鉄分を摂取するのに有効な食品は何?医師526人に聞いてみました
本調査では、鉄分を摂取するのに有効な食品は何か聞いたところ「豚レバー」との回答の割合が一番高く、次に「ほうれん草」、「牛ヒレ肉」が続きました。医師のコメントによれば、鉄分を含む食品は、動物性と植物性に分かれていて、動物性であれば「豚レバー」などのレバー類や「牛ヒレ肉」、植物性であれば「ほうれん草」が比較的多くの鉄分を含んでいるようです。また、動物性と植物性では、含まれている鉄の種類や吸収率が違うと言われています。本記事を参考までに、鉄分の摂取方法を考えてみてはいかがでしょうか。
貧血気味で鉄分が不足していると感じる方はいませんか。
特に女性の場合、月経や妊娠出産などで体内の血液を失い、貧血を起こしてしまう人もいるでしょう。
そんな人こそ、普段の食事から鉄分を効率よく摂取したいですよね。では、どのような食品に多くの鉄分が含まれるのでしょうか。何を食べれば効率よく鉄分を補給できるのでしょうか。
そこで今回は、一般内科,総合診療,代謝・内分泌科,健診・予防医学医526人に、鉄分を摂取するのに有効な食品は何か聞いてみました。
※ 本調査は医師専用コミュニティサイトMedPeer(https://medpeer.jp/)にて、2019年4月24日~2019年4月26日にかけて行われ、一般内科,総合診療,代謝・内分泌科,健診・予防医学医526人から回答を頂きました。
鉄分を摂取するのに有効な食品は何?
「鉄分を摂取するのに有効な食品は何ですか?」という質問に対して、次の選択肢から選んでもらい、その理由をコメントしてもらいました。
・玄米
・豚レバー
・牛ヒレ肉
・卵
・あさり
・カツオ
・サンマ
・納豆
・ほうれん草
・小松菜
・切り干し大根
・プルーン
・菜の花
・チンゲンサイ
・ニラ
・ブロッコリー
・パセリ
・グリーンピース
・その他
以下のグラフが結果となります。
集計結果では、「豚レバー」との回答の割合が66%と一番高く、次に「ほうれん草」39%、「牛ヒレ肉」25%が続きました。
半数以上の医師から、「豚レバー」との回答が得られる結果となりました。食品からの鉄分補給を考えている人は、豚レバーを積極的に摂取した方が良いのかもしれません。
それでは医師のコメントを見ていきましょう。
レバーは鉄分豊富で吸収率も高い
・60代男性 一般内科 「豚レバー」・「玄米」・「納豆」・「ほうれん草」・「プルーン」
豚レバーが鉄分摂取に有効です。
・50代男性 一般内科 「豚レバー」・「玄米」・「ほうれん草」
豚よりも、鳥のレバーの方が良いと思います。
・50代男性 一般内科 「豚レバー」・「牛ヒレ肉」・「ほうれん草」・「小松菜」
動物由来が良いと思います。
・60代男性 一般内科 「豚レバー」
鉄分豊富と言えば、まずレバーと言われています。
・50代男性 一般内科 「豚レバー」
最も吸収される鉄分と思います。
・50代女性 一般内科 「豚レバー」・「あさり」・「その他(ひじき)」
レバーは、効率よく鉄分を補給できると思います。
・50代男性 一般内科 「豚レバー」
レバーの摂取は、効果があると思います。
・30代女性 一般内科 「豚レバー」・「カツオ」
やはり野菜よりはレバーの方が、効率は良いと思います。
・50代男性 一般内科 「豚レバー」・「卵」・「あさり」
レバーをすすめています。最近は、ひじきをすすめなくなりました。
・40代男性 代謝・内分泌科 「豚レバー」・「あさり」・「カツオ」・「サンマ」・「ほうれん草」・「ブロッコリー」
レバーで鉄分不足が改善した人を知っています。
・50代男性 一般内科 「豚レバー」
鉄欠乏性貧血には、レバーが良いでしょう。
・70代男性 一般内科 「豚レバー」・「カツオ」
欠乏した場合は、鉄剤の服用が必要になります。
・50代男性 一般内科 「豚レバー」・「カツオ」・「ほうれん草」・「プルーン」
レバーは、好き嫌いが大きいですが推奨できます。
・40代男性 総合診療 「豚レバー」・「ほうれん草」
レバーをすすめるのですが、摂ってくれる方は少ないです。
・40代男性 一般内科 「豚レバー」・「牛ヒレ肉」・「ニラ」
