【薬剤師に聞く】喉の痛みや辛い咳...おすすめの市販薬は? 処方薬との違いも


【薬剤師に聞く】喉の痛みや辛い咳...おすすめの市販薬は? 処方薬との違いも

喉の痛みや咳は、日常生活に影響を与える不快な症状です。とくに、冬場の乾燥や風邪などの流行によって、これらの症状はより一層悪化することがあります。そんな時、どの市販薬を選べば良いのでしょうか?

喉の痛みや咳の原因は? 冬になると症状が悪化する理由

Q. 冬になると喉の痛みや咳がひどくなるのはなぜですか?

A. 冬は一年の中でもとくに空気が乾燥している季節です。そのため、喉の粘膜が乾燥しやすくなります。さらに暖房を入れることで部屋の中の空気が乾燥しやすく、これが喉の痛みや咳の原因になります。寒さによる免疫力の低下も、風邪などの感染症のリスクを高めて喉の痛みや咳につながります。

Q. 冬に流行る喉の痛みや咳の原因となる病気には何がありますか?

A. インフルエンザ、ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス)、RSウイルス感染症などがあります。これらは喉の痛みや咳を引き起こすウイルス感染です。インフルエンザは 冬に流行するとされている感染症の一つであり、突然の高熱に加え、喉の痛みや咳などの症状が見られます。冬に流行しやすいウイルス性胃腸炎は、嘔吐や下痢が主な症状で、喉の痛みや咳が出ることもあります。RSウイルス感染症は乳幼児に多く見られ、喉の痛みや咳のほか、気管支炎や肺炎などの症状が現れる感染症です。

Q. 外気の乾燥や病気以外に喉の痛みや咳の原因はありますか?

A. 暖房による室内の乾燥も原因の一つです。空気が乾燥すると、喉の粘膜が刺激されやすくなり、喉の痛みや咳が悪化することがあります。

喉の痛みや咳に効く薬の選び方は? 市販薬と処方薬について

Q. 喉の痛みにはどのような薬を選べば良いですか?

A. 抗炎症作用や鎮痛作用を持つ薬が効果的です。市販薬ではイブプロフェンやアセトアミノフェンが含まれているものや、トラネキサム酸含有の薬がおすすめです。ほかには、喉の痛みに特化したスプレーやトローチ、喉飴も常備しておきましょう。アズレンスルホン酸ナトリウム水和物などの抗炎症成分やポビドンヨードなどの殺菌消毒成分が含まれるものも良いです。ただし、症状が重い場合や続く場合には、迷わず病院を受診してください。

Q. 咳症状に対してはどのような薬が適していますか?

A. 咳に対する薬には、咳を抑える鎮咳薬と痰を切る去痰薬があります。鎮咳薬は、乾いた咳や頻繁に起こる咳に有効です。咳中枢を鎮めることで咳を抑える効果があり、デキストロメトルファンという成分がよく含まれています。鎮咳薬は咳の原因を治療するわけではなく、あくまで咳そのものの症状を和らげることに焦点を当てています。一方、去痰薬は痰を薄めて排出を簡単にする効果があります。これは痰が絡む咳、特に風邪や気管支炎などによる咳に対して有効で、一般的にグアイフェネシンという成分が含まれます。

Q. 喉の痛みや咳がある場合に、どのように適切な薬を選べばいいですか?

A. 市販薬を選ぶ際は、症状に合わせて薬を選ぶことが重要です。喉の痛みが主な症状であれば喉の炎症を抑える成分を含む薬、咳が主な症状であれば咳を鎮める成分を含む薬を選びましょう。どの薬がいいか迷った場合は、薬剤師や登録販売者に相談してください。

Q. 喉の痛みや咳に効く市販薬と処方薬の違いは何ですか?

A. 市販薬は軽度の症状に用いられ、薬局やドラッグストアなどで処方箋なしで購入できます。処方薬は、より特定の症状に特化したお薬で、医師の診断に基づいて処方されるので処方箋無しで服用することができません。

Q. 市販薬を選ぶ際に注意すべきことはありますか?

A. 市販薬の成分にアレルギーがないか確認すること、また服用中のほかの薬との併用が安全かどうかを薬剤師や登録販売者に確認することが重要です。妊娠中や授乳中の方、お子さま、高齢の方の場合はとくに慎重に選ぶ必要があります。

普段の生活でできる喉の痛みと咳の予防法を薬剤師が解説

Q. 普段から喉の痛みを予防するにはどうすれば良いですか?

A. 喉の痛みの予防には、適切な水分摂取が重要です。喉が乾燥すると、痛みや感染のリスクが高まります。普段からこまめな水分摂取を心がけましょう。室内の湿度を適切に保つことも大切です。加湿器を使ったり、部屋に濡れタオルを干したりするといいでしょう。タバコの煙や有害な化学物質、花粉、ほこりなどが含まれる空気から遠ざかることも重要です。

Q. 咳を予防するために日常生活で気を付けるべきことはありますか?

A. 咳の予防の基本は、定期的な手洗いやうがいです。手洗いは、殺菌成分が入った薬用石けんで20秒以上時間をかけて洗うと効果的です。汚れや菌をしっかり落とし、病原体の侵入を防ぐことができます。喫煙を避け、アレルギーがある場合はその原因となるものから離れることも重要です。

Q. 風邪の季節にとくに注意すべきことはありますか?

A. 可能であれば人混みや密閉された空間を避けましょう。室内を定期的に換気することも重要です。免疫力を高めるために、バランスの取れた栄養を摂ること、適度な運動、十分な睡眠を心がけることも大切です。そして感染症が流行する季節には、ワクチンの予防接種を受けることも対策の一つですね。

Q. 喉の痛みや咳がでるときに食生活では何に気をつけるべきですか?

A. 辛いものや刺激物は喉に負担をかけることがあるので、喉が不調な場合は控える方がいいでしょう。また、ビタミンCを含む食品を摂ることで、免疫力を高める効果が期待できます。たとえば、冬に旬を迎えるブロッコリーやいちごがおすすめです。塩分の摂取を控えることも重要です。塩分の多い食生活は免疫力に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。そのほか、生姜やはちみつ入りの飲み物など、喉に優しいドリンクを飲むのもいいでしょう。

Q. 声をよく使う仕事をしているのですが、特別に気をつけるべきことはありますか?

A. 声をよく使うお仕事の方は、定期的に声を休める時間を設けることが大切です。長時間話し続けると、喉への負担が大きくなります。水分をこまめに摂取し、喉の乾燥を防ぐことも意識しましょう。声を出す際は、無理な力を入れずに自然な声のトーンで話すといいですよ。


山形 ゆかり(薬剤師)

近畿大学薬学部薬学科卒業。卒業後、総合病院で糖尿病病棟の薬剤師として勤務。病院での経験を通じて「食の重要性」を深く感じ、食に関する資格を取得。現在は、「健康は食から」というモットーのもと、薬膳など食の知識を活かした薬剤師としての啓蒙活動中。薬膳アドバイザー・フードコーディネーター・フードアナリスト


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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