睡眠補助サプリメントは本当に効果があるのか お悩み別の選び方や睡眠薬との違いを薬剤師が紹介


睡眠補助サプリメントは本当に効果があるのか お悩み別の選び方や睡眠薬との違いを薬剤師が紹介

ストレスがはびこる現代社会、不眠に悩んでいる人も多いと思います。最近では心療内科への受診のハードルが下がり、睡眠薬の処方もしてもらいやすくなったとはいえ、抵抗がある人も多いでしょう。そんな中、注目が集まっている「睡眠補助サプリメント」について解説します。

睡眠補助サプリメントにはどのような成分が含まれているのか

Q. 睡眠リズムがくるっている場合、どのような不眠が多いのでしょうか?

A. 不眠のタイプは、主に4つの種類があります。1つ目は「入眠障害」とされるもの。床に入ってもなかなか寝付けない場合は、このケースに該当します。2つ目に「中途覚醒」と呼ばれる症状で、睡眠中に何度も目覚めて、その後寝付けなくなります。これらは、日本人の中高年や高齢者に多いタイプです。3つ目の「早朝覚醒」と呼ばれる症状は、そこまで多くはないのですが、うつ病の方に比較的多いとされています。4つ目は「熟眠障害」です。この場合、睡眠時間は十分なのですが、ぐっすりと眠った感じがせず、日中に強い眠気が襲ってくるのです。またこの場合、ほかに「睡眠時無呼吸症候群」や「むずむず脚症候群」といった別の疾患が隠れていることもあるので、注意が必要です。また、60歳以上の高齢になると頻尿による熟眠障害も発生します。

Q. 食品にも含まれ、ストレスに良いとされている“GABA”は不眠にも良いのでしょうか?

A. はい、GABAはアミノ酸の一種として知られています。最近では特定保健用食品にも含まれるようになっています。このGABA、脳や脊髄と呼ばれる場所で精神を安定させる役割を果たす重要なアミノ酸となります。強い緊張が続いたりストレス下にあったりすると、このGABAの不足が起こってしまい、不眠につながります。摂取することで多少は改善するかもしれません。

Q. 睡眠補助サプリメントに含まれる成分には、どんなものがありますか?

A. GABAのほかにもグリシン、テアニンといったアミノ酸も不眠に効果があるとされています。このグリシンは、脳内のセロトニンを増加させる役割を持っており、セロトニンが多くなると感情の安定化、睡眠ホルモンとして知られているメラトニンというホルモンの合成が促進されます。結果、「ノンレム睡眠」という深い眠りが多くなり、効果が期待できます。また、テアニンについても、脳内のリラックス効果を示すα波を増やす効果により睡眠の質を改善したという報告もあります。

“睡眠補助サプリメント”と“睡眠薬”は何が違う? メリット・デメリットを比較

Q. 睡眠補助サプリメントの効果は、実際どの程度あるのでしょうか?

A. 医薬品とサプリメントには大きな違いがあります。見た目は非常によく似ており、カプセルや錠剤のような形をしています。しかし、あくまでサプリメントというものは、日常健康生活を維持するために予防的に健康補助するという目的で作られたもので、明確な効能効果で治療に使用はできません。

Q. 市販の睡眠薬は睡眠補助サプリメントと何が違うのでしょうか?

A. 市販の睡眠薬は「一般用医薬品」と呼ばれる分類となります。そのため、医師の診断のもと処方される「医療用医薬品」までは効果が期待できないものの、不眠に悩んでいる方には一定の効果が期待できます。一般用医薬品の場合、ジフェンヒドラミンという成分を使用した睡眠改善薬が一般的です。もともと、抗ヒスタミン薬として使用されておりましたが、その副作用で眠気が出ることを逆手にとった商品で、比較的こちらは安全性も高いですね。医療用医薬品の成分ほどの効果は期待できないかもしれませんが、一般用医薬品とはいえ、一過性の不眠に対してはそれなりに効果が出てくることがあります。ほかにも、ブロモバレリル尿素と呼ばれる成分を含有しているものなどがありますが、依存性も高い成分で精神神経症状が出てくることもありますので注意が必要です。

Q. 医療用の睡眠薬はサプリメントや市販薬と比べてメリット・デメリットはありますか?

A. 医療用の睡眠薬は、作用時間や作用強度によって、実感する効果に程度の差はあるものの、サプリメントや市販薬に比べると効果的であることが多いですね。そういったところはメリットといえるでしょう。デメリットとしては連用することによる依存性などの問題です。以前までよく処方されていたベンゾジアゼピン系と呼ばれる睡眠薬は、ここ最近連用による副作用や転倒・ふらつきなどの副作用により、処方を控えるようになってきました。

Q. 睡眠薬もサプリメントもどちらも嫌な方に、おすすめの対応方法はありますか?

A. 飲み薬が嫌いな方にはまず、入眠前の行動を改善してみることはいかがでしょうか?例えば、寝る前にテレビやスマートフォン、パソコンによるネットサーフィンをしている方は、やめてみること。実際にそういった機器から発する光による刺激が、入眠障害につながることが報告されています。また、カフェインやアルコールの摂取、喫煙についてもそうですね。特にアルコールは睡眠薬のような作用がありますが、利尿作用などもあるため中途覚醒の原因となりやすいのです。こういった環境要因を減らすことも対策としては有効です。なお、ビタミンB群の摂取により若干ですが、覚醒作用につながる可能性もあります。寝る前のビタミン摂取は避けておく方が無難かもしれません。

睡眠補助サプリメントを服用する際の注意点は? 副作用はない? 毎日服用しても大丈夫?

Q. 睡眠補助サプリメントは安全なのでしょうか?

A. 正直な話、そのサプリメントが安全かそうでないかを判断することは難しいですね。先ほどもお伝えしましたが、睡眠補助サプリメントの多くがアミノ酸を使用したものになります。アミノ酸は本来体に良いものですが、過剰摂取すると体に害を及ぼすことも考えられます。サプリメントの販売している会社が信頼できる会社かどうかも重要です。機能性表示食品の表示がされているものは、消費者庁から一定の信頼性を担保しているものです。国がその効能効果を認めているものを中心に摂取すれば、安全性の面と有効性の面の両方から期待できると思います。

Q. 中途覚醒する人が多くなっていますが、そういった方へのおすすめできる睡眠補助サプリメントの摂り方を教えてください。

A. 中途覚醒には、睡眠の深さを強くする効果が期待できるものの摂取をおすすめします。例えば、ラフマ葉成分の含有しているものを就寝前に摂取する方法が良いかもしれません。


尾田 健志(薬剤師)

神戸学院大学卒業。大学卒業後、大阪東部にドミナント展開している調剤併設型ドラッグストアに就職。その後、調剤薬局で調剤経験を積んだ後、病院薬剤師として従事。その傍ら、医療情報学を正しく学び、その得られた知識についてきっちりとしたものを世の中にわかりやすく、かみ砕いて伝えたいという気持ちを胸に医療コラムなどの執筆活動中。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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