痔を発症する原因とは?温水ウォシュレットって予防に良いの?外科医231名に聞いてみました
今回の調査では「痔の原因として多いものは何ですか」との質問に対し、「便秘や下痢」が最も多く回答され、次いで、「座りっぱなしや立ちっぱなし」「妊娠や出産」が回答されました。医師のコメントによれば、排便の際のいきみや刺激が原因となり、痔を引き起こすと考えられるようです。また、温水ウォシュレットは痔の予防に効果があるかについては、医師の70%がその効果を認める結果となりました。局部を清潔に保てることや、紙による刺激が減るといったことが理由として挙げられています。一方否定的な意見を示した医師からも、術後のケアや増悪防止に使えるのではといったコメントが寄せられており、発症してからも効果があるのかもしれません。
デリケートな部分に発症してしまう痔。
そんな痔ですが、一体何が原因で発症してしまうのでしょうか。
デスクワークは痔になりやすいとのうわさを耳にしたことがある方もおられるでしょう。
また、温水ウォシュレットが痔の予防に効果があるといううわさもあるようですが、本当なのでしょうか。
そこで今回は、痔の原因と、温水ウォシュレットは痔の予防になるのかについて外科医231名に聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2018年4月13日〜4月16日にかけて行われ、一般外科、消化器外科医、計231名から回答を頂きました。
痔の原因で多いのは「便秘や下痢」
「痔の原因として多いものは何ですか」という質問に対し、次の選択肢から選んでもらい、コメントを頂きました。
・便秘や下痢
・座りっぱなしや立ちっぱなしの仕事
・刺激物の取りすぎ
・運動不足や冷えなどによる血行不良
・妊娠や出産
・その他
以下が結果となります。
・50代男性 一般外科 消化器外科
便通異常が一番の原因です。
・50代男性 一般外科 消化器外科
症状の増悪は便秘や下痢が引き金になることが多いです。
・60代男性 一般外科 消化器外科
やはり便秘とそれによるいきみが一番の原因かと思います。
・50代男性 一般外科 消化器外科
便秘や下痢による肛門への持続的な刺激が原因で、クリプトの感染を引き起こすのではないでしょうか。
・50代男性 消化器外科
正しい排便習慣や、入浴の習慣が重要だと思います。
・50代男性 一般内科 消化器内科
座りっぱなしや立ちっぱなしの仕事が多いです。
・30代男性 一般外科
座りっぱなしの人に多い印象です。
・60代男性 一般外科 消化器外科
経産婦は多いですね。長時間の立ち仕事も多いと思います。
・50代女性 一般外科
出産で一気に痔になりました。出産時に会陰切開を縫合するついでに余った糸で、一針結紮してくれました……。
・60代男性 一般外科 消化器外科
女性では妊娠・出産を契機に発生することが多く、男性では座り仕事が契機になる印象があります。
今回の調査では、「便秘や下痢」が痔の原因として最も多いと回答されました。
医師からは便秘によるいきみや、便秘や下痢による肛門への持続的な刺激などが原因ではとのコメントが寄せられています。
どうやら物理的に肛門への刺激になるものは痔の原因になり得るようですね。
また、妊娠・出産が原因になるとの声も多く挙げられました。
なかには「出産で一気に痔になりました。出産時に会陰切開を縫合するついでに余った糸で、一針結紮してくれました……。」との実体験を交えた医師のコメントも頂いております。
さて、前述のように様々な原因により発症してしまう「痔」ですが、皆さんは痔と温水ウォシュレットの関係性について耳にしたことはありますでしょうか。温水ウォシュレットは痔の予防に効果がある、といううわさもあるようです。
そこでこの話が本当なのかどうか、医師に聞いてみました。
70%の医師が「温水ウォシュレットは痔の予防に効果がある」と回答
「温水ウォシュレットの使用は痔の予防に効果がありますか」との質問に対し、39%の医師が「多少は効果がある」と回答。また、31%の医師が「効果がある」と回答しました。このことから、合わせて70%もの医師が温水ウォシュレットに痔の予防効果があると認めていることがうかがえます。
それではまず、予防効果があると回答した医師のコメントを見ていきましょう。
多少は効果がある・効果がある
・50代男性 消化器内科 一般外科
清潔にする意味はあると思います。
・40代女性 一般外科
