「むずむず脚症候群」の治し方・治療を医師が解説 セルフチェックや病院での検査方法も


「むずむず脚症候群」の治し方・治療を医師が解説 セルフチェックや病院での検査方法も

「夜眠ろうとすると脚がムズムズしてなかなか入眠できない」という悩みを抱えたまま、どこに相談していいのかわからず、睡眠不足や疲労感などに苦しんでいませんか?その原因と治療法について医師に聞きました。

ムズムズして眠れない・じっと安静をたもてない「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」とはどんな病気? 症状について医師が解説

Q. むずむず脚症候群とはどのようなものですか?

A. むずむず脚症候群は、主に夜間に脚を主体に生じる不快な違和感のためにじっと安静にしていることができず、歩き回ってみたり、違和感のある部位を叩いたり、動かしたりせずにいられない睡眠障害です。とくに就寝時に症状を生じやすいため、入眠の妨げとなったり、中途覚醒の原因となったりするなど、睡眠の維持が難しくなります。

Q. 体のどこがムズムズするのですか?

A. 病名に「脚」とありますが、脚に限らず、不快感を生じる部位は腕や背中、顔など身体のどこにでも生じる可能性があります。不快な感覚の表現の仕方も人それぞれで、「虫が這うような」「ピリピリする」「イライラする」「火照る」などさまざまです。

Q. どんな特徴があるのですか?

A. この疾患の特徴として、安静を保てないこと、動かすと不快感が軽減すること、不快感を生じている部位に実際に何か見た目の変化があるわけでないことが挙げられます。じっとしていられないことから小児では注意欠陥多動性障害という発達障害に誤診されたり、違和感を生じている部位に外見的な明らかな病変を認めないことから、身体表現性障害(うつ病)と誤診されたりするケースもあります。

Q. むずむず脚症候群になるとどんな症状が起きるのですか?

A. 典型的な症状として(1)つらいのは日中よりも主に夜間、(2)安静時に症状が出る、(3)動かしたい衝動がある、(4)動かしたりマッサージをしたりすると症状が軽減するといった4つがあります。疾患が重篤化すると日中から症状を生じたり、動かしても症状の軽減が少ない場合があったりしますが、発症の初期にはこれらの4つの特徴があったという場合が多いのです。

Q. 具体的にはどのようなときに症状が起きるのですか?

A. たとえば就寝後安静にしていると、もしくは長距離の飛行機での移動などでじっと安静にしていると「ムズムズする」「じっとしていられない」といった症状が生じます。さすってみたり、歩き回ってみたりしている間には症状は和らぎますが、動きを止めるとまた違和感がでてきてしまいます。

むずむず脚症候群の原因は何? 発症しやすいのはどういう人? 鉄が大事って本当?

Q. なぜ、そのようなことが起きるのですか?

A. むずむず脚症候群の原因は、すべてがわかっているわけではありません。そのため原因がわかる方とわからない方がいます。ただし、原因がわからない場合にも症状を抑える治療は可能ですので、その点は安心してください。

Q. どんな原因があるのですか?

A. 別の疾患や薬剤などによる続発性のものと、疾患そのものを生じる元となる原因のあるもの(原発性)との2種類にわけられます。続発性の原因としては、鉄欠乏や妊娠、パーキンソン病、慢性腎不全(人工透析)、関節リウマチ、糖尿病などが挙げられます。カフェインやアルコール、抗うつ薬の一部や抗精神病薬、ドーパミン遮断作用をもつ治療薬などが原因となる場合もあります。

Q. 疾患の元となる原因とは?

A. 原発性の原因としては、「神経伝達物質であるドーパミンが脳内で不足している」とする仮説があります。一般的に脳内のドーパミン濃度は日中よりも夜間で低下します。むずむず脚症候群の症状が主に夜間に増悪することと、この夜間のドーパミン濃度の低下が関連している可能性があります。また、ドーパミンを作る際の材料の一つが鉄ですので、鉄不足が続発性のむずむず脚症候群の原因となることとも、この仮説は関連しています。

Q. どうしてドーパミンが不足すると症状を生じるのでしょうか?

A. もう少しイメージしやすく説明するとしたら、脳と身体を連絡している神経のつながりのなかで、連絡係をしているドーパミンという神経伝達物質が不足したために、連絡ミスを生じてしまい、本当はないはずの症状を脳が感じてしまうという「バグ」を起こした状態といえるのではないでしょうか。

Q. どのような年代の人に発症しやすいのですか?

A. 小児から高齢者まで幅広い年代で発症します。若年の場合には鉄欠乏によるケースが比較的多く見受けられます。欧米では加齢とともに罹患率が上昇すること、男性よりも女性が発症しやすいことが報告されていますが、アジアでは欧米よりも罹患率が低く、また明確な男女差がないと言われています。ほかにも妊娠中の女性やむずむず脚症候群の家族歴がある方は発症しやすいことが知られています。

