スイッチOTC医薬品とは?セルフメディケーションについて解説
スイッチOTC医薬品は、かつては処方箋が必要だった医薬品が、専門の検討機関による審査を経て、市販薬として販売されるようになったものです。今回はスイッチOTC医薬品とセルフメディケーション税制について解説します。
スイッチOTC医薬品とは?
スイッチOTC医薬品の定義
スイッチOTC医薬品は、かつては処方箋が必要だった医薬品が、専門の検討機関による審査を経て、市販薬として販売されるようになったものです。“スイッチ”とは、元々は医療用医薬品として使用されていたものが、その安全性が確認され、一般の消費者が自己判断で購入・使用できる市販薬に“スイッチ”されるという意味を指します。
スイッチOTC医薬品の承認は、一定の条件や審査基準をクリアした医薬品に限られ、慎重な検討を経て市場に供給されます。
スイッチOTC医薬品の特徴
スイッチOTC医薬品の特徴的な点は、医師の処方箋が不要であること、使用されている有効成分の安全性が高いこと、一般的な症状に対応していることです。
かぜ薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬など、さまざまな種類があり、症状に応じて適切な医薬品を選択できます。
スイッチOTC医薬品のメリットとデメリット
スイッチOTC医薬品のメリット
スイッチOTC医薬品には数々のメリットがあります。
スイッチOTC医薬品を購入する際には薬局やドラッグストアで薬剤師に相談できるため、正しい使い方や適切な医薬品の選択に関するアドバイスを得ることができます。薬剤師の助言を得ることで、より安全かつ効果的な利用が促進されます。
また、医療機関を受診せずに購入できるため、時間的・費用的なメリットもあります。診察料や調剤料がかからない分、医療費の節約に寄与します。
さらに、スイッチOTC医薬品を利用することで、医療費の一部が控除される「セルフメディケーション税制」の対象にもなり、財政的なメリットがあります。
スイッチOTC医薬品のデメリット
一方で、スイッチOTC医薬品にはデメリットも存在します。
まず一つ目は、これらの医薬品が処方箋不要で手に入ることから、患者が自己判断で使用する際に誤用のリスクが存在します。適切な用法・用量を守らず使用すると副作用や健康被害の可能性が高まります。
二つ目は、購入時に薬剤師に相談できるものの、継続的なケアや専門的なアドバイスが不足することが懸念されます。特に慢性的な症状や疾患に対しては、医師の診断や指導が欠かせません。
また、医療機関を受診せずに対処することで、もしかすると症状の背後に潜む深刻な健康問題を見過ごすこととなり、医療機関の受診が遅れる可能性が懸念されます。少しでも心配なことがありましたら医師や薬剤師に相談しましょう。
スイッチOTC医薬品の注意点
薬剤師に相談すること
スイッチOTC医薬品を使用する際は、専門の薬剤師に相談することが非常に重要です。使用者の健康状態や既存の薬との相互作用など、専門家のアドバイスが適切な使用につながります。
「ミナカラチャット相談」では、ウェブサイト上で薬剤師に気軽に相談ができるため、安心してスイッチOTC医薬品を使用できる仕組みが整っています。薬の専門家である薬剤師が、スイッチOTC医薬品を使用するための適切な選択や利用方法など、適切なアドバイスや情報提供を行います。
セルフメディケーションとは
自己責任で健康を管理
「セルフメディケーション」とは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と世界保健機関(WHO)によって定義されています。これは、日ごろから自身の健康状態を把握し、生活習慣を見直すことから始まり、市販薬(OTC医薬品)を活用したりするなど、自分で健康管理や病気の予防・対処を行うアプローチを指します。
セルフメディケーション税制について
1年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告によって税金の一部が戻ってくる「医療費控除」という制度があります。
また、国ではセルフメディケーションを奨励するために、医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」を創設しています。この制度では、スイッチOTC医薬品の購入金額が、同一の家族の全体の年間1万2,000円を超えた場合に、その超過分の金額(上限8万8,000円)が課税所得から控除され、所得税・住民税が軽減されます。
ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は同時に利用することができません。両方の対象になる場合は、どちらかを選択する必要があります。これまで医療費控除の対象外だった人も、金額の面でハードルの低いセルフメディケーション税制には対象になる可能性があります。スイッチOTC医薬品を購入した場合は、レシートや領収書を保管しておくことが重要です。
ミナカラ薬局 薬剤師 高橋 伊津美
(経歴)
昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ/ ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル
引用:「ミナカラメディア」より
※記事内容は執筆時点のものです。
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