認知症の初期症状を医師が解説 物忘れが多いのは認知症の前兆? 始まりのサインと進行段階を知っておこう


	認知症の初期症状を医師が解説 物忘れが多いのは認知症の前兆? 始まりのサインと進行段階を知っておこう

生きていると、必ず年はとります。それは、脳も同じです。加齢に伴って「物忘れ」などが増えていくのは当然とも言えますが、それが「認知症」の初期症状と言えるのでしょうか。

認知症を医師が説明 脳血管性・アルツハイマー型・若年性など種類の違いとは?

Q. 「認知症」について教えてください。

A. 「認知症」とは、脳に何らかの障害が起こることによって、記憶力や判断力などが低下した状態です。社会の高齢化にともなって、認知症の方は年々増加しています。

Q. やはり、高齢者がなるものなのですか?

A. そうとは限りません。若くても、脳卒中などをきっかけに「脳血管性認知症」となってしまう方もいらっしゃいますし、交通事故などで頭部を強く打ったり、最近だと新型コロナウイルス感染症に羅患してしまったりすると、後遺症として認知症症状が出てしまう方もいます。さらに、これらのような明確な要因がなくても、若くして認知症を発症してしまうケースもあるのです。65歳未満で認知症を発症した場合、「若年性認知症」と呼ばれます。

Q. 認知症にも種類があるのですね。

A. そうですね。「若年性認知症」はあくまで年齢による分類ですが、病態としては「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」の4種類が代表的な分類です。

Q. どのような症状が出るのですか?

A. それぞれの認知症によって、症状は少しずつ異なりますが、共通しているのはやはり「記憶障害」いわゆる「物忘れ」ですね。

物忘れが増えたのは認知症の初期症状? 認知症の前兆で怒りっぽくなる・思い込みが激しくなるって本当?

Q. 「物忘れ」が増えるのは、やはり認知症なのでしょうか?

A. そうとは限りません。物忘れには「加齢によるもの(正常な物忘れ)」「正常な物忘れと認知症の間の状態」「認知症によるもの」「ほかの病気による物忘れ」などがあるのです。物忘れが増えたからといって、すなわち「認知症」ということではないのです。

Q. 物忘れが加齢によるものなのか、認知症によるものなのか、どうやって判断するのですか?

A. 「出来事の一部を忘れてしまう」のが「加齢による物忘れ」で、「出来事そのものをすっかり忘れてしまう」のが「認知症」の特徴と言われています。例を挙げると、「朝食に何を食べたか忘れてしまう」のが「加齢による物忘れ」で、「朝食を食べたという事実を忘れてしまう」のが「認知症」です。

Q. ほかには何かありますか?

A. もうひとつのわかりやすい目安としては、「本人の自覚があるかどうか」ということがあります。忘れっぽくなったという自覚があるのが「加齢による物忘れ」で、「自分はなんともない」と自覚がないのが「認知症」という傾向があります。あとは、「認知症」の場合は、「物忘れ」以外の変化も表れてくるはずです。

Q. 例えばどんな変化がありますか?

A. 「今までできていた作業ができなくなった」「今まで好きだったものや事柄に興味がなくなった」といった変化、「季節や時間、居場所の感覚がわからなくなった」「些細なことで怒るようになった」なども、認知症の初期症状です。また、物事が億劫になってしまう方も多く、例えば「まめに片付けていた人なのに、部屋が散らかるようになる」とか、「買い物の支払いで、端数の小銭を出すことなどをしなくなり、財布に小銭がどんどん溜まるようになる」なども、認知症の初期症状であることが考えられます。

認知症を初期症状のうちに早期発見できれば進行は防げる?

Q. 「認知症かな?」と思ったとき、医療機関で受けられる検査についても教えてください。

A. 例えば当院では、「MCIスクリーニング検査」と「APOE遺伝子検査」という検査を行っています。どちらも保険適用外の検査になります。「MCIスクリーニング検査」は簡単に言うと、「認知症の入り口にいるかどうか?」がわかる検査です。「MCI」は「軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment)」という意味があり、血液検査で認知症の危険度がわかります。「最近ボケてきたかな?」と感じる方などが検査にいらっしゃいます。「APOE遺伝子検査」は、採血で「将来アルツハイマー型認知症になる危険があるか?」を調べることができる検査です。身内でアルツハイマー型認知症の方がいて、心配な方などに向いています。

Q. 認知症を早期発見できれば、進行を防げるのでしょうか?

A. 認知症は放置すれば進行してしまいますが、早期発見や適切な治療や生活習慣、関わり方の見直しをすることで進行を止めたり、回復したりする場合があります。ですから、早期に正しく診断し、治療することが重要です。


塚本 善峰(あいあいクリニック)

内科医。1993年杏林大学医学部を卒業後、杏林大学医学部付属病院第一内科にて神経内科、呼吸器疾患、アレルギー性疾患、腎機能障害、膠原病を専攻し、経験を積む。2007年、さいたま市に「あいあいクリニック」を開院、院長就任。「患者様、一人ひとりの事を考え、それに合った診療と医療をお届けしたい」という診療理念のもと、生活習慣病と慢性疾患に特化したオーダーメイド医療を実践している。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
免責事項(Medical DOCサイトへ)

医師への24時間相談サービス 詳しくは「first call」へ

このコラムを読んだ方におすすめのアプリ

医師への24時間相談サービス

相談し放題になる、「dヘルスケア」有料利用についてはこちら

健康に関するちょっとした相談にも、医師が丁寧に回答。チャットで24時間気軽に医師に相談できます。