【危険】「どうせ痩せれない」と放置するな 肥満が体に与える悪影響とは?


【危険】「どうせ痩せれない」と放置するな 肥満が体に与える悪影響とは?

肥満は単なる体重増加に留まらず、全身の健康に深刻な悪影響を及ぼす可能性のある状態です。具体的にどんな悪影響があり、どんな疾患のリスクを高める原因となるのでしょうか?

ダイエットって必要? 医師が解説!

Q. スーパーやコンビニへ行くと、カロリーや糖質を制限したダイエット食品が多くありますね。

A. アジア人は比較的痩せている人が多い傾向にありますが、ダイエットをしている人は多いのです。ちなみに「ダイエット」という言葉は「減量」という意味で使われることが多いのですが、本来は「健康保持のために食事の量・種類を制限すること」という意味です。

Q. 美容のために痩せることがダイエットだと思っていました。

A. どちらかというと健康のためにダイエットしていただきたいですが、確かに外見がスレンダーになることで、気持ちが前向きになったり、自信がついたり、さまざまな良い影響があるので、きっかけはなんでも良いと思います。

Q. やはり、ダイエットはしたほうが良いのでしょうか?

A. 一概にそうとは言えません。成長期に無理なダイエットをすることで、将来の骨粗しょう症のリスクが上がることが報告されていますし、普通体型の人がストイックなダイエットをする必要もありません。私が推奨したいのは、あくまで肥満傾向にある人が、将来的な病気などを予防するためのダイエットです。

肥満が引き起こす疾患とは?

Q. 肥満だとどのような病気のリスクがありますか?

A. ありとあらゆる病気のリスクがあります。例えば2型糖尿病は肥満との関連が強いと言われていますし、高血圧や動脈硬化、心臓病、心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患や脳血管疾患のリスクも高めます。

Q. 生活習慣病との関連は聞いたことがあります。

A. それだけではありません。ほかにも過剰な脂肪が気道を圧迫することで起こる睡眠時無呼吸症候群や関節に過剰な負荷がかかることで起こる変形性股関節症や変形性膝関節症などのリスクも高まります。

Q. そんなに多くの病気と関連があるのですね。

A. そうですね。あとは、男性であれば大腸がんのリスク因子にも挙げられていますし、女性は不妊症や乳がんとの関連も報告されています。

肥満を放置しないためにはどんなことに気をつけたら良い?

Q. 審美的な問題だけではないのですね。

A. はい。もちろん外見的にも、社会的な偏見や自己評価の低下が精神的ストレスを引き起こすことに繋がりやすいと言われています。

Q. そうなのですね。

A. 肥満関連疾患の中でも特に最近注目されはじめているのが、「肥満関連腎臓病」です。通常の腎臓病よりも、透析が必要となるリスクが高いので注意が必要です。そのほか、最近のトピックとしては、腸内細菌と肥満の関連も注目されてきています。腸内細菌によって、太りやすくなってしまうだけでなく、太るような行動にも腸内細菌が関係しているという説が出てきています。

Q. ダイエットをする際、気をつけることなどありますか?

A. 「ちょっと太ってきたからしばらく食生活を意識してみよう」くらいであれば問題ないのですが、体重をかなり落とさなければならない人が自己流でダイエットをするのは危険です。最近は、当院もおこなっているような「肥満外来」といった専門の外来も増えてきているので、そういったところに相談してみると、安全で効果的なダイエットが期待できます。また、近年メディカルダイエットにおいて注目されている「セマグルチド」という薬が肥満症に対して保険が適用になりました。大きな病院で6ヵ月の栄養指導を受けなければいけないなど、やや条件は厳しいですが、興味のある方はお近くの肥満外来などに相談してみることをお勧めします。


薗田 憲司(そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック渋谷駅道玄坂院)

日本医科大学卒業後、東京臨海病院初期研修、東京都済生会中央病院勤務を経て、2023年そのだ内科 糖尿病・甲状腺クリニック渋谷駅道玄坂院を開院。高校時代、糖尿病になり苦しんでいる父親を救いたいという思いから糖尿病専門医を志す。外来診療で伝えきれないダイエットや血糖値改善のための食事や運動の方法を親しみやすい医師「血糖おじさん」としてYouTubeやInstagram、書籍、メディアを通じて広く情報発信している。日本内科学会内科認定医。日本糖尿病学会糖尿病専門医。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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