「たんぱく質の摂りすぎ」は良くない? 起こりうる不調や理想の摂取量について解説


たんぱく質の摂りすぎ」は良くない? 起こりうる不調や理想の摂取量について解説

健康のためにダイエットやトレーニングジムへ通うという方は、意識してたんぱく質の摂取を心がけられていると思います。しかし、たんぱく質は過剰に摂りすぎると体に負担をかけ、おなかの調子を乱してしまうことご存じでしたか?

たんぱく質はどのくらいだと摂りすぎ?

Q. たんぱく質とはどんな栄養素ですか?

A. たんぱく質は、私たちの体の細胞・ホルモン・酵素など全身の材料となる栄養素です。また、体内のさまざまな反応や免疫系の機能にも関わっています。重要な栄養素なので食事からの摂取が欠かせず、おもに肉・魚・卵・大豆・乳製品から補います。

Q. たんぱく質の摂取量には適量があると聞きます。一日にどのくらいが適量なのでしょうか?

A. 一日のたんぱく質の摂取量は、活動レベルや年齢、性別によって違います。一般的には、体重1kgあたり0.8~1.2gのたんぱく質を摂取するのがおすすめです。例えば体重60kgの人であれば、48〜72gのたんぱく質が必要です。目安としては、こぶし一つ分の主食(糖質)と、手のひら一枚分のおかず(たんぱく質)の組み合わせで3食しっかり食べると充足できる量です。

Q. 運動量の多い人やトレーニングをしている人はたんぱく質を更に多く摂る必要がありますか?

A. 運動量が増えた分のエネルギーは、糖質から摂ることをおすすめします。運動量が増えた、筋肉をはやくつけたいなどの理由でたんぱく質の摂取量を過剰に増やしてしまうと、身体への負担が大きくなってしまうためです。糖質からのエネルギーが十分摂れていれば、筋肉が減るリスクも低くなりますよ。

たんぱく質の摂りすぎ…体への影響は?

Q. たんぱく質を摂りすぎると、どのような問題が起きる可能性がありますか?

A. たんぱく質は、体の中で消化・吸収されてアミノ酸にまで分解され、肝臓で代謝されます。一方、過剰にたんぱく質を摂るとアンモニアや尿素といった老廃物が作り出されます。私たちの体は老廃物を体の外へ出そうとしますので、アンモニアや尿素を処理している肝臓や腎臓に大きな負担がかかり、消化器系にも影響が出る可能性があるのです。

Q. ダイエット目的でたんぱく質を摂っている方も多いと思います。たんぱく質の量を減らしても問題ないのでしょうか?

A. もちろんダイエット中は筋肉量を保ちながら体重を減らすため、適量のたんぱく質の摂取は必要です。ただ、摂りすぎた分のたんぱく質は、老廃物として処理されるか脂肪として蓄積されるかのどちらかです。また、お肉や魚の調理で必要以上に脂質や塩分摂取量も増えるので、むくみやすくなる、心疾患のリスクが高くなるなども考えられます。

Q. 高たんぱく質の食生活のデメリットはほかにもありますか?

A. 先ほどお話した以外には、経済的な面でもデメリットがあるでしょう。たんぱく質の多いお肉や魚、商品やサプリメントは、一般的にコストがかかります。

たんぱく質を摂るときの工夫は?

Q. たんぱく質を効率よく摂取する方法は何ですか?

A. たんぱく質は一度で大量に摂るのではなく、一日数回に分けて摂取するのがおすすめです。小分けにして摂ることで消化器官への負担も減り、たんぱく質が効率的に利用されるので筋肉の修復や生成に役立ちます。

Q. たんぱく質を摂るタイミングについて教えてください。

A. 朝にたんぱく質を摂ると体の代謝が良くなるので、朝ごはんにたんぱく質の多い食材を取り入れるといいですね。朝、忙しくてたんぱく質豊富なおかずを準備できない時は、高たんぱく質な栄養補助食品やパン、ドリンクなどを活用しても良いでしょう。

Q. たんぱく質といえばプロテインを活用している人も多いですよね。自分に合ったプロテインの選び方を教えてください。

A. プロテインにはホエイ、カゼイン、ソイ、ヘンプなどいろいろな種類があります。これらの違いはアミノ酸の組成によるもので、効果もそれぞれ変わってきます。おなかとの相性やアレルギーなども関わってくるので、継続的に飲む場合は管理栄養士や医師に相談して、自分の体質や目的、予算に合ったものを選びましょう。


藤井佑里子(管理栄養士)

大手食品メーカーでレシピ開発や料理講師を経験。現在は糖尿病性腎症の栄養相談、高齢者の栄養相談、記事監修、商品開発コンサル、自治体での講師活動等を幅広く行う。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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