生活習慣病で「足切断」「透析」になる人・ならない人の分かれ目とは 医師が解説

生活習慣病は初期の段階では自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに進行してしまうことが多く、放置すると深刻な健康リスクにつながる可能性があります。
生活習慣病はどうして怖い? 医師が解説
Q. 生活習慣病とは何ですか?
A. 生活習慣病とは、不健康な食事や運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が原因で発症すると言われている病気の総称ですが、実際は、生活習慣だけでなく遺伝的要因も強いと言われています。代表的なものには高血圧、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化、メタボリックシンドロームなどがあります。
Q. 生活習慣病はなぜ怖いのですか?
A. まず一つは、生活習慣病は初期には自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行するという点です。そしてもう一つは、生活習慣病が進行すると動脈硬化になり、脳梗塞や心筋梗塞、心不全、腎不全、下肢動脈閉塞など、さまざまな病気を引き起こして、時には命も脅かしてしまうという点です。
Q. 動脈硬化についても説明をお願いします。
A. 動脈硬化は、血管の内壁にコレステロールなどが蓄積し、血管が硬くなったり、狭くなったりする状態です。一度なってしまうと、自然に元に戻ることはなく、どんどん血流が悪化していってしまいます。
生活習慣病になりやすい人とは? 早期発見する方法も教えて
Q. 生活習慣病になりやすい人の特徴はありますか?
A. 高カロリーな食事が多い、運動習慣がない、ストレスを溜めやすい、タバコを吸う、過度な飲酒をする、睡眠不足が続いている人などはリスクが高まります。また、家族に生活習慣病の人がいる場合も注意が必要です。
Q. 生活習慣病は、何歳くらいから気をつければ良いのでしょうか?
A. 生活習慣病は、かつては「成人病」などと呼ばれていたため「中高年の病気」というイメージがある方も多いかもしれません。確かに、一般的には40代以降に生活習慣病の発症リスクは高まりますが、最近では20〜30代でも生活習慣病になる人が増えています。特に、食生活の乱れや運動不足が続いている人などは、若いうちから意識して生活していただきたいです。
Q. 生活習慣病を早期発見するためにはどうしたら良いですか?
A. 体重や腹囲、血圧などは自宅でも測定できますので、ご自身で小まめにチェックしていただくことをお勧めします。さらには、職場や自治体などの健康診断で、血液検査や尿検査の値もしっかり確認し、「要精密検査」などの結果が出た場合、速やかに医療機関を受診することも大事です。
Q. 自分が生活習慣病かどうかをセルフチェックすることはできますか?
A.
以下の項目をチェックしてみてください。「普段健診を受けていない人」で、当てはまるものが3個以上あった場合、生活習慣病またはその予備軍である可能性がありますので、健診を受けるか、医療機関に相談してください。
・睡眠不足である
・肥満(BMI 25以上)である
・運動不足だと思う
・飲酒の習慣がある
・慢性的なストレスがある
・塩辛いものが好き
・甘いものが好き
・タバコを吸う
・家族に生活習慣病と診断された人がいる
生活習慣病の予防や対策についても教えて
Q. 生活習慣病を予防する方法はありますか?
A. リスク因子が比較的はっきりしている病気なので、それらについて一つずつ対策していくことが大切です。例えば、運動不足の人は運動習慣をつける、食生活が乱れている人は食事を見直すといったことなどです。
Q. 運動はどういったものが良いのでしょうか?
A. 1日20〜30分程度のウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が理想的です。週3〜5回継続できるとより効果的で、スクワットなどの筋力トレーニングを組み合わせると基礎代謝も上がります。とは言っても、多忙な現代人には時間的に難しいこともあるでしょう。そういった場合はまず、「エレベーターではなく階段を使う」など、小さなことから始めてみることをお勧めします。
Q. 食生活についても教えてください。
A. 野菜や食物繊維をしっかり摂る、塩分や糖分を控える、脂っこい食事を減らすといったことが重要です。特に加工食品やジャンクフードを減らし、和食を中心とした食生活を意識すると、健康維持につながります。

薗田 憲司(そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック渋谷駅道玄坂院)
日本医科大学卒業後、東京臨海病院初期研修、東京都済生会中央病院勤務を経て、2023年そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック渋谷駅道玄坂院を開院。高校時代、糖尿病になり苦しんでいる父親を救いたいという思いから糖尿病専門医を志す。外来診療で伝えきれないダイエットや血糖値改善のための食事や運動の方法を親しみやすい医師「血糖おじさん」としてYouTubeやInstagram、書籍、メディアを通じて広く情報発信している。日本内科学会内科認定医。日本糖尿病学会糖尿病専門医。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
※記事内容は執筆時点のものです。
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