レバニラ炒めを勧めたことがあります。
・50代女性 一般内科 「豚レバー」・「あさり」・「納豆」・「ほうれん草」・「ひじき」
昔は油炒めを、鉄鍋でどの家庭も作っていて鉄分補給には効率が良かったのですが、今はほとんどの家庭で鉄鍋を使わなくなりました。それが、現代で鉄分が不足する原因ではないかと思います。
・50代男性 一般内科 「豚レバー」・「カツオ」・「小松菜」・「プルーン」
鉄分は鉄鍋で料理することで摂れます。
まず、新しく出てきた言葉の概要をおさえてから、医師のコメントに触れていきましょう。
鉄欠乏性貧血とは
鉄が不足すると、赤血球の中のヘモグロビンが減って赤血球の数が減るため、酸素の供給が十分にできない状態となります。これを「鉄欠乏性貧血」といいます。(中略)必要量は健康な人の場合男女で異なり、女性は月経の有無や妊娠・授乳期にあるかどうかによって左右されます。
引用:鉄欠乏性貧血|厚生労働省
一番多く回答を集めたのは、「豚レバー」との意見でした。
医師のコメントによると、豚レバーは鉄分摂取に有効であると考えられています。レバーは、鉄分豊富な食品として知られており、「最も吸収される鉄分を含んでいる」といった声も聞かれました。そのため、野菜よりもレバーの方が、効率よく鉄分を摂取できるそうです。レバーを食べることで、鉄分不足や鉄欠乏性貧血が改善する可能性もあるようなので、貧血による不調を抱えている人は、積極的に取り入れてみても良いのかもしれません。
また、鉄不足の改善にレバーを取り入れると言っても、「レバーは苦手…」という人もいるかもしれません。そんな人は、レバニラ炒めにするなど調理法を工夫してみましょう。
ただし、場合によっては鉄剤の服用が必要になるようなので、食品の摂取だけで改善しない場合は、一度、医師に相談することをおすすめします。
ほうれん草は鉄分の含有量は多いが吸収率は悪い
・60代男性 一般内科 「ほうれん草」・「豚レバー」・「プルーン」・「ニラ」
青物の野菜が良いでしょう。
・40代男性 一般内科 「ほうれん草」・「豚レバー」・「サンマ」・「ブロッコリー」
緑黄色野菜はおすすめです。
・60代男性 一般内科 「ほうれん草」・「玄米」・「豚レバー」・「牛ヒレ肉」・「カツオ」・「納豆」・「小松菜」・「プルーン」・「チンゲンサイ」・「ニラ」・「ブロッコリー」・「パセリ」・「グリーンピース」
世間で野菜ジュースに含まれている野菜は鉄分補給に効果的と思います。肉魚は当然です。
・50代男性 代謝・内分泌科 「ほうれん草」・「豚レバー」・「カツオ」・「小松菜」・「プルーン」
ほうれん草・小松菜は、特におすすめしています。
・40代男性 一般内科 「ほうれん草」・「豚レバー」・「あさり」・「カツオ」
鉄分を摂取するのに有効な食品と言えるでしょう。
・50代男性 一般内科 「ほうれん草」・「豚レバー」・「牛ヒレ肉」・「あさり」・「カツオ」・「サンマ」・「小松菜」
レバーやほうれん草を推奨しています。
・50代男性 一般内科 「ほうれん草」・「豚レバー」・「プルーン」
実際は、あまり期待できるほど吸収されないようですが。
・30代男性 一般内科 「ほうれん草」・「豚レバー」
サプリより食品が有用です。
・70代男性 一般内科 「ほうれん草」・「豚レバー」・「あさり」・「サンマ」・「小松菜」・「菜の花」・「ブロッコリー」
鉄分を含む食品は多種類にわたるので好きなものを選んで摂れると思います。
次に回答で多かったのは、「ほうれん草」との意見でした。
医師のコメントによると、青物の野菜などの緑黄色野菜には鉄分が多く含まれていると考えられています。特に野菜ジュースに含まれているような野菜は鉄分補給に効果的とも言われ、中でもほうれん草や小松菜が推奨されるようです。ほうれん草は、鉄分を摂取するという面では有効な食品のようですが、吸収の面からみると期待できるほど吸収されないといったコメントもみられました。
しかし、サプリメントで鉄分を摂取するより食品から摂取した方が良いとされているため、レバーが苦手という人は、ほうれん草を食生活の中に積極的に取り入れるのも大事そうです。
牛ヒレ肉は鉄分の含有量が多くヘム鉄を有する
