尿検査の早朝尿の重要性を医師が解説 採尿が朝一じゃないとダメな理由や検尿結果への影響とは?


尿検査の早朝尿の重要性を医師が解説 採尿が朝一じゃないとダメな理由や検尿結果への影響とは?

「尿検査は、朝起きてすぐの尿でお願いします」といつも言われますが、果たしてそれはどうしてなのでしょうか?

尿検査は絶対朝一番の尿・早朝尿じゃないとダメなの?

Q. 「尿検査」では、どんなことがわかるのですか?

A. 尿検査は、様々な疾患の兆候や感染症の有無のスクリーニングに役立ちます。たとえば、糖尿病や腎機能障害、尿路感染症などですね。

Q. 検査を受けるとき、気をつけることはありますか?

A. 清潔な手で清潔な容器に採尿することはもちろん、中間尿を取ること、生理中の方や薬やサプリメントを服用している場合は医師に申し出ることなど、気をつけることはいくつかあります。あとは、可能な限り朝一番の尿をお願いすることが多いです。

Q. 朝一番の尿が良いのはなぜですか?

A. 理由はいくつかあります。まず、私たちは日中に活動することで、生理的な血尿や蛋白尿が出てしまう場合があるからです。これらを除外するために、朝一番の尿(早朝尿)をお願いしています。

Q. ほかにはどんな理由がありますか?

A. 早朝尿は通常、最後の飲食から一定時間を経過した後のサンプルであるため、摂取した食べ物や飲み物、あるいはお薬の影響を受けにくいということもあります。これらの影響を受けにくいことで、例えば去年と今年の健康診断の結果を比較する際にも、条件が比較的揃いやすいと言えます。

尿検査で提出する採尿は朝一番じゃないと検査結果が変わるの? 2回目の尿は尿蛋白の検査結果に影響するって本当?

Q. 具体的に、検査結果にどのような影響があるのでしょうか?

A. 朝一番でない時間帯だと、朝食で食べたり飲んだりしたものの影響を受けることがあります。また、尿の濃度が低くなってしまうため、特定の物質や成分の濃度が低下する可能性もあります。

Q. 深夜もしくは朝方に起きてトイレに行ってしまって2回目の尿の場合、検査結果は変わりますか?

A. 確かにそういう場合、通常の朝一番の尿と比較して結果が一部異なる可能性がありますが、あまり気にすることはありません。回数や程度にもよりますが、深夜もしくは朝方に1度トイレに行ったとしても、食事や活動をしていなければ、結果にあまり大きな差はないと思われます。

Q. 朝一番に尿を取り忘れた2回目以降の尿だと、尿蛋白の値に影響があるというのは本当ですか?

A. 健康診断で早朝尿と2回目以降の尿(随時尿)の結果を比較すると、早朝尿評価では蛋白尿が減少したと報告されています。また、尿蛋白の定量検査においても、早朝尿より随時尿の方か過大評価することが報告されていますので、若干の影響はあるといえますね。とくに、「起立性蛋白尿」の方は、朝一番の尿とそれ以降の尿で、尿蛋白の値が異なります。

Q. 「起立性蛋白尿」とはなんですか?

A. これは思春期などに一時的にみられる症状で、横になって安静にしている時には異常がなく、起きて体を動かすと蛋白尿となることです。こういったケースでは、朝一番の尿では尿蛋白はマイナスなのですが、日中の尿だと蛋白尿と診断されることがあります。大人になると自然に消失するため、治療の必要はありません。

健康診断や人間ドックの尿検査で朝一の採尿を忘れたらどうすればいい? 朝一じゃなくても2回目の尿や午後でもいい?

Q. 健康診断や人間ドックの尿検査で朝一の採尿を忘れたらどうすればいいですか?

A. 医師や健康診断の担当の方に、きちんと申し出てください。「朝一番の尿でない」ことを明記したうえで、そのまま尿の提出をお願いされることがほとんどです。医療機関によっては、別日に再検査と言われる場合もあるかもしれません。

Q. 朝一ではなく、2回目や午後の尿でも大丈夫なのですか?

A. 必ずしも朝一番の尿でないと出来ない検査というのはほとんどありませんので、基本的には問題ありません。ただ、できれば朝一番の尿でないことを申し出たほうが良いとは思います。

Q. そうだったのですね。

A. はい。まれに、尿検査の日に尿を取り忘れるのを心配して、前日の夜に取っておくといった方もいらっしゃるようなのですが、前日に取った尿の場合、時間が経過し、変化が生じている可能性がありますので、尿検査には望ましくありません。指示に従い、正しい方法で採取していただきたいですね。


山川 貴史(LSクリニック東京)

東京慈恵会医科大学医学部卒業後、国立国際医療センター(現・国立国際医療研究センター)、東京慈恵会医科大学附属病院、千葉東病院、足利赤十字病院などで内科、腎臓内科の診療に従事する。2022年、東京都千代田区にLSクリニック東京を開院する。日本内科学会内科認定医、日本腎臓学会腎臓専門医・指導医、日本透析医学会透析専門医、日本移植学会移植認定医、日本医師会認定産業医。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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