納豆がもたらす健康効果を管理栄養士が解説 おすすめの摂取方法は?
発酵食品の代表でもある納豆ですが、「健康食」として注目されていることをご存知でしょうか。栄養バランスがよく健康的な食品でありながら、納豆のネバネバの素である「納豆菌」がさらに栄養素の吸収をアップしてくれるそうです。今回は、納豆のおすすめの摂取方法についてご紹介します。
納豆は栄養満点!筋肉増強と免疫力をアップさせる
Q. 納豆は健康にいいと言われるのはなぜでしょうか?
A. 納豆は「畑の肉」ともいわれる大豆からできており、良質なたんぱく質源になります。低エネルギーで低糖質なため、健康食品として注目されています。さらに、健康の維持に必要な炭水化物や脂質など「5大栄養素」が全て含まれているという点も魅力です。その他、多くの栄養素がバランスよく含まれており、とても栄養価が高い食品です。
Q. 良質なたんぱく質とはなんですか?
A. 「必須アミノ酸」というたんぱく質の成分が、バランスよく含まれている状態のことです。体内では作り出せないため、食品からの摂取が必要になります。このアミノ酸のバランスの評価を「アミノ酸スコア」といいます。納豆はアミノ酸スコアが満点に近い商品です。たんぱく質は筋肉や臓器に必要不可欠な栄養で、積極的に摂取すると筋肉の増強や免疫力アップに繋がります。
Q. ほかにも健康にいい栄養素は含まれていますか?
A. はい。たんぱく質以外にも、日本人に不足しがちな整腸効果のある「食物繊維」が豊富で、疲労回復ビタミンと呼ばれる「ビタミンB」は大豆の約5倍含まれています。その他、歯や骨などを作り体内バランスを整える「ミネラル」など多くの栄養素が含まれています。中でも「ビタミンK」が豊富なのが特徴で、カルシウムを骨に吸着させる助けをしてくれます。
納豆菌のパワーで効率よく栄養素を吸収
Q. 原料の大豆とは含まれている栄養素が違うのでしょうか?
A. 基本的な成分は同じですが、体内での吸収のしやすさに違いがあります。発酵の作用により、大豆よりも栄養が吸収されやすい状態になっています。そのため、納豆は大豆に比べて効率よく栄養素を体内で吸収できます。また、納豆菌の作用により大豆には含まれていない、納豆独自の健康に良い栄養素も含まれていますよ。
Q. 納豆だけに含まれている栄養素とはなんですか?
A. 納豆のネバネバの素「ナットウキナーゼ」という栄養素です。ナットウキナーゼは血栓に直接働きかけ、血栓をできにくくする作用があります。血液をサラサラにし健康的に保ってくれます。ほかにも、納豆独自の栄養素ではありませんが、大豆には「イソフラボン」という栄養素が豊富です。女性ホルモンと似た形をしており、骨粗しょう症予防など、女性にも嬉しい効果が期待できます。
Q. 発酵食品には、ほかにいい成分はありますか?
A. 発酵食品は便秘予防や免疫力アップの効果があるといわれています。発酵食品に含まれる菌は、腸内の善玉菌の数を増やし、腸内環境を整えてくれます。また、腸には免疫細胞の約7割が存在しているといわれています。腸内環境を良くすることが、免疫細胞の活性化と免疫力アップに繋がるといえますね。
食べ方を工夫すると、さらに効率よく健康力アップ
Q. 納豆と相性のいい食べ物はありますか?
A. 栄養バランスのいい納豆ですが、「ビタミンC」が少ないのが弱点です。そのため、不足しがちなビタミンCを補う点で、ビタミンCが豊富なネギやトマトなどと一緒に食べるのがおすすめです。また、血栓予防に効果的な「ナットウキナーゼ」は熱に弱いため、加熱しない調理方法がおすすめです。ご飯にのせる以外にも、副菜などおかずとして取り入れてみましょう。
Q. 納豆を食べるなら、朝か夜どちらがおすすめですか?
A. 整腸効果や免疫力アップなら朝がおすすめです。朝に納豆を食べることで、1日の活動に備える身体づくりができます。血栓予防なら血栓ができやすい夜に食べるのがおすすめです。どちらの効果が得たいかで、好きな方で食べるのがいいでしょう。ただし、ワーファリンなどの抗凝固薬を服用している方は、作用を打ち消してしまうため食べるのを控えましょう。
Q. 1日に何個食べるのがいいのでしょうか?
A. 明確な目安はありませんが、1日1パックがいいでしょう。健康にいい納豆ですが、食べすぎには注意も必要です。また、納豆だけでは1日に必要なエネルギーを摂取できないため、極端な食生活は厳禁です。様々な食品からバランスよく栄養を摂るようにしましょう。
平辻 巴純(管理栄養士)
神戸松蔭女子学院大学卒業。卒業後、管理栄養士として調剤薬局に就職。現在は幅広い層へ健康の認知を広げるため、ライターとして活動中。健康系のメディアでコラムを執筆。「健康的にキレイになりたい」と思っている方のために有益かつ正しい情報を発信している。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
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