・60代男性 一般内科 「牛ヒレ肉」・「豚レバー」・「カツオ」・「ほうれん草」・「プルーン」・「ブロッコリー」
赤みの肉や魚、および緑黄色野菜が良いでしょう。
・50代男性 健診・予防医学 「牛ヒレ肉」・「豚レバー」・「卵」
動物性の方が吸収は良い気がします。
・30代男性 総合診療 「牛ヒレ肉」・「玄米」・「豚レバー」・「卵」
やはり、肉類が良いですね。
・70代男性 一般内科 「牛ヒレ肉」・「玄米」・「豚レバー」・「卵」・「あさり」・「カツオ」・「サンマ」・「ほうれん草」・「プルーン」
多くの肉材料は、含有量が多いと思います。
・60代男性 一般内科 「牛ヒレ肉」・「豚レバー」・「ほうれん草」
牛ヒレ肉などは比較的、鉄分が多いです。
・40代男性 一般内科 「牛ヒレ肉」・「豚レバー」
肉類が最も効率が良いと聞いたことがあります。
・60代男性 一般内科 「牛ヒレ肉」・「豚レバー」・「あさり」・「カツオ」・「ほうれん草」・「小松菜」・「プルーン」
血液成分を含む肉魚や野菜が良いでしょう。
・40代男性 一般内科 「牛ヒレ肉」・「豚レバー」・「カツオ」
ヘム鉄を有するものが良いかと思います。
・50代男性 一般内科 「牛ヒレ肉」・「豚レバー」・「プルーン」
患者さんにはヘム鉄を摂るという意味で、ミディアムレアのステーキをすすめています。あと、便秘気味の人にはプルーンがおすすめです。
・50代男性 一般内科 「牛ヒレ肉」・「玄米」・「豚レバー」
ビタミンC製剤を併用すると吸収率もアップします。
まず、新しく出てきた言葉の概要をおさえてから、医師のコメントに触れていきましょう。
ヘム鉄とは
鉄には、肉や魚に含まれるヘム鉄と、野菜などに含まれる非ヘム鉄があります。ヘム鉄は非ヘム鉄よりも吸収がよく、ヘム鉄を利用することで非ヘム鉄の吸収もよくなります。また動物性たんぱく質やビタミンCを一緒に摂ると吸収しやすくなります。
引用:ヘム鉄|厚生労働省
次に回答で多かったのは、「牛ヒレ肉」との意見でした。
医師のコメントによると、鉄分を補給する場合、肉、魚、緑黄色野菜が良いとされていて、植物性よりも動物性の方がヘム鉄が含まれているため吸収率が高いようです。特に肉食品には鉄分が多く含まれていて、中でも赤身の肉である牛ヒレ肉は、鉄分が比較的多いとされています。
また、「ヘム鉄を摂るという意味では、ミディアムレアのステーキを食べることがおすすめ」といった意見も見られました。
加えて、鉄分の吸収率をより高くするためには、ビタミンCを摂取すると効果的という声も挙がっています。鉄分を摂取しようと考えている人は、ビタミンC製剤を併用してみても良いかもしれませんね。
鉄分を摂取できる食品は多種類にわたる。効率的に摂るなら動物性の食品を選ぼう
本調査では、鉄分を摂取するのに有効な食品は何か聞いたところ、「豚レバー」との回答の割合が一番高く、次に「ほうれん草」、「牛ヒレ肉」が続きました。
医師のコメントによると、鉄分は肉や魚、緑黄色野菜に多く含まれていると言われています。それらは、主に動物性と植物性に分けられるようで、動物性から摂取できる鉄分をヘム鉄、植物性から摂取できる鉄を非ヘム鉄と呼ぶようです。
ヘム鉄は、非ヘム鉄に比べると吸収率が高いことから、鉄分を効率よく摂取する場合、動物性であるレバーや牛ヒレ肉を食べることが推奨されています。特にレバーは鉄分が豊富で、最も吸収されやすい鉄分を含んでいると言われていました。また、牛ヒレ肉も、比較的多くの鉄分が含まれているおり、ミディアムレアのステーキにして食べると効果的との意見も見られました。
一方で、植物性の中では、ほうれん草や小松菜が鉄分を多く含むと言われています。しかし吸収の面から見ると、動物性に比べて吸収率があまり良くないそうです。鉄分の吸収率を高めるためには、ビタミンCを一緒に摂ると効果的なようなので、ほうれん草などの鉄分を多く含む食品と、ビタミンC製剤を併用すると良いのかもしれません。
本記事を参考までに、鉄分の摂取方法を考えてみましょう。
引用元:イシコメ 医師と患者をむすぶメディカルサービス
https://ishicome.medpeer.jp/entry/1693