インフルエンザの予防・改善に!毎日の食事で免疫力アップ
季節を問わず流行するようになったインフルエンザですが、患者が急増するのは、やはり“冬”です。「自分はかかったことがないし、健康だから大丈夫」と油断は禁物。毎日の食事で免疫力を高めて、インフルエンザにかからない体をつくりましょう。
生活を見直して「免疫力が高い人」になろう!
私たちの身の回りには、目に見えないたくさんの細菌やウイルスが存在しており、人の体に入るすきをじっとうかがっています。
インフルエンザウイルスもそのひとつ。
ウイルスを含んだ咳やくしゃみの「飛沫」を吸い込んだり、飛沫がついた手で鼻や口を触ったりすることで体内に侵入します。そして体内で増殖すると、急激な発熱や悪寒、咳・のどの痛み、筋肉や関節の痛み、下痢・嘔吐といった、かぜより重い全身症状が急激に現れます。
人の体にはもともと、体内に侵入した細菌やウイルスを攻撃して排除するシステム「免疫」が備わっています。この力が高く細菌やウイルスと闘う力が十分にあれば、たとえ細菌やウイルスが侵入しても、体内で増殖する前に撃退できるため病気にかかりにくいのです。
それなら、ぜひ免疫力を高めたいですよね!そのコツは??
ハードなトレーニングや特別なものを使ったりしなくても大丈夫。ポイントは、「できるだけ規則正しい生活」を実践する、これに限ります!
免疫力はライフスタイルによって高まったり、低下したりするので、毎日十分な睡眠と栄養をとって、適度な運動でストレスを発散し、過労を避けるといった健やかな生活をすることで、体本来の機能=高い免疫力を維持することにつながるのです。
でも…、特別なことではないからこそ、忙しい毎日の中ではなおざりになってしまうかもしれません。まずは、体のエネルギーとなる食生活の見直しから初めてみませんか?
免疫力アップに欠かせない、ミネラル&ビタミン
免疫力を高める食事の基本は、1日3食、規則正しく食べることです!これに加えて、免疫力アップに欠かせないミネラルやビタミンを意識して取り入れてみましょう。
・亜鉛
全身の細胞内に存在していて、侵入して来た病原体を免疫が攻撃する際に役立つ。免疫に関わる大切なミネラルのひとつ。
・ビタミンA、C、E
免疫力の低下も招く活性酸素は酵素によって抑えられているが、体内で作られる酵素の量は年齢と共に減少。ビタミンA、C、Eは高い高酸化作用をもち、体内の酵素が処理しきれなかった活性酸素を抑える。特にしっかり摂りたいビタミン。
・ビタミンC
ストレスを感じると副腎から“抗ストレスホルモン”が分泌されるが、そのホルモンが体の中でつくられる際に必要となる栄養素。ストレスを感じやすい人は特に不足しないよう注意。
・ビタミンB群
糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変換する働きがある。疲れが抜けない人は、しっかりチャージを。
免疫力アップに役立つ食材
・亜鉛
牡蠣、カツオ、サバ、牛肉、豚肉など
・ビタミンA
人参、ほうれん草などの緑黄色野菜、海藻、豚肉、鶏肉、レバーなど
・ビタミンC
ブロッコリー、ピーマンなどの緑黄色野菜、いちご、キウイフルーツなど
・ビタミンE
さつまいも、かぼちゃ、アーモンド、抹茶など
・ビタミンB群
豚肉、牛肉、レバー、ウナギなど
食事は、“旬の食材を中心に、色々な種類をバランスよく”がポイントです。
旬の野菜は味もよく栄養価が高い上、何といってもその季節に体が必要とする栄養素が豊富に含まれているのが魅力!
店頭での食材選び、レストランでのメニュー選びの際は、旬の野菜を意識してみるのもよいですね。
かかってしまったら…回復をサポートする食事術
インフルエンザにかかってしまったら、脱水症状にならないようしっかりと水分補給をすること。
白湯やホットミルク、経口補水液、スポーツ飲料などをこまめに飲みましょう。そして免疫力を落とさないよう安静にして、回復を待ちます。
インフルエンザにかかると食欲が低下しがちですが、少しでもよいので、食事を摂りましょう。
できるだけ栄養を摂ることで回復を助けます。インフルエンザにかかると胃腸機能も低下するので、辛い物や脂肪分の多い物は避けて、温かくて消化がよい物を選びましょう。
おすすめの食べ物
・スープ
・湯豆腐
・煮込みうどん
・おかゆ
・雑炊
・白身魚の煮物
咳やのどの痛みがつらい時には、のどを潤すと効果的です。
おすすめは、ハチミツを加えたカモミールティー。ハチミツには保湿作用が、カモミールには炎症作用があるので、のどの炎症が和らぎ楽になります。
大根は気道を潤す作用がある他、葉にはビタミンCがたっぷり。ビタミンCは加熱すると壊れやすいので、生で細かく刻んでカツオ節やしょうゆで和えた物を、おかゆや雑炊と一緒にいただくとよいでしょう。
インフルエンザ対策には、免疫力を高める他、体に免疫をつける「予防接種」も有効です。インフルエンザは毎年違う型のウイルスが流行するので、予防接種は毎年受けることをおすすめします。冬の流行が始まる前までの接種がベストですが、流行時期に差しかかっても受けておいた方がよいでしょう。
ウイルスを体に寄せつけないよう、こまめな手洗いとうがいもお忘れなく!
感染症内科医 / 濁川博子
感染症一般、院内感染制御、不明熱を専門とする。同病院感染症内科にて、食事・睡眠・運動といった生活習慣にも配慮した治療を行う。感染症を克服した後、患者さんがより健康に暮らせる診療を目指している。
東京逓信病院感染症内科 主任医長、日本内科学会認定内科医・指導医、日本感染症学会認定感染症専門医
引用:「+healthcare」より