ロキソプロフェンやアセトアミノフェン...鎮痛剤(痛み止め)の種類や選び方は? 【薬剤師監修】


キソニンやアセトアミノフェン…鎮痛剤(痛み止め)の種類や選び方は? 【薬剤師監修】

頭痛や生理痛がひどく、今すぐどうにかしたいと思ったら、選択肢として鎮痛剤を飲むことが多くあると思います。鎮痛剤はドラッグストアやネットなどで簡単に購入できますが、痛みの原因と鎮痛剤の種類はさまざまで、自己判断で鎮痛剤を長期で服用するのは要注意です。では、症状に合った鎮痛剤はどのように選べばいいのでしょうか? 今回は痛みの種類から考える鎮痛剤の選び方や効果が期待できる症状の具体例、使用上の注意について、薬剤師に解説してもらいます。

痛剤が効くメカニズムは? 使用時のポイントを薬剤師が解説

Q. 「鎮痛剤(痛み止め)は、どのようなメカニズムで効果を発揮しますか?

痛み止めの種類によってメカニズムは異なります。「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」などNSAIDsに分類される鎮痛剤は、細胞が損傷を受けたときに発生する炎症成分であるプロスタグランジンの産生を抑制することにより痛みを抑えます。そのほか、小児や妊婦にも使用される「アセトアミノフェン」は、中枢神経に作用して炎症成分を作る酵素を阻害するといわれますが、詳細は解明されていません。

Q. 鎮痛剤(痛み止め)には種類がたくさんありますか?

A. 痛みの種類は大きく3つに分けられます。1つ目は怪我などの痛みによる「侵害受容性疼痛」、2つ目は神経自体が痛むことによる「神経障害性疼痛」、3つ目は身体的な異常はなく、脳自体で痛みを感じる「中枢神経障害性疼痛(心因性疼痛)」です。痛みの原因がどれかによって選ぶ鎮痛剤が変わってきます

Q. たくさん種類のある痛み止めですが、市販でも購入できますか?

A. 市販薬の痛み止めは主に頭痛、歯痛、怪我による痛みといった侵害受容性疼痛に効果が期待できるものになります。小児や妊婦にも使用でき安全性が高いとされているアセトアミノフェン、第一類医薬品であるロキソプロフェンなどNSAIDsに分類される鎮痛剤の一部は市販でも販売されています。

Q. 鎮痛剤としての強さも違いますか?

A. 薬の効果はアセトアミノフェン→NSAIDs→非麻薬性鎮痛薬→麻薬性鎮痛薬の順に大きくなります。市販薬で存在しているのはNSAIDsまで、それより強いものは病院で処方してもらう必要があります。「非麻薬性鎮痛薬」には、トラマドールやブプレノルフィンなどがあります。「麻薬性鎮痛薬」には、モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなどがあります。

鎮痛剤はどんな症状に効果がある?

Q. 頭痛で痛み止めを飲んだことはありますが、腹痛にも効果があるのですか?

A. 腹痛の原因が生理痛であれば、プロスタグランジンの生成により、子宮が収縮し、痛みが起こっているため、ロキソプロフェンなど頭痛にも使用される成分は有効です。しかし、腹痛の原因が便秘、胃もたれ、食あたりなどである場合は、頭痛に使用されるタイプの痛み止めは効果がない可能性があります。服用することにより症状を悪化させることもあるので、注意しましょう。腹痛の原因がわからない時は自己判断で薬を服用することはやめてください。

Q. 頭痛がひどい場合、痛み止めを日常的に飲んでもいいですか?

A. ロキソプロフェンやアセトアミノフェンは一時的に症状を緩和する効果は期待できますが、自己判断で日常的に飲むことは避けましょう。NSAIDsの長期服用により胃潰瘍のリスクが上昇する可能性や、薬剤性頭痛を起こすことがあります。頭痛の原因が偏頭痛の場合は治療薬があるので、病院を受診するようにしましょう。

Q. 腰や足にピリピリとした痛みがある場合はどうでしょう?

A. その場合、神経が傷んで神経伝達に異常が生じている可能性があります。これは「神経障害性疼痛」に分類され、プレガバリンなどの薬剤が選択肢となります。しかし、市販薬では神経伝達を正常にする薬はないので、病院を受診する必要があります。

鎮痛剤の正しい選び方・使い方(量、タイミング)

Q. たくさん種類のある痛み止めから、どうやって選べばいいですか?

A. 薬の形状が異なると、吸収される部位やスピードが変わってきます。なので、服用する人によって剤形を変えることもあります。例えば、アセトアミノフェンの錠剤と坐薬では、坐薬の方が早く効果が出ます。また、錠剤や粉薬が飲めない時も、坐薬を選ぶことがあります。麻薬性鎮痛剤に分類される「フェンタニル」には、パッチという剤形もあり、胸、腹、上腕、大腿部に貼付することで鎮痛効果が得られます。

Q. 痛み止めで気をつけないといけないことはありますか?

A. 1回に飲む薬の量や1日の服用量は必ず守るようにしましょう。1回1錠飲む薬を1回2錠に増やすと効果が2倍になるという訳ではありません。むしろ量を増やすことにより副作用が強く出てしまうことがあります。

Q. 痛み止めも食後服用になりますか?

A. NSAIDsに分類される痛み止めは胃に負担がかかりやすいので、食後服用です。病院で処方された痛み止めは、効果が持続する時間や副作用を考慮して決められた服用タイミングを指示されるので、必ず守るようにしましょう。


大田 優実(薬剤師)

大学卒業後、調剤薬局に就職。管理薬剤師の経験を経て、現在はドラッグストアに勤務。OTC医薬品も含め、医薬品の正しい使い方を伝えられるよう日々活動。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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