まるで焦げ? 老化につながる「糖化」の原因や予防のための食事を管理栄養士が解説
「糖化」という言葉を聞いたことはありますか? 糖化は老化の原因となる「AGEs(糖化最終生成物)」が体の中でたくさん作られることで引き起こされる現象です。いつまでも若々しくありたいと思うなら、糖化を避けるのが好ましいですが、どうすれば「糖化」を防ぐことができるのでしょうか?
老化の原因となる「糖化」とは? 体の中で何が起きている?
Q. 「糖化」とは何ですか?
A. 体の中で余った糖分がたんぱく質と結びつくことを「糖化」といいます。肉やクッキーを焼いたとき、こんがりと焦げ目がついていく反応がありますが、それが体の中でも同じように起こっているような状態です。体内で糖分とたんぱく質が結びつくことでたんぱく質が変性し、「AGEs(糖化最終生成物)」を発生させて糖化は起こります。
Q. 老化と糖化にはどんな関係がありますか?
A. 体のたんぱく質が糖化することで、肌や髪の毛が老化してしまいます。一般的に老けてみられてしまう見た目上の原因には、シミや顔全体のくすみ、目元のシワ、髪の毛のパサつきなどがあります。これらにも糖化が関わっていて、肌のコラーゲンが糖化することで皮膚の弾力性が低下してシワやたるみが現れます。メラニンの産生も促してしまうので、シミが増える原因にもなります。また、髪の毛もケラチンというたんぱく質でできているので、糖化すると髪の毛のハリやコシ・ツヤまでも奪われてしまいます。そのため、糖化は老化の原因の一つと言えるでしょう。
Q. 糖化が起こると健康面にも影響がありますか?
A. 肌や髪の毛だけではなく、体の中のあらゆるたんぱく質に糖化は起こってしまいます。血管や内臓に糖化が起こってしまうと動脈硬化のリスクが高まり、さらには心筋梗塞や脳梗塞などにもつながります。このほかにも、AGEsが体内に蓄積することで糖尿病合併症や白内障、骨粗しょう症などの危険性も高まると言われているので注意が必要です。
「糖化」の原因となる食事・生活習慣は?
Q. 糖化を引き起こす原因はなんですか?
A. 糖化を引き起こすのは体の中で余った糖です。通常、糖は体の中でエネルギーとして使われますが、食べ過ぎたり、糖質の多い食べ物や飲み物を必要以上に摂取したりすると使い切れずに余ってしまいます。余った糖は血液の中を漂い、たんぱく質を見つけると結合して変性させます。その結果「AGEs」が作られてしまうんです。
Q. 糖化はいつ起こっているのでしょうか?
A. 糖化は、血糖値が上がった時に起きています。血糖値とは、血中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。食事をすれば、炭水化物が体の中でブドウ糖に分解されて血中に取り込まれ、この時に血糖値が上昇するので、糖化自体を完全に防ぐことはできません。また、糖化する糖質には「果糖」もあります。果糖は果物に多く含まれる糖質ですが、異性化糖製品として「果糖ブドウ糖液糖」や「高果糖液糖」など清涼飲料水や総菜パン、缶詰などにも多く含まれています。果糖は直接血糖値の上昇に関係することはありませんが、糖化するスピードはブドウ糖よりも早くAGEsを多く発生させてしまいます。
Q. 糖化をチェックする方法はありますか?
A.
まずは、自分の食生活をふりかえってみましょう。
・人よりも食べるスピードが早い
・水分は常に甘い飲み物で摂っている
・精白米、麺類、パンなどをよく食べる
・お菓子や菓子パンをよく食べる
以上の項目は、糖化が起こりやすい状況の例です。一つでも当てはまる場合、体の中で糖化が加速しているかもしれません。
管理栄養士が教える「糖化」予防の食事のコツは?
Q. 糖化を予防するためにはどうすればいいですか?
A. 糖化を予防するためには、血糖値の上昇が緩やかになるような食生活を心がけることです。糖化の原因は体の中で余った糖です。急激に血糖値が上がると、体の中で糖のエネルギー変換が追いつかずに体の中で糖が余ってしまいます。また、糖化の原因である「果糖」の摂取量を考慮しましょう。果物を適量食べる分には糖化を加速させる大きな原因にはなりません。問題は果糖が含まれる「異性化糖製品」で、私たちの身近にあるさまざまな飲み物や食べ物に利用されているので、摂りすぎには注意が必要です。
Q. どんな食べ物で糖化を予防することができますか?
A. まずは、低GI食品を選ぶことです。低GI食品とは、血糖値が上がりにくい食品のことです。また、食物繊維をしっかり摂ることで、血糖値の上昇を抑えることができます。おにぎりやパンをたくさん食べてしまう方は、たんぱく質が不足しているため満腹感が得られていない可能性もあります。食事では、食物繊維とたんぱく質をしっかり摂ることを意識しましょう。
Q. 糖化対策の食事のポイントはなんですか?
A. 食事の際は食べる順番に気をつけましょう。まず、食物繊維の多い野菜から食べて、次にたんぱく質の多い肉や魚、それからごはんやパンなど炭水化物の多い食べ物を食べることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。また、食品を選ぶ際には異性化糖が含まれていないかパッケージの原材料名を確認してみましょう。異性化糖が配合されている場合は原材料名に「ぶどう糖果糖液糖」や「果糖ぶどう糖液糖」「高果糖液糖」「砂糖混合異性化液糖」などと記載されています。
髙橋 沙都(管理栄養士)
宮城学院女子大学食品栄養学科を卒業後、公務員として学校給食施設に勤務。結婚を機に退職し、現在はWebライターとして活動中。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
※記事内容は執筆時点のものです。
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