【危険】「糖尿病」に1.62倍なりやすい人が『寝ている間にやってしまっていること』


【危険】「糖尿病」に1.62倍なりやすい人が『寝ている間にやってしまっていること』

糖尿病や高血圧など、さまざまな生活習慣病と深いつながりを持っている「睡眠時無呼吸症候群」眠っている間に呼吸が止まるこの疾患が及ぼす影響は、決して眠りの問題だけではないのです。

睡眠時無呼吸症候群とは? 原因は?

Q. 睡眠時無呼吸症候群とはなんですか?

A. 睡眠時無呼吸症候群とは寝ている間に、文字通り一時的に呼吸が止まったり、浅くなったりすることを繰り返す状態のことをいいます。睡眠中に何度も呼吸が止まると睡眠の質が低下し、昼間に眠気に襲われることがあります。実際、睡眠時無呼吸症候群の運転手が重大な事故を起こし、ニュースになったこともありました。

Q. 睡眠時無呼吸症候群はなぜ起きるのですか?

A. 睡眠時無呼吸症候群には、空気の通り道が狭くなることで起きる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と、脳に異常が起きることで発症する「中枢性睡眠時無呼吸症候群」がありますが、一般的なのは前者「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」の方です。これには肥満、顎が小さい、扁桃腺の肥大、飲酒、睡眠薬、鼻炎などさまざまな原因が考えられます。

Q. 睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなるのですか?

A. 日中に強い眠気が起こり、社会生活に支障を及ぼすだけでなく、近年の研究により高血圧や糖尿病、動脈硬化などさまざまな疾患を起こしやすくなることがわかっています。

Q. 睡眠の問題だけではないのですね。

A. はい。特に近年問題になっているのは、睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の関係です。実際、睡眠時無呼吸症候群を発症している肥満の人は、糖尿病や高血圧などを合併していることが多いことが明らかになっています。睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病の原因となるだけでなく、生活習慣病が睡眠時無呼吸症候群の悪化要因になることもあり、互いに関連しながら全身状態が悪化していきます。そのため睡眠時無呼吸症候群を放置することはとても危険です。

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の関係性

Q. 睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病はどのような関係があるのですか?

A. たとえば、睡眠時無呼吸症候群と関係の深い高血圧を例に挙げて考えてみます。睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりすると血液中の酸素が不足し、交感神経が刺激されて血圧が上がります。また無呼吸の状態が何度も続くと睡眠中に大きなストレスが生じることになり、そうなると副腎皮質からコルチゾールなどのホルモンが分泌されます。これらは血圧を上昇させる働きがあるので、睡眠時無呼吸症候群になると血圧が上がりやすくなるのです。

Q. 睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係は?

A. 睡眠時無呼吸症候群になるとインスリンの働きが低下し、血糖値が下がりにくくなります。また、交感神経が活性化されたり、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されたりすると糖代謝が異常をきたし、血糖値が上がりやすくなります。脂肪も蓄積しやすくなり、肥満に至る可能性も高くなります。そのため、睡眠時無呼吸症候群になると糖尿病になりやすいのではないかと考えられています。

Q. 睡眠時無呼吸症候群になると、糖尿病を発症しやすくなるのですね。

A. はい。睡眠時無呼吸症候群があると、一般の人に比べて糖尿病になるリスクが1.62倍になるという研究報告もあります。また、睡眠時無呼吸症候群も糖尿病も、どちらも肥満と深い関わりを持つ病態であることから、両者を合併する人が多いと考えられています。

睡眠時無呼吸症候群のリスクと治療法

Q. 睡眠時無呼吸症候群を放置することは危険なのですね。

A. はい。生活習慣病だけでなく、高血圧などが原因となって動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすくなります。さらに最近では、睡眠時無呼吸症候群は認知症の発症リスクを高めることもわかっています。

Q. 睡眠時無呼吸症候群は治療することができるのですか?

A. はい。原因にもよりますが、肥満により睡眠時無呼吸症候群となっている場合にはまず、減量することが必要です。食事に気を付ける、運動習慣を身につけるなど、軽症の場合には生活習慣の改善で症状の改善を期待することができます。また鼻炎が原因となっている場合には耳鼻科での治療が必要です。

Q. それでも治らない場合には?

A. たとえばマウスピースを装着することで空気の通り道が確保され、睡眠時に無呼吸となるのを防ぐことができる場合もあります。もっと重症の場合にはCPAP療法といって、睡眠時に特別な器具を装着して気道を広げる治療が必要になることもあります。いずれにしても放置するとどんどん合併症が悪化するリスクが高まりますから、早期に治療を開始することが必要です。


勝沼 伸英(かつぬま内科クリニック)

1997年帝京大学医学部卒業、日本大学医学部附属板橋病院第2内科(現・内科学分野循環器内科系)。2004年日本大学医学部大学院医学研究科博士課程修了。2005年春日部市立病院(現・春日部市立医療センター)呼吸器内科、2008年千歳台はなクリニック副院長などを経て現職。医学博士、日本医師会認定産業医。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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