【医師解説】胃がん検診で「要精密検査」と言われたらどうすべき? 胃がんの原因は?


【医師解説】胃がん検診で「要精密検査」と言われたらどうすべき? 胃がんの原因は?

胃がん検診は、早期発見、早期治療のために重要なプロセスのひとつで、定期的に受診することが勧められています。そんな胃がん検診で「要精密検査」と言われたらどうすればよいでしょうか?

胃がんはどうやって見つかる? 原因や検査方法を医師が解説

Q. 胃がんについて教えてください。

A. 胃がんは、主に胃の内側の粘膜にできる悪性腫瘍です。大きくなるにしたがい、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)へと外側に深く進んでいきます。しかし早期発見・早期治療すれば、比較的予後は良く治るがんでもあります。がんの中でも比較的頻度が高く、かつては日本人のがん死亡率の第1位でしたが、近年は減少傾向にあり、2021年厚生労働省の部位別がん死亡率では男性では肺がん、大腸がんを下回り第3位、女性で第5位でした。

Q. 胃がんの原因は何でしょうか?

A. 胃がんの原因としては、ピロリ菌の持続感染が大きな要因の一つです。そのほかのリスクとしては喫煙、食塩の過剰摂取が考えられています。50歳代から増加しますが、20歳代や30歳代で罹患する方もいらっしゃいます。

Q. どんな症状が出るのですか?

A. 早期の胃がんは自覚症状がほとんどありません。進行すると胃の不快感や腹痛、吐き気・嘔吐、食欲不振や、血便・黒色便が現れることもあります。これらの症状に加え体重減少や倦怠感などが伴ってくることもあります。

Q. 無症状だと、見つけるのは難しいのでしょうか?

A. 早期の胃がんは症状が乏しいため、早期で見つけるためには1~2年ごとの内視鏡検査が推奨されています。また、早期に発見できれば、治癒できる可能性の高いがんでもあります。

Q. 胃内視鏡検査はどのような検査ですか?

A. いわゆる「胃カメラ」のことです。口から小型カメラを挿入し、胃の粘膜を直接観察します。口からカメラを挿入するということで少し敬遠してしまう方もいらっしゃいますが、鎮静剤の使用により苦痛を少なくして検査を実施することも可能です。内視鏡検査でないと診断できないような早期がんもあります。

胃がんの検診にはどんなものがある?

Q. 胃がんの検診ではどんな検査をするのですか?

A. まずは問診です。先ほどのリスク要因を知るために、食習慣や飲酒・喫煙などの生活習慣、家族歴などを伺います。そして、一般的には「胃X線検査」と「胃内視鏡検査」が行われます。

Q. 「胃X線検査」について教えてください。

A. 胃X線検査は、レントゲンで胃の形などを観察するものです。バリウムを含む造影剤を飲むとその部分が白くうつるため、検査台で体を上下左右に動かすことで、胃の変形などを見つけることができます。

Q. その結果で「異常なし」と「要精密検査」に分けられるのですね?

A. 胃X線検査後で「要精密検査」となれば、胃内視鏡検査を行うのが一般的です。胃内視鏡検査で疑わしい部位が見つかれば、その場で生検(組織を採取する)を行い、組織診(悪性かどうかを調べる検査)を行います。

胃がん検診で「要精密検査」と言われたらどうしたらいい?

Q. 胃がん検診で「要精密検査」と言われた場合、どうしたらいいのでしょうか?

A. とても不安だと思いますが、まずは速やかにお近くの医療機関に相談しましょう。

Q. そこからどのような流れとなりますか?

A. 胃内視鏡検査を施行し、先ほどと同じく必要に応じて生検を施行します。その後、精密検査として内視鏡検査や超音波検査、CT検査などを行って進行度を分類します。

Q. きちんと検査しないままだとがんが進行してしまうこともあるのですね。

A. その通りですが、過度に怖がる必要はありません。厚生労働省の「令和3年度地域保健・健康増進事業報告」によると、令和2年度に胃がん検診を受け、「要精密検査」という結果が出た方のうち、実際に胃がんが発見されたのはわずか1.88%でした。これは50人のうち1人未満という計算になります。


山田 晃弘(横浜内科おなかクリニック)

新潟大学医学部卒業。その後、虎の門病院や国立国際医療研究センターなどで経験を積む。2018年より現職。一人ひとりに寄り添い、安心して受診できるクリニックを目指している。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本ヘリコバクター学会認定医。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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