水虫用の薬はどう選ぶのがいい? 重症度・症状別の選び方を薬剤師が解説


水虫用の薬はどう選ぶのがいい? 重症度・症状別の選び方を薬剤師が解説

水虫と聞くとどんな印象があるでしょうか。水虫=不潔というイメージがあり、恥ずかしくて受診をためらう方もいるかもしれません。特に女性は気にする方が多い印象です。けれど、水虫は誰にでも発症する可能性のある感染症で、恥ずかしいことではありません。今回は、水虫の原因や症状、治療薬や治療時の注意点についてご紹介します。

そもそも水虫とは 原因と発症するまでを解説

Q. 水虫は何が原因で発症するのでしょう?

A. 水虫は、足に白癬菌(はくせんきん)というカビが感染することで起こる皮膚の病気です。足白癬とも呼ばれ、感染部位によって呼び方が異なります。爪だと爪白癬(爪水虫)、頭皮だと頭皮白癬(しらくも)、顔や体だと体部白癬(たむし)のように呼ばれます。足への感染が一番多いですね。

Q. 白癬菌って珍しいカビなのですか?

A. 白癬菌はありふれたカビで、足の皮膚に付着することは珍しくありません。しかし、皮膚に白癬菌が付着したらすぐに水虫になるというわけではなく、きちんとお風呂で足を洗って清潔に保ち、乾燥した状態にしていれば基本的には水虫にはなりません。

Q. そうなのですね。どういう時に水虫になるのでしょうか?

A. 白癬菌は高温多湿の環境で増殖しやすいため、長時間くつ下や靴を履き、蒸れた状態が続くことで水虫の発症リスクが上がります。ほかにも傷があったり、皮膚のバリア機能が低下していたりすると白癬菌が増殖しやすくなります。

Q. 白癬菌はどこで感染するのでしょうか?

A. 水虫の人の表皮や角質(アカ)には非常に多くの白癬菌が含まれています。水虫の人からはがれ落ちた角質が、スリッパや足ふきマットに付着し、それを共有することでほかの人に感染します。プールや銭湯など不特定多数の人が裸足で歩き、足ふきマットを共有するような場合は感染するリスクが高まるので注意が必要です。

水虫の症状と治療薬の選び方

Q. 水虫はどんな症状が出るのでしょうか?

A. 水虫には3つのタイプがあり、それぞれ症状が違います。最も多くみられるタイプは趾間型(しかんがた)です。指と指の間がカサカサし、徐々に白くふやけていき、皮がめくれるようになります。その後は赤くただれたり、ひび割れたりします。患部からリンパ液が染み出るため、ジュクジュクした状態になることが多いですね。時には強い痒みを伴います。

Q. ほかにはどのようなタイプがありますか?

A. 小水疱型(しょうすいほうがた)と角質増殖型があります。小水疱型は、足底や土踏まず周辺に小さい水ぶくれが多数できます。やがて水ぶくれがやぶれて皮が剥け、痒みを伴うこともあります。角質増殖型は、かかとや足の裏の皮膚が全体的に硬く、厚くなります。ひび割れ状態になり、痛みを伴うこともあります。痒みは基本的にありません。

Q. 水虫のタイプによって使う薬も違うのでしょうか?

A. どのタイプでも白癬菌の増殖を抑える薬が使用されますが、重症度によって塗り薬にするのか、内服薬を使用するのかが異なります。基本的には塗り薬で治療を行います。

Q. 使う薬はどのタイプも白癬菌を減らす薬なのですね。

A. そうですね。けれど塗り薬には軟膏やクリーム、ローションなど多くの剤型があります。患部の症状に応じて、剤型を使い分けていきます。軟膏は低刺激なため、基本的にどの型でも使用できますが、べたつきがあります。クリームやローションは伸びが良くべたつきも少ないため使用感が良いですが、軟膏と比べて刺激があるのでカサカサした乾燥病変への使用が好ましいです。傷がある病変や、ジュクジュクした病変には軟膏を使用するようにしましょう。塗り薬は皮膚が潤っているときが浸透しやすく効果が得やすいので、お風呂上りに塗るのがおすすめです。

水虫治療薬を使用するときの注意点 診断されてから薬の使用を

Q. 水虫のような症状が出たらどうしたら良いですか?

A. まずは皮膚科を受診しましょう。水虫と似たような症状が出る疾患もあるので、病院で白癬菌の感染の有無を検査し診断してもらう必要があります。市販の水虫治療薬も数多く販売されていますが、水虫だと思い込んで市販薬を使用しても期待した効果が得られなかったり、逆に症状を悪化させてしまったりする可能性もあります。何より本来行われるべき治療の開始が遅れてしまいます。まずは皮膚科を受診し、きちんと診断を受けて治療を開始しましょうね。

Q. 症状がなくなったら薬を塗るのをやめても良いですか?

A. 症状がなくなったら塗るのをやめたくなる気持ちはわかりますが、水虫治療のポイントは「症状がなくなってからも薬を塗り続けること」です。「症状がなくなった=治った」ではなく、白癬菌が減少しているだけでまだまだ皮膚の中にたくさん潜んでいます。薬の使用をやめてしまうと、再び増殖し水虫が再発してしまいます。

Q. 水虫は再発する方も多いのですか?

A. そうですね。実際「症状がなくなって薬をやめたら再発した」と皮膚科を再受診され、薬局に薬をもらいに来る方も多くいらっしゃいます。治療は2〜3ヵ月がひとつの目安ですが、場合によっては半年や1年以上治療が続くこともあります。医師の指示があるまでは使用を継続する必要があります。

Q. 水虫は予防できないのでしょうか?

A. 水虫の予防は足を清潔に保つことが一番重要です。水虫は、白癬菌が足に付着し、高温多湿の環境で増殖することで発症します。白癬菌が足に付着したとしても、皮膚に定着するには時間がかかるので、毎日お風呂に入り洗い流してしまえば問題はありません。また、足まわりの環境も大切です。蒸れやすい素材のくつ下や靴は避ける、毎日違う靴を履くようにするなど高温多湿の状況を避けるようにしましょう。家族に水虫の人がいる場合はスリッパや足ふきマット、タオルは共有しないようにしましょう。


齋藤 彩(薬剤師)

新潟薬科大学薬学部卒業。大学卒業後、新潟県内の調剤薬局に就職。現在は、「有限会社大手薬局」で薬剤師として従事。新人教育部門にて、学生・新人薬剤師・管理薬剤師の教育に携わりながら現場で活動中。モットーは「人と薬を繋げ、人と人を結ぶ」。人材教育や人事業務を専門に行っている。研修認定薬剤師。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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