むずむず脚症候群の診断・治療は何科を受診したらいい? 病院での検査や治療、お薬についても知りたい

Q. 症状が見られたら何科を受診したら良いのですか?

A. 日本睡眠学会認定睡眠専門医のいる医療機関を受診することをお勧めします。大学病院や総合病院以外にも、睡眠外来を行っている心療内科や精神科のクリニックや神経内科でも診療を行っている場合があります。睡眠専門医の在籍するクリニックについては、日本睡眠学会のHP(※)を参照してください。
※日本睡眠学会のHP
https://jssr.jp/list

Q. どのような検査を行うのですか?

A. まず症状の具体的な内容のほか、既往歴や現在の使用薬、嗜好品などについて細かく問診で確認します。原因として鉄不足を疑う場合には、血液検査を行って血清フェリチン値を調べます。また必要に応じて、夜間の覚醒中に安静を保った状態で症状の重篤度を評価する「不動指示検査(SIT)」や、むずむず脚症候群の患者さんの約80%に合併するといわれている「周期性四肢運動障害」の鑑別のため「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」を行う場合もあります。

Q. さまざまな検査を行う必要があるのですね。

A. これらの検査は診断に必須ではありませんが、治療方法を決めるために必要な場合がありますので主治医としっかり相談をして決めましょう。

Q. どのようにして治療するのですか?

A. 先ほどむずむず脚症候群には、続発性のものと原発性(特発性)のものがあることをお話ししましたが、続発性のむずむず脚症候群の場合には、可能であれば原因の解決を行い、むずむず脚症候群の症状の軽減を図ります。例えば、鉄欠乏が原因のむずむず脚症候群の場合には鉄剤の投与によって症状が改善します。薬剤によるむずむず脚症候群の場合には、原因となっている薬剤を中止することにより症状が改善します。

Q. 原因の解決が難しい場合はどうするのですか?

A. 原因の解決が難しい場合、もしくは特発性のむずむず脚症候群の場合には、症状を和らげる「対症療法」を行います。医師の行う対症療法は薬物療法が主体となりますが、カフェインやアルコールの摂取を控える、禁煙する、ぬるめのお風呂に入る、就寝前にストレッチ体操をする、足裏マッサージをするといった非薬物療法も役立ちます。

Q. むずむず脚症候群の治療にはどんな薬を用いるのですか?

A. 対症療法に用いる薬剤としては、保険適用されているドーパミン受容体作動薬と抗てんかん薬をもとに開発されたガバペンチンエナカルビルという治療薬のほか、有効な薬剤が数種類あります。治療の第一選択になる場合も多いドーパミン受容体作動薬は用量に注意が必要で、長期間の使用により「逆転現象 (オーグメンテーション)」といって、これまで有効だった薬が効かなくなり、症状が増悪(違和感が強くなる、症状を生じる時間や頻度が増える、今まで症状のなかった部位へ症状が広がる)する現象を生じる場合があります。

Q. 定期的に診察を受け、調整する必要があるのですね。

A. むずむず脚症候群の症状には増悪や軽減などの波がありますので、症状に合わせて用量を変更し、できるだけ少ない用量で症状をコントロールするなど、用量や使用期間に注意しながら逆転現象を起こさないよう長期的な治療計画を立てることが大切になります。

Q. 鉄欠乏も原因の一つということですが、脚がムズムズして落ち着かないときは、鉄分を補充した方が良いのでしょうか?

A. すでに鉄が十分に足りている場合には、鉄剤や鉄のサプリメントで鉄を補充しても、むずむず脚症候群の症状の改善は期待できません。むずむず脚症候群の鉄不足は、健康診断などでよく測定される「血清鉄」ではなく、「フェリチン(貯蔵鉄)」の値で判断します。

Q. 自分ではなかなか判断できないということですか?

A. 鉄不足によるむずむず脚症候群はフェリチンの値が検査結果に表示されている正常範囲内でも生じます。さらに、このフェリチン値を増加させるのに、経口で鉄剤を使用した場合でも、通常では数か月を要します。このような理由から、むずむず脚症候群を疑う症状のある場合には自己判断で鉄のサプリメントを摂りながら経過をみるのではなく、症状がつらい場合には気軽に睡眠外来などへ相談をいただければと思います。


栁原 万里子(眠りと咳のクリニック虎ノ門)

大分医科大学医学部(現・大分大学医学部)医学科・東京医科大学医学研究科博士課程・社会人大学院臨床研究専攻卒業。筑波大学附属病院 睡眠呼吸障害診療グループ病院講師、睡眠総合ケアクリニック代々木勤務を経て、2022年11月眠りと咳のクリニック虎ノ門を開院。多種にわたる睡眠障害について診療と臨床研究、啓蒙活動を行っている。医学博士。日本睡眠学会認定睡眠専門医、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医/指導医。東京医科大学睡眠学講座客員講師。公益財団法人神経研究所睡眠研究室客員研究員・睡眠健康推進機構 学校訪問型睡眠講座/出張睡眠市民講座事業登録講師。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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