「心臓が痛い」のは緊張やストレスが原因? 対処法や診断基準を医師が解説!


	「心臓が痛い」のは緊張やストレスが原因? 対処法や診断基準を医師が解説!

緊張やストレスで心臓が痛くなることは、経験がある人も多いのではないでしょうか。少し経てば自然と症状が消えるため、あまり気にしないと思いますが、じつは疾患のサインかもしれません。

緊張やストレスで心臓が痛くなるのはなぜ?

Q. 緊張したときやストレスを感じたとき、心臓が痛くなるのはなぜですか?

A. 多くの場合、自律神経が関係しています。自律神経には臓器の動きをコントロールしたり、体温や代謝などを調節したりする働きがあり、交感神経と副交感神経の2つがバランスを取っています。しかし、ストレスを感じたり、緊張したりすると、このバランスが崩れてしまいます。その結果、心臓に痛みが出るといった症状をきたしてしまうのです。

Q. 心臓に痛みが出ているとき、自律神経はどのような状態になっているのでしょうか?

A. 交感神経が優位になります。そして、心拍数や脈拍が速くなり、血圧は上がります。それにより、普段あまり感じることがなかった動悸の症状が出て、その違和感を心臓の痛みとして認識する人が多いのだと思います。

Q. 自律神経の働きによって、心臓に痛みが生じるのですね。

A. はい。交感神経が優位になって心拍数や血圧が上がると、それが強いストレスになります。すると、相対的な心筋虚血の状態になり、狭心症状を引き起こすことがあります。その結果、血流が追いつかなくなり、心臓が強い痛みを感じるということも考えられます。

緊張やストレスで心臓が痛いときは受診しなくてもいい? 受診の目安は?

Q. 緊張やストレスで心臓が痛いときは、疾患名がつくのですか?

A. 一般に、緊張やストレスによる心臓の痛みは「心臓神経症」と呼ばれます。心臓神経症の原因はこれまでお話ししたような緊張やストレスのほか、過労などによっても起こります。心臓自体には何も異常がないのに、胸の痛み、動悸、息苦しさなどの症状が繰り返し起こります。「刺すような痛み」と表現されることが多い一方で、「ズキズキ」「チクチク」「締めつけられるような痛み」などと言われることもあります。

Q. 痛みはどれくらい続くのですか?

A. 心臓神経症の痛みは数秒~数時間、場合によっては1日続くこともあります。しかし、あくまでも一時的なものが多く、数時間以上、痛みが続く場合には「心膜炎」や「胸膜炎」などの疾患が疑われることもあります。

Q. 緊張したときなどに胸が痛むという場合、放置しても大丈夫でしょうか?

A. いいえ。自分では「心臓神経症だ」と思っても、もしかしたら狭心症や不整脈などの疾患が隠れているかもしれません。場合によっては命のリスクになる重篤な疾患が隠れていることもあります。もし心臓の症状に悩まされている場合には、一度、医療機関を受診した方がいいでしょう。

心臓神経症の検査方法や治療法

Q. 心臓神経症が疑われるときには、どのような検査がおこなわれるのですか?

A. 問診のほか、胸部レントゲン検査、心電図検査、負荷心電図検査、心臓部エコー検査などで異常がないか調べます。発作が頻繁に起きる場合は、ホルター心電図検査という24時間、心電図を記録する検査を推奨します。

Q. 治療法はあるのですか?

A. 自律神経が原因となっているため、まずは緊張を抑えることが必要です。そのため、私が治療をおこなう際には主に漢方薬を使用し、交感神経による心臓の緊張を落ち着かせます。具体的には、「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」や「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」などの漢方薬を使用します。即効性はそれほどありませんが、2週間くらい服用すると効果が出てきて、その後も効き目が持続する特徴があります。

Q. 西洋薬を使うケースもあるのでしょうか?

A. あります。漢方薬であまり効果がみられない場合、あるいは即効性を期待したい場合には、交感神経の働きを抑えて心臓を少し休める「β遮断薬」や、不安感などを軽減する「抗うつ薬」などを用いることもあります。

Q. 投薬以外にも治療法はありますか?

A. 必要に応じて、精神科医やカウンセラーによるカウンセリングをおこなうこともあります。ただし、まずは心臓に異常がないかどうか的確に診断することが大切です。緊張したときやストレスが強いときなどに胸が激しく痛むという場合は、できるだけ早く循環器内科や心臓血管外科を受診しましょう。


中村 賢(KENカルディオクリニック柏)

東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。その後、東京慈恵会医科大学附属病院、明理会中央総合病院、埼玉県立小児医療センター、埼玉県立循環器・呼吸器病センターなどで心臓外科医として経験を積む。2023年、千葉県柏市に「KENカルディオクリニック柏」を開院。医学博士。日本外科学会専門医・指導医、日本循環器学会専門医、心臓血管外科専門医認定機構修練指導医。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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