整腸剤の効果を薬剤師に聞く 便秘解消や腸内環境の改善に効果的なのか


整腸剤の効果を薬剤師に聞く 便秘解消や腸内環境の改善に効果的なのか

CMで整腸剤の宣伝を聞いたり、ドラッグストアで目にすることも多いでしょう。また、抗生物質と一緒に処方された整腸剤を飲んだことがある方もいらっしゃると思います。整腸剤を飲むと腸内環境は良い状態になるイメージはありますが、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。

整腸剤とはどんな薬なのか 便秘薬・下痢止めとは何が違う?

Q. はじめに、整腸剤とはどんな薬か教えてください。

A. 一言でいうと「腸内環境を正常な状態に整えてくれる薬」です。その結果、便の量や回数、硬さ、水分量が理想的なお通じが継続され、体にとって害のある毒素を外に出してくれます。

Q. 整腸剤の効果を具体的に教えてください。

A. 腸内環境を整えることによって、下痢や便秘の改善、免疫力の向上、アレルギー疾患の改善、エイジングケア効果、幸せホルモンの増加などが期待できます。

Q. 便秘薬や下痢止めとどう違うのですか?

A. 整腸剤は腸内環境を整えることで、便秘にも下痢にも効果が期待され、正常なお通じに導くのに対し、便秘薬は腸を刺激することで便通を促します。下痢止めは腸の異常収縮を抑え、腸内の水分過剰を抑えることで下痢を止めます。なので、改善方法がまるで違うというイメージですね。

整腸剤に含まれる成分を紹介 腸内環境との関係性を併せて解説

Q. 腸内環境を整えるとはどのようなことですか?

A. 腸内には沢山の腸内細菌がいて、3つの種類にわけられます。腸内に良い働きをする善玉菌、悪い働きをする悪玉菌、どちらにも属さない日和見菌にわけられます。この3つが「2対1対7」のバランスで存在するのが理想の状態と言われています。さらに、善玉菌の中には、ビフィズス菌・乳酸菌・酪酸菌などがあります。善玉菌は乳酸や酪酸などの良い酸を出して、腸内を理想的な弱酸性に保ってくれます。

Q. 悪玉菌や日和見菌についても詳しく教えてください。

A. 悪玉菌には大腸菌・ウェルシュ菌・ブドウ球菌などがあり、毒性物質を出して、腸内をアルカリ性にします。ガスがたまったり、下痢・便秘になったりするのも悪玉菌の出す毒性物質の仕業です。日和見菌は一番多い菌ですが、優勢な状態の菌になびく性質があります。悪玉菌より、善玉菌と日和見菌の量を増やすことが腸内環境を整えることになります。

Q. 整腸剤の成分はどんなものがありますか?

A. 善玉菌のビフィズス菌・乳酸菌・酪酸菌などが主な成分です。ほかに納豆菌や胃腸機能を高める成分が入っているものもあります。

Q. 整腸剤を飲むとどのようなことが起こりますか?

A. 「善玉菌が増える」「日和見菌も加わる」「悪玉菌が減る」など、腸内細菌のバランスが良い状態になります。そして、乳酸や酪酸が多く作られ、腸内が弱酸性に傾き、良い便を作ることができる状態となります。また、腸管にはたくさんの免疫細胞が集まっています。腸内環境が整うと免疫細胞も活発に働くことができるので、免疫力の向上につながります。免疫力の向上からいろいろな病気に良い影響が起きますが、特にアレルギー疾患の改善も期待できます。花粉症やアトピー性皮膚炎の症状も軽くなります。便秘によって吹き出物ができたり、肌の状態が悪くなったりした経験がおありと思います。腸内環境が整うことで皮膚も良い状態が保て、エイジングケアにも十分良い効果があります。

Q. ほかにもあれば教えてください。

A. セロトニンというホルモン、別名「幸せホルモン」とも呼ばれますが、主に腸内で作られます。脳内物質のひとつでたくさん出ていると、心のバランスを整えてくれることがわかってきています。うつ病にも大きく関係しています。腸内環境が整い「幸せホルモン」が増えることで、気分の改善に良い影響が考えられます。

整腸剤の正しい飲み方・服用時の注意点を解説 毎日服用しても問題ないのか

Q. 整腸剤の正しい飲み方を教えてください。

A. 用法用量は1日3回毎食後に服用します。飲めなかった場合は、気づいたときに飲んだり、飲む回数が減ったりしても大きな問題はありません。

Q. 毎日服用しても問題ないですか?

A. 問題ありません。むしろ毎日コンスタントに続け、2週間以上は続けてください。副作用はありませんが、飲みはじめに急にガスが多く出ることがあるかもしれません。これは腸内が正常な状態に向かっているときに、今までたまっていたガスがたくさん出ることがあるからで、しばらくすると治まりますので安心して下さい。

Q. 注意点はありますか?

A. 便に出血、お腹にしこりがあるとき、4週間服用しても効果が見られないときは、医師や薬剤師にご相談ください。別の病気の可能性があります。


川村 文栄(薬剤師)

総合大学薬学部薬学科卒業後、大手製薬メーカーにて医薬品申請業務に従事。ブランクを経て再就職。公立病院・調剤薬局にて勤務。各診療科の処方箋を応需、管理業務も経験。現在も調剤薬局に在籍しながら、医療ライターとして活動中。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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