シミの原因と治療法を皮膚科医が解説 紫外線・活性酸素・年齢への正しい対策とは?
紫外線がシミの原因となることはなんとなく知ってはいても、どういったメカニズムなのかや紫外線以外の原因について、きちんと知る機会はあまりないのではないでしょうか。
そもそもシミは皮膚のどんな症状? シミができやすい顔の頬・目の下以外に腕・お腹・手の甲などにもシミはできる? 肝斑との違いとは?
Q. シミはどうしてできるのですか?
A. シミの主な原因は「紫外線」と言われています。もう少し正確に言うと、紫外線などの刺激によってメラニンが生成され、それが代謝されずに蓄積されていくことがシミの原因となります。
Q. もう少し詳しく教えてください。
A. まず、シミは厚さわずか0.1~0.3mmほどの表皮の中で発生します。表皮が紫外線を浴びると、メラノサイトという色素形成細胞が活性化し、メラニン色素が生成されます。この「メラニン」は、肌のターンオーバーに伴って排出されていくのが普通です。日焼けをしても、少しずつ戻っていくのはそのためです。
Q. メラニンの排出がうまくいかないと、シミができてしまうのですか?
A. そういうことですね。 何らかの原因でターンオーバーのサイクルが乱れ、メラニンの生成が排出のペースを上回ると、大量のメラニンが肌に滞留することになります。この時に、肌に残ってしまったメラニンが、シミとなってしまうのです。
Q. 紫外線を浴びると、なぜメラニンが生成されるのですか?
A. メラニンは、紫外線から肌細胞を守る働きをしています。メラニンは決して悪者ではなく、表皮細胞の中にメラニンがあることで、肌が守られているのです。
シミが急にできたり増えたりするのはなぜ? 紫外線・食べ物・年齢などシミができる原因と仕組み・発生メカニズムを皮膚科医が解説
Q. 紫外線のほかにも、メラニンを増加させる原因があるのですか?
A. はい。例えば、皮膚の炎症トラブルや肌への過剰な摩擦は、メラノサイトを刺激して、メラニンを生成しやすくしてしまいます。ニキビが気になるからといって、自分で潰してしまうと、肌が炎症を起こし、色素が沈着してシミとなります。花粉症などで目をゴシゴシ擦ったり、スクラブ洗顔などをやりすぎたりするのもメラニン増加の原因となります。
Q. ほかにはどんな原因がありますか?
A. 「女性ホルモン」と「活性酸素」も、シミの原因となります。女性ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)は、紫外線と同様に刺激誘引物質として働き、メラニンを増加させます。女性は男性に比べて、年齢やバイオリズムなどによってシミのできやすい時期やできにくい時期があるのはそのためです。
Q. 「活性酸素」についても教えてください。
A. ストレスや喫煙、睡眠不足、ミネラル・ビタミン不足などが原因となって発生する活性酸素は、メラノサイトを刺激しメラニンの増加を促します。これらに加え、紫外線も活性酸素を増やす原因となるので、とにかく紫外線対策は怠らないようにしてください。シミだけではなくしわ・たるみなど、皮膚の老化現象の多くは紫外線が原因だと言われています。
Q. 睡眠も大事なのですね。
A. 睡眠はとても大事です。睡眠不足になると、メラニンが増加するだけでなく、できてしまったメラニンの排出も遅くなってしまいます。きちんと睡眠を取らないと、睡眠時に生成される女性ホルモンのエストロゲンや成長ホルモンが不足するため、ターンオーバーの乱れや遅れを引き起こすからです。
メラニンが増加する原因 | メラニンが代謝されにくくなる原因 |
紫外線 | 加齢 |
炎症やニキビなどの 皮膚トラブル | 睡眠不足 |
肌への過剰な摩擦 | |
女性ホルモン・ 成長ホルモン | |
活性酸素 |
できてしまったシミの治療法が知りたい シミ取りレーザーで綺麗に消せるの? シミ対策の正しいスキンケアも教えて
Q. では、できてしまったシミにはどうしたら良いでしょうか?
A. これまで述べた紫外線や肌への摩擦をできるだけ避け、ストレスのない健康的な生活をすることで、ある程度シミを薄くすることは期待できます。しかし、セルフケアだけでシミを綺麗に消すことは難しいので、気になる方は皮膚科・美容皮膚科に相談していただけたらと思います。一般的なシミである「日光黒子(老人性色素斑)」だけでなく、「そばかす」や「肝斑」など、シミにもいくつか種類があるので、それらを見極めながら最適な治療法を提案することができます。
Q. どんな治療法があるのですか?
A. 例えば当院では、日光黒子には「シミ取りレーザー治療」、そばかすには「フォトRFオーロラ治療(フォトフェイシャル)」、肝斑には「肝斑レーザートーニング治療」など、それぞれに適した治療法を提案しています。
Q. 治療後のスキンケアは必要ですか?
A. レーザーなどでの治療は、効果的にシミを取ったり薄くしたりすることができます。しかし、その後のケアもとても重要で、例えば外用薬などを使って治療後の色素沈着を予防することで、その後の仕上がりが格段に変わってきます。シミ取りの治療をした後は、ぜひその後のスキンケアを疎かにせず、専門医のアドバイスに従って丁寧にケアをしてください。
髙瀬 聡子(ウォブクリニック中目黒)
東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院にて臨床研修修了。その後、東京慈恵会医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科診療に従事、アトピー外来・レーザー外来などを担当。2007年、東京都目黒区に「ウォブクリニック中目黒」を開院。日本皮膚科学会、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会、日本香粧品学会、日本レーザー医学会の各会員。著書に「ゆる美容事典」ほか。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
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