医学的根拠のある運動で生活習慣病を予防!「メディカルフィットネス」を医師が解説!
「メディカルフィットネス」という言葉はご存じでしょうか? メディカルフィットネスとは、医学的な根拠に基づいた運動を意味する言葉です。その効果、重要性などについて医師に伺いました。
メディカルフィットネスとは?
Q. まず、メディカルフィットネスについて教えてください。
A. メディカルフィットネスとは、医療的な考え方や根拠を取り入れたフィットネス全般を指します。最近では、医療機関が運営するフィットネス施設や医療的要素を取り入れた運動施設を、一般的なスポーツジムと区別する意味でメディカルフィットネスと呼ぶ場合もあります。
Q. メディカルフィットネスの目的はなんですか?
A. 施設によって違いはありますが、トレーニングによる筋力アップや持久力アップだけでなく、生活習慣病の予防や改善、心臓病の症状軽減などの健康維持・増進、整形外科的疾患の改善や後遺症予防を目的としています。例えば、持病のある人、歳を重ねるにつれて体力が著しく落ちてしまった人、手術後のリハビリが終わった人なども安心して運動を継続でき、病気や症状の改善が期待できます。
Q. 病気があっても運動していいのですか?
A. たしかに、病気が悪化しないか心配ですよね。特に心臓病の人などは、運動することに抵抗があるでしょう。しかし、多くの研究で「心臓病のある人が適切な運動療法をおこなうことで、症状が改善したり、健康寿命を延ばしたりする効果がある」と示されています。
Q. 生活習慣病の人の運動効果についてはいかがでしょうか?
A. 高血圧や糖尿病、脂質異常症などは、自覚症状がほとんどないため「自分は大丈夫」と思いがちです。しかし、症状のない軽度の生活習慣病でも長く放置していると動脈硬化が進行し、「心筋梗塞」や「脳卒中」の発症リスクが高まります。症状のない早期のうちから健康的な習慣を手に入れることで、これらの病気を防ぎ、ひいては寝たきりや認知症などの予防につなげていくことができるのです。
メディカルフィットネスの特徴
Q. メディカルフィットネスの特徴を教えてください。
A. まず、それぞれの状態を正確に把握するための「医学的検査」を実施します。当院の連携施設の場合は、血液検査や尿検査、心電図や体組成計のほか、動脈硬化検査や心肺運動負荷試験などをおこなっています。このような検査で、現時点での体の状態や問題点、運動能力などを判断するところからフィットネスが開始されます。
Q. そこから、どのようにフィットネスをおこなうのですか?
A. 検査後は、理学療法士が検査結果に基づいて運動プログラムを立案したり、看護師と面談をしてフィットネスの目標を決めたりします。施設によっても異なりますが、管理栄養士による栄養指導が入ることもあります。また、通常のスポーツジムなどのように、ヨガやピラティスを取り入れるメディカルフィットネス施設もあります。
Q. 栄養指導もあるのですね。
A. そうですね。タンパク質の摂取を推奨することなどは通常のフィットネスと同じですが、メディカルフィットネスの場合はそれに加えて、それぞれの病気に応じた指導をおこないます。例えば、水分や塩分の摂取を考えたり、過食や過体重の場合はカロリーをコントロールしたりすることもあります。
メディカルフィットネスを受けるには?
Q. メディカルフィットネスに興味が出てきました。
A. お近くにメディカルフィットネス施設があれば、直接話を聞きに行ってもいいですし、通院中の人は主治医に相談してみるなど、色々な方法があります。メディカルフィットネス施設を併設、またはメディカルフィットネス施設と提携している医療機関に相談するのもおすすめです。医師による診察や検査の結果を考慮して、それに沿った運動処方がオーダーされます。
Q. メディカルフィットネスの費用についても気になります。
A. それぞれの病態やフィットネス施設によって金額が異なります。保険適用になるケースとそうでないケース、混合診療のケースなどもありますし、1回ごとのお支払いの施設もあれば、月額制の施設もあります。例えば、一般的にはプールがあると維持費がかかるので会費も上がる傾向にあるなど、値段設定も様々なので、それぞれの医療機関やフィットネス施設に確認してください。
飯田 圭(飯田医院)
日本大学医学部卒業。その後、国立循環器病研究センター心臓血管内科レジデントとして勤務、日本大学医学部内科学系循環器内科学分野准教授などを務める。2007年、埼玉県ふじみ野市に位置する「飯田医院」の副院長に就任。日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心臓リハビリテーション学会指導士、日本医師会認定健康スポーツ医。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
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