目の下のクマはなぜできる? 医師が原因と正しい予防法を解説 病気の可能性も


目の下のクマはなぜできる? 医師が原因と正しい予防法を解説 病気の可能性も

疲れていないのに、どうしても疲れた表情になってしまう「目の下のクマ」に悩む方は多いと思います。そこで目の下のクマの原因や種類、予防などについてご紹介します。

目の下にクマができるのはなぜ? 血行不良・睡眠不足・体質・内臓との関連などクマができる主な原因・理由を教えて

Q. そもそも「クマ」とはなんですか? 病気ではないのですか?

A. 目の下のクマとは、目の下が「暗い」状態のことです。英語では「Dark Circle」といいます。病気ではありませんが、ごく稀に何かの病気のサインとしてクマが出ることはあります。悪性腫瘍などで急激に体重減少すると、アイホール周辺の組織も痩せてしまうので、結果的にクマができてしまうことはあります。また、甲状腺に異常があると「眼球突出」といって、眼球が前に出てきてしまうことがあるので、目の下に影ができてクマとなることもあります。「短期間で急激にクマが目立つようになった」「クマ以外にも気になる症状がある」という場合は、医療機関で原因を調べてもらいましょう。しかし多くの場合、「クマ=病気」ということはありません。

Q. なるほど。病気のサインの可能性はあっても、多くの場合はそうではないのですね。

A. はい。病気ではありませんが、目の下が暗いことで「不健康」「疲れている」「老けている」などの印象を与えてしまいますので、クマに悩んでいる方は多いと思います。また、「クマ=寝不足・睡眠不足」というイメージがあるからか、「生活習慣に気をつけて、きちんと寝ているのにクマが消えない」という方もいらっしゃるのですが、実は「寝不足」が原因でクマができることはほとんどなく、全体のごく僅かです。

Q. では、どうやったら改善できるのですか?

A. クマの原因を知り、それについて対処することで、改善することができます。原因を知るためには、まずご自身のクマの種類を知ることが大事です。

目の下のクマにも種類がある 茶クマ・青クマ・黒クマの違いとは? 肌の「くすみ」とクマは違うの?

Q. 目の下のクマにも種類があるのですか?

A. あります。目の下のクマは、大きくわけると黒クマ・青クマ・茶クマの3種類があります。それぞれ原因は異なりますので、対処法も異なります。

Q. それぞれのクマについて教えてください。

A. まず、黒クマですが、これは影クマとも呼ばれ、主に、眼球の下にある「眼窩脂肪」が前の方に出てくることで、その下に影ができて目元が暗くなってしまう状態です。「主に」と言ったのは、眼窩脂肪が特に出っ張っていなくても、その下の部分(頬など)が低いと、やはり影となってしまう場合もあるからです。若いときから目立つ方もいますが、多くの場合、眼球の支持靱帯がゆるんでくる35歳以降から目立ってきます。見分け方としては、凹凸による影ですので、正面もしくは下から光を当てて消えれば黒(影)クマと判断できます。

Q. では「青クマ」とはどういうものですか?

A. 皮膚から静脈が透けて見えることでできる、青色のクマです。目の下の皮膚は非常に薄いので、その部分だけ青みが目立ってしまうのです。これは「生まれつき目の下の部分に静脈が通っていると出来てしまう」ということになります。目尻を下に引っ張ったとき、クマの色が少し薄くなった場合は、青クマの可能性が高いです。

Q. では、「茶クマ」とは?

A. 色素沈着やシミでできる茶色いクマです。色素沈着は例えば、アトピー性皮膚炎やコンタクトレンズの着脱などで目を擦るクセがある方にも多く見られます。茶クマは、皮膚そのものが茶色っぽくなっているので、光を当てたり、皮膚を引っ張ったりしてもなくなりません。

原因を知って目の下のクマを改善へ 生活習慣や自宅で気を付けることは? クマ対策は何歳から始めるべき?

Q. それぞれについて、対策を教えてください。

A. 黒クマ(影クマ)は、クリニックによってアプローチに違いも見られますが、当クリニックでは目の下にある「眼窩脂肪」を取り除くクマ取り手術で改善させています。黒クマは、年齢とともに悪化していく傾向にあるので、何歳からといわず、早めの対処をお勧めします。

Q. 青クマの対策はどうしたら良いですか?

A. 一つは血行を促進すること、血流のよどみを解消することです。血流改善で、青クマを完全に消すというのは難しいですが、ある程度目立ちにくくすることは可能だと思います。もう一つは、医療機関で皮膚を厚くし、透けて見えないようにする方法です。レーザーや注射により皮膚、皮下組織を増生させ厚みを増加させ、血管が透過しないようにします。

Q. 茶クマについてはどうですか?

A. 目を擦るクセがある場合には、それを止めることが一番の対策です。洗顔やメイク落とし、アイクリームなどの使用時などにも、肌を強く擦らないように意識してみてください。あとは、紫外線も、色素沈着やシミを悪化させますので日焼け止めでこれを予防していきます。日焼け止めを塗るときにも優しく、擦らないようにしてください。また、外用薬(トレチノインやハイドロキノン)や内服薬によって色素沈着を少しずつ改善させる方法もあります。目元は粘膜が近く、皮膚が薄いために外用薬によるトラブルも起きやすい場所ですので、注意が必要です。シミの種類によっては、シミ取りレーザーなどで取り除くことが可能です。


池田 幹則(MIKIクリニック豊中駅前)

2005年、香川大学医学部卒業。大阪市立大学(現大阪公立大学)医学部附属病院整形外科、大阪市立総合医療センター整形外科、大手美容外科クリニックなどを経て、令和3年より、「MIKIクリニック豊中駅前」院長に就任。これまでの美容皮膚科・美容外科、整形外科専門医としての経験をもとに、ダウンタイムの少ない目の下のクマ治療を追求している。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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