーに活動する管理栄養士。東京農業大学を卒業し、内科・小児科に勤務後フリーランスに転身。オンラインでの栄養指導・ライター・プロテインの監修・講師・カフェのスタッフと幅広く活動中。コーチングを意識したカウンセリング、相手の生活に寄り添ったアドバイスで800人以上のダイエットをサポート。現在は習慣化にコミットしたチームで行うダイエットプログラム「チームダイエット」を主催している。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
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