「紫外線が皮膚に悪い」のはどうして?


「紫外線が皮膚に悪い」のはどうして?

紫外線と皮膚がんの関係は、誰もが耳にしたことのある話題でしょう。医師によると、オゾンホールの拡大に伴い、オーストラリアにおける皮膚がんの発症数が増加しているそうです。そこで、気になるシミの仕組みも含め、紫外線が皮膚に与える影響について総括していただきました。

肌まで到達する紫外線は2種類考えられる

Q. まず、紫外線について、簡単に説明してください。

A. 人間には見えない波長の短い光のことで、UVA、UVB、UVCの3帯域にわかれています。この中ではUVAがもっとも物質を透過しやすく、大量に地表へ到達します。一方のUVBはオゾン層で吸収されるほか、雲などで反射され、一部しか届かず、最後のUVCは、そのほとんどがオゾン層で吸収されます。

Q. 肌に悪さをする紫外線はどれでしょう?

A. UVAとUVBの双方です。UVAは物質を透過しやすいため、肌の奥まで届きます。一方のUVBは、肌の浅い部分で反射されます。つまり、それぞれ悪さをする「到達点」が異なるということです。そのうえで、量的に少ないUVBのほうが、「肌への損傷度合いは強い」とされています。

Q. 波長の短い紫外線のほうが、パワフルなんですね?

A. パワフルというより、遠くに到達するほど分散されていくイメージでしょうか。例えばAMラジオとFMラジオでは、FMラジオのほうが短波長です。音質を比べるとFMラジオのほうがクリアですから、受診可能地域ではパワフル。そのかわり、離れた地域のFM番組は、電波が分散するので聴きづらくなるようなイメージです。

到達深度によって異なる紫外線の被害

Q. 紫外線のイメージはできました。続いて、肌への悪影響について教えてください。

A. 第一に考えられる病変としては、やはり皮膚がんでしょう。UVBによる遺伝子の変容作用、つまり“がん化リスク”は、相当に大きいですね。シミの元となるメラニンは、もともと紫外線による遺伝子変容を防ぐ“帽子”のような役割を果たしています。「メラニンキャップ」という言い方があるくらいです。

Q. なるほど。シミはヒトによって有用なんですね?

A. 医学的な観点に限れば一部有用といえます。ただし、日常生活や審美整容的な面では悪影響なのでしょう。そのシミに深く関わっているのがUVBです。シミの元となるメラニンは「メラノサイト」という組織でつくられるのですが、UVBの到達点が、ちょうど「メラノサイト」を刺激する位置にあります。皮膚がんとの関係から、病変を予防する仕組みが自然にできあがってきたのでしょう。

Q. もう一方のUVAは?

A. 「メラノサイト」を通過し、さらに深い真皮の位置でエネルギーとして収束します。ここには「維芽細胞(せんがさいぼう)」という組織があり、おなじみの「コラーゲン」や「エラスチン」などを生成しています。

Q. UVAでも、やっかいなことになりそうな予感がしてきました。

A. 維芽細胞がダメージを受けると、肌にシワやたるみを生じやすくさせます。「コラーゲン」や「エラスチン」の不足により、肌密度が落ちてくるからです。肌の浅い部分では皮膚がんやシミ、肌の奥ではシワやたるみ。これらが紫外線によって生じかねないということです。

対策は不可欠だが、シャットアウトするものでもない

Q. やはり、紫外線ケア・UVケアは必要ですよね?

A. 季節によっては必要です。市販の「日焼け止め」を使われる方が多いと思いますが、その表記ルールを覚えておいてください。UVAの防御能は「+」の数で表示され、「+」が低いほう、「++++」が高いほうです。また、UVBの防御機能は「数値」で表示され、数値が高いほど防御効果も高くなっています。

Q. そうしたなか、「日焼けサロン」って、なにをしているんですか?

A. 紫外線を浴びせ続けています。日本皮膚科学会の報告によると、日焼けサロンによる健康障害は150例を超すそうです。その中には、肌の炎症に限らず目の疾患も含まれます。

Q. とにかく、紫外線は浴びなければ浴びないほどいいのですか?

A. ところが紫外線は、ビタミンDの合成に深く関わっています。そして、ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収・再吸収を促すことで知られています。育ち盛りのお子さんや骨粗しょう症が心配される高齢者の場合、むやみに忌避するのも考えものでしょう。紫外線を適度に浴びることも必要ですし、日傘などの対策を取ることも必要。つまり、大切なのはバランスですね。

黄 聖琥 医師(医療法人浜悠会KO CLINIC 院長)

横浜市立大学医学部卒業。同大形成外科入局、同大学附属市民総合医療センター形成外科助教を経た2014年、神奈川県横浜市に「医療法人浜悠会KO CLINIC」開院。スキンケアのなかでも肝斑の治療・対処法に注力している。日本形成外科学会専門医。日本レーザー医学会、日本美容外科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会の各会員。横浜市立大学附属病院形成外科客員研究員。

引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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