肛門を刺激せず清潔にできるのは意味があると思います。
・50代男性 一般外科 消化器外科
便の後、ごしごしペーパーでこすることは避けた方がいいです。
・40代男性 一般外科 消化器外科
清潔に保つという意味で有効だと思います。
・50代男性 一般外科 消化器外科
清潔に保つこと、紙で何度もこすらないという利点はあります。
・60代男性 一般外科 消化器外科
紙で拭かないことで、刺激が少なくて良いのではないでしょうか。
・50代女性 一般外科
ウォッシュレット、産後初めて素敵な存在だと気が付きました。
・40代男性 一般外科 消化器外科
清潔に保つことは、痔瘻など感染を伴う痔疾には効果があると思います。
・60代男性 一般外科 消化器外科
清潔は保てるので、外痔核には非常に効果的と思われます
・60代男性 一般外科 消化器外科
洋式トイレを使うことになるのでいきみの頻度は少なくなるかと…。
・60代男性 一般外科 消化器外科
洗浄すると局所炎症も抑えることができ、痔の予防に効果があると思います。
・50代男性 一般外科
ペーパーでの擦過を軽減するので出血のリスクが減ります。
・60代男性 消化器外科
洗浄は有効と感じています。特に温水は有効と思います。
・50代男性 一般外科 消化器外科
暖房便座や温水ウォシュレットができて痔疾患の人が減った気がします。
・60代男性 消化器内科 消化器外科
患部を清潔にすることでかなりの改善を認める場合も多いのでお勧めします。
予防効果があると回答した医師からは、肛門を清潔に保てるとのコメントを多く頂きました。
また、医師から「暖房便座や温水ウォシュレットができて痔疾患の人が減った気がする」、「患部を清潔にすることでかなりの改善を認める場合も多いのでお勧めします」とのコメントが寄せられています。
どうやら温水ウォシュレットを使用することで紙による刺激が減り、清潔も保つことから、痔の予防に効果的のようですね。
それでは次に、効果はないと回答した医師のコメントを見ていきましょう。
あまり効果はない・効果はない
・60代男性 一般外科 消化器外科
気持ちいいだけだと思います。
・50代男性 一般外科
清潔にするのは重要ですが予防とまではいかないのではないでしょうか。
・40代男性 一般外科
清潔の観点からはあると便利ですが、刺激が強い当て方をするとむしろ逆効果ではないかと思います。
・60代男性 一般外科
痔核、痔瘻の発生予防には効果は薄いですが、発生した時には増悪防止の効果はあると思います。
・50代男性 一般外科 消化器外科
術後のケアには便利ですが、予防効果はないでしょう。
・50代男性 消化器外科
痔瘻、裂肛、痔核の予防にはならない。治療には使えるかもしれません。
・50代女性 一般外科
紙で拭きまくるよりは負担は少ないと思いますが、痔の予防にはならないと思います。
否定的な意見を示した医師からは、「紙で拭きまくるよりは負担は少ないと思いますが、痔の予防にはならないと思います」、「清潔にするのは重要ですが予防とまではいかないのではないでしょうか」とのコメントを頂きました。
確かに肛門への負担は少なくなるものの、それが痔の予防に繋がるかというと疑問を抱くようです。
一方で予防には否定的ではあるものの、術後のケアや増悪防止には使えるかもしれないとの意見が挙げられました。
原因を知り、痔の対処を。温水ウォシュレットで局部を清潔に!
今回の調査では痔が発症する原因について質問したところ、「便秘や下痢」の回答が最も多く、その後を「座りっぱなし・立ちっぱなし」「妊娠・出産」が続く結果となりました。
医師からは、排便の際のいきみや肛門への刺激が原因であるとのコメントが寄せられました。
また、「温水ウォシュレットの使用は痔の予防に効果がありますか」との質問に対して、70%もの医師がその効果を認めていることがわかりました。紙の刺激が少なくなることや、清潔に保てることがポイントのようです。
一方で、否定的な回答をした医師からは予防とまではいかないのではとのコメントが寄せられたものの、術後のケアや増悪防止に使えるのではといった意見を頂きました。
ひどい痔にならないためにも、便秘や下痢を起こさないよう体調に注意しながら、温水ウォシュレットをうまく活用していくのが大事そうですね。
引用元:イシコメ 医師と患者をむすぶメディカルサービス
https://ishicome.medpeer.jp/entry/1287