あえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス(Sober Curious)」とは?
「ソバーキュリアス」というワードを耳にしたことがありますか?ソバーキュリアスとはあえてお酒を飲まない生き方を指し、最近注目を集めているようです。今回はソバ―キュリアスについてや実践の仕方について、栄養士が解説します。
ソバーキュリアス(Sober Curious)とは
ソバ―キュリアスとは「お酒は飲めるけどあえて飲まない」という生き方を指す言葉として使われています。
Soberは「しらふ」、Curiousは「好奇心」といった風に訳され「しらふになりたい好奇心」といった意味合いが語源になっているようです。また全く飲まないわけではなく「少量楽しむ」というのもソバ―キュリアスに含まれます。
ポイントは、お酒が飲めないのではなく、飲めるけど「あえて」飲まないこと。お酒を飲まないと「どうしたの?」「体調が悪いの?」と言われてしまう“お酒が当たり前“という風潮の中、健康などの理由から「あえて」お酒を飲まない生き方を選ぶ、というものです。
「お酒離れ」が進んでいるといわれる若者を中心に広がりを見せているようで、お酒の飲み方が変わってきている、ともいえるでしょう。
お酒を飲まないことで得られる健康的なメリット
ソバ―キュリアスを実践する理由のひとつに「健康上のメリット」があります。お酒を飲まないことで得られるメリットにはどのようなものが考えられるのでしょうか?
睡眠の質の向上
夜の飲酒が習慣的になっている方は、お酒を飲まないことで睡眠の質を向上できると考えられます。
寝つきをよくするために寝酒(寝る前の飲酒)をする方もいますが、眠りを浅くしてしまうことがわかっています。
睡眠の質が悪いと、翌朝に疲労感が残る、午前中にぼんやりしてしまう、といったパフォーマンス低下にもつながりかねません。寝ているはずなのに疲れが取れない…という方は、断酒を試してみる価値があるでしょう。
生活習慣病などさまざまな病気の対策
お酒の飲みすぎにより、高血圧、脂質異常症、肝硬変、乳がん、脳出血など、さまざまな病気のリスクとなることがわかっています。お酒を飲まないことで、これらの病気のリスクを減らすことができます。
またお酒からの摂取カロリーを減らせるほか、(つい食べすぎてしまいがちな)おつまみを食べる機会が減り、ダイエットにも役立つでしょう。
二日酔いなど体調不良がなくなる
お酒を飲みすぎることで起きる、二日酔いなどの体調不良を無くすことができます。
頭痛、吐き気、ムカムカ…などのつらい症状を引き起こす二日酔い。次の日は仕事も手につかず、もうお酒なんて飲まない…なんて後悔することもありますが、そのようなこともお酒を飲まなければ避けられます。
お酒は適量なら飲んだ方がいいのでは?
お酒を飲まないことのメリットを紹介しましたが、「酒は百薬の長」ともいわれ「少量であれば健康によいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
実際、適度な飲酒はストレス解消やコミュニケーションの円滑化に役立ち、また飲酒しない人より少量飲酒する人の方が心疾患や脳梗塞のリスクが低くなるというデータもあります。
一方で、飲酒量が増えると高血圧や脳出血、肝疾患などさまざまな疾患のリスクが上昇します。
現時点では少量なら飲んだ方がよいのか、または飲まない方がよいのか、どちらがよいとは結論づけられていません。一人一人が自分の健康状態に合わせて、お酒との付き合い方を考えていく必要があるでしょう。
ソバ―キュリアスの実践は、ノンアルコール飲料を活用してみよう
「お酒を飲まないことで得られるメリットの方が大きそうだ」と感じた方は、これを機にソバ―キュリアスを実践してみるのもよいかもしれません。
最近では、ノンアルコールビールやノンアルコールカクテルなどの種類が豊富で、飲まなくても楽しめる選択肢も増えてきています。また水、お茶、無糖炭酸水を活用してもよいですね。
また従来のアルコール飲料より度数の低い「低アルコール飲料」といわれるものも増えてきていますので、少量楽しみたいときにぴったりでしょう。
ノンアルコールビール、無糖炭酸水の活用のヒントは以下のコラムを参考にしてくださいね。
ソバ―キュリアスはまだ聞きなれない言葉ではありますが、これからますます浸透し、飲まない生き方への理解が広がっていくのではないでしょうか。このコラムが、お酒との付き合い方を考え直すよい機会になるとうれしく思います。
公開日:2022/1/20
最終更新日:2022/1/20
管理栄養士 / 広田千尋
これまでに500件以上の指導経験があり、ダイエットや生活習慣病対策はもちろん、妊婦から高齢者まで幅広い指導を経験。栄養指導、レシピ制作、栄養教室や料理教室開催などのスキルと知識を生かし、あすけんではコラム執筆やオンラインカウンセリングを担当。
引用:あすけん「ダイエットの知識」より