その息切れやむくみ、もしかしたら「心不全」かも!? 放置すると危険なワケ


その息切れやむくみ、もしかしたら「心不全」かも!? 放置すると危険なワケ

階段や坂道を登るとき、家事の最中などに、いつもより動悸や息切れを感じたり、むくみが続いていたりしませんか? また、これらの症状を「加齢に伴う体の衰え」と軽く考えている人もいるでしょう。しかし、もしかすると心臓の病気が隠れているかもしれません。

心不全とは?

Q. 心臓の病気と聞くと、胸を押さえて苦しむ様子をイメージします。

A. おそらくその症状は、「心筋梗塞」「狭心症」と言われる疾患です。心臓の病気は種類が多く、ほかにも「不整脈」「弁膜症」「心筋症」などがあります。みなさんがイメージしているとおり、どの病気も悪化していくと死に至る可能性があります。これらが原因で発症するものに「心不全」があります。心不全に一度なってしまうと、完全に治ることは非常に少なく、悪化を繰り返します。末期になると治療が効かなくなり、結果として寿命を縮めてしまいます。

Q. 「心不全=完全に治らない」と考えると怖いですね。

A. そのとおりです。心不全は「A:心臓病のリスクがある」「B:心臓の病気がある」「C:心不全の症状がある」「D:治療が難しくなる」の4つのステージに分けられます。ステージは逆戻りすることはなく、進んでいく一方です。心不全と診断された人、つまりステージCの人の5年生存率は、約50%と非常に低いのです。「肺がん」や「膵臓がん」よりは良い結果なのですが、多くのがんより予後が悪いと言えます。

Q. 心不全になると、心臓はどのような状態になるのですか?

A. 私たちの体は酸素を取り込み、心臓から送り出された血液によって酸素が全身に運ばれることで、様々なシステムが正常に働く仕組みになっています。しかし、心不全になると、心臓から血液を十分に送り出せなかったり、血液が心臓に戻ってこられなかったりすることで全身が酸欠状態になります。つまり、体を動かすエンジンの動きが悪くなり、全身のシステムが正常に働かなくなるようなイメージです。心不全の症状としては、息切れや浮腫(むくみ)、疲れやすさなどが表れます。

心不全は予防できる?

Q. 心不全は予防できるのでしょうか?

A. 一度は耳にしたことがあるであろう「生活習慣病」は、心不全のリスクを高めます。裏を返せば、生活習慣病の予防が心不全の予防につながるのです。理学療法士の視点で考えると、運動習慣と食習慣に気をつけて、高血圧や糖尿病、肥満などにならないような生活を心がけることが重要です。

Q. 具体的には、どのような運動と食事を意識すべきですか?

A. 有酸素運動は、脂肪燃焼による肥満の改善や体力向上が期待できるのでおすすめです。長期的におこない、高血圧や高血糖が改善されると動脈硬化を防げるため、心不全をはじめとする様々な生活習慣病を防ぐことができます。食事に関しては、塩分を摂り過ぎたり、コレステロールの多い食事を摂ったりすることも動脈硬化につながるため、塩分とコレステロールには気をつけるといいでしょう。総じて、適度な運動とバランスの良い食事を摂ることが何より大切です。

Q. 運動は大事なのですね。普段の生活で気にするべき点はありますか?

A. 冬の間は「ヒートショック」に注意が必要です。ヒートショックとは、急激な寒暖差に体がついて行けず、体に大きな負担がかかることです。ヒートショックよって、心不全の原因である心筋梗塞や不整脈を起こす可能性があります。お風呂のお湯は40~41℃くらいに設定し、脱衣所を温めてから出入りすることで、温度差が最小限になりヒートショックを防げます。

心不全はなってしまうと手遅れ!?

Q. 心不全は逆戻りできないとのことですが、日常生活にはどのような支障が出るのですか?

A. いつもと変わらない生活をしているはずなのに、疲れやすい、息苦しくなる場合が多いですね。NYHA(New York Heart Association)による心機能分類では、「日常生活のどこで息切れが生じるか」で心臓病の重症度を分けています。具体的には、「Ⅰ:心臓病はあるが普通の活動では息切れしない」「Ⅱ:坂道や階段で息切れや疲労感がある」「Ⅲ:少し動いただけで息苦しい」「Ⅳ:休んでいる時も息苦しい」に分けられます。NYHAⅡ以上だと、洗濯物や買い物袋を持ち運ぶと苦しくなったり、いつもの通勤でも疲れやすくなったりするので、治療をせず放置していると今まで通りの日常生活を送れなくなる可能性があります。

Q. 心不全になってしまってから運動をしても手遅れですか?

A. いいえ。心不全になってからでも、有酸素運動は息切れの改善や再発予防に効果的です。ただし、「心臓の機能に適した負荷量で運動をおこなわなければいけない」という点には注意すべきです。心臓に必要以上の負担がかかると、血圧が下がりすぎたり、危険な不整脈が出て、再び心不全が悪化したりする可能性があります。心臓のポンプ機能や心拍数など、人それぞれの状態によって適切な負荷量は異なります。そのため、心臓リハビリテーションや心肺運動負荷試験という検査を通じて、安全におこなえる運動の種類と量を理解することが重要です。

Q. 心不全になってからでも、運動習慣は大事なのですね。

A. そうですね。心不全になってからでも、進行を遅らせることは可能です。そして、生活習慣病を予防して心不全にならないようにすることが最も重要です。気になる症状がある場合、運動習慣や食習慣についてわからない場合は、生活習慣病や心臓病に詳しい医師や理学療法士などの専門家に早めに相談しましょう。


小柳 さつき(理学療法士)

北海道文教大学人間科学部理学療法学科卒業。北海道札幌市内の急性期病院に勤務。脳卒中リハビリや心臓リハビリなどの幅広い臨床業務に従事。Webライターとしての執筆活動もおこなっている。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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