「お酒を飲んだ日の薬の服用」はどうすればいい? 何時間空けるべき? 【薬剤師監修】
普段から薬を服用している方が、お酒を飲んだ後に服用しても大丈夫なのでしょうか? アルコールと薬の相互作用は、効果の低下や予期せぬ副作用を引き起こす可能性があり、お酒を飲んだ後の正しい薬の服用方法を知ることが必要です。
お酒を飲んだあとに薬は服用しないほうがいい?
Q. まず基本的なところですが、薬を飲む際は水以外で飲まないほうがいいですか?
はい。薬を服用する際には、水かぬるま湯で飲みましょう。ほかの飲み物との組み合わせによっては、薬の効果が弱まる・強くなる可能性があります。例えば、牛乳や乳製品は、一部の抗生物質や鉄剤の吸収を妨げ、コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインは、薬の効果を変化させることもあります。詳しく知りたい場合は、かかりつけの薬局にいる薬剤師に聞いてみましょう。そして、アルコールは幅広い薬剤との相互作用が知られています。
Q. 夜寝る前に薬を飲む必要があるのですが、お酒を飲む予定があります。薬は飲まないほうがいいですか?
A. 薬は指示通りに服用する必要があります。お酒を飲んでから十分に時間を空けて服用するか、可能であればお酒は飲まないようにする方がいいでしょう。薬によっては、飲む時間帯を変更できるものもあります。自己判断せず、医師や薬剤師に相談してみましょう。
Q. お酒の種類は関係ありますか?
A. お酒の種類は関係ありません。お酒はビール、ワイン、ウイスキーなど、どの種類であっても、薬と併用すると副作用のリスクが高まり、効果が弱くなる可能性があります。アルコールは肝臓で代謝されるため、同じく肝臓で代謝される多くの薬剤に影響を与えてしまうのです。薬を服用する際は、安全を最優先に考え、アルコールの摂取は避けることが基本です。
お酒を飲んですぐ薬を服用するとどうなる?
Q. お酒を飲んだ直後に薬を飲むとどうなりますか?
A. 飲酒直後に薬を飲むと、相互作用で薬の効果が変化し、副作用が出ることもあります。とくに肝臓で代謝される薬の場合は、副作用が増えるリスクがあるので注意が必要です。
Q. とくに注意すべき薬の種類はありますか?
A. 解熱鎮痛薬、睡眠導入薬、糖尿病薬、血液の凝固を防ぐ薬、利尿薬、抗うつ薬などがあります。アルコールとこれらの薬を一緒に摂取すると、薬の作用が増強され、重大な副作用が生じる可能性があります。
Q. 具体的にはどんな副作用の危険性がありますか?
A. 例えば、解熱鎮痛剤のアスピリンとアルコールを一緒に摂取すると胃にダメージを与え、アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛薬との併用は肝機能障害を引き起こすリスクがあります。睡眠導入薬や抗うつ薬との組み合わせは、薬の効果が強すぎることによる精神的な影響や身体的な不調を引き起こすことがあるでしょう。ワーファリンなどの抗凝固剤との併用は出血リスクを高めます。とくに脳など重要な部位での出血は命に関わる危険性を持ちます。利尿薬とアルコールを一緒に摂取すると、血圧の急激な低下やめまいを引き起こす可能性もあります。
Q. ほかにはどのような副作用やリスクがありますか?
A. 糖尿病薬のメトホルミンを服用している場合には、過度のアルコール摂取は乳酸アシドーシスのリスクを高めます。アルコールは体内での乳酸の代謝を減少させるため、乳酸の蓄積が中枢神経や消化器系に悪影響を及ぼす可能性があります。乳酸アシドーシスは、胃腸症状(悪心、嘔吐、腹痛、下痢など)、倦怠感、筋肉痛などの初期症状から始まり、過呼吸、脱水、低血圧、低体温、昏睡などの症状へと進行していきます
Q. では、もしお酒を飲んだ直後に薬を服用してしまった場合、どうすればよいですか?
A. 薬の種類によっては、すぐに対応が必要な場合もあるかもしれません。「すぐに病院に行った方がよいか」や「救急車を呼ぶべきか」など、悩んだり不安に思われたりした場合には、救急安心センター事業(7119)に電話するのも一つの手段です。
お酒を飲むなら知っておきたい、飲酒後の薬の服用方法
Q. お酒を飲んだ後に安全に薬を服用する方法はありますか?
A. 重要なのは、アルコールが完全に代謝されてから薬を服用することです。アルコールが代謝されるまで、しっかりと時間を置いてから服用するといいでしょう。
Q. どのくらいの時間を置くのが適切ですか?
A. アルコールの代謝速度は人によって異なりますが、一般的な目安としては、アルコール1単位(純アルコール20g)を代謝するのに約1〜1.5時間かかるとされています。ただし、代謝速度は個人の体重、性別、年齢、肝機能などに影響を受けるため、全員が一緒とは限りません。また、飲むアルコールの量にもよります。一般的には、最後にアルコールを飲んでから2~3時間は空けるべきとされています。服用する薬の種類でも注意の度合いが異なりますね。詳しくは医師・薬剤師に確認しましょう。
Q. お酒を飲んだ後に服用していい薬はありますか?
A. お酒を飲んだ後に飲める薬には、「飲み過ぎ・二日酔い」に効果がある胃腸薬があります。胃酸の出過ぎを抑えたり、肝臓のはたらきを助けたりする作用が一般的です。飲酒後に服用することでアルコールが原因で発生した不快な症状が楽になりますよ。それ以外の薬と上手に使い分けましょう。
山形 ゆかり(薬剤師)
近畿大学薬学部薬学科卒業。卒業後、総合病院で糖尿病病棟の薬剤師として勤務。病院での経験を通じて「食の重要性」を深く感じ、食に関する資格を取得。現在は、「健康は食から」というモットーのもと、薬膳など食の知識を活かした薬剤師としての啓蒙活動中。薬膳アドバイザー・フードコーディネーター・フードアナリスト
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
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