五月病の抜け出し方や予防方法を医師が解説 どんな症状があると五月病?


五月病の抜け出し方や予防方法を医師が解説 どんな症状があると五月病?

4月から新年度が始まり、新しい環境で頑張っている人も多いことでしょう。そんな、頑張っている人こそ注意したいのが「五月病」です。五月病とは何なのか、予防法やなってしまったときの抜け出し方などについて、精神科医に伺いました。

五月病の実態とは? やる気がでないのも症状? うつ病とは違うの?

Q. 実際のところ五月病とはなんですか?

A. 五月病は新しい環境で頑張りすぎたり、慣れようと無理しすぎたりしたために起こる心と体の疲れの反動で、精神科的には「適応障害」という状態が考えられます。日本では4月が新年度と言われ、就職や進学といった新しい環境での新生活がスタートすることが多くなります。その中で、慣れないことや自分自身に負荷をかけないといけないことが多く、そのストレスが積み重なり、ちょうど1ヶ月が経つ5月頃に倦怠感、やる気がでないといった状態となることがあります。その状態のことを世間では「五月病」と呼んでいます。

Q. 新しい環境下で適応障害になってしまう原因はなんですか?

A. 「頑張りすぎる」「周りに合わせすぎる」ことが原因のひとつであると考えられます。新生活で「上手くやらないといけない」「早く順応しないといけない」、そういった想いから自分の限界を超えて必要以上に頑張ったり周りに合わせたりしてしまい、そのストレスがじわじわと積み重なって、適応障害といった状態になってしまうことが考えられます。

Q. 季節性ということはあるのでしょうか?

A. 適応障害という病気はストレスを感じる以上、季節を問わずいつでも起きる可能性があり、予防としては日々ストレスをためすぎない生活を送ることが大切になります。しかし五月病に限れば、名前から分かるように、新年度が始まって1ヶ月というタイミングでその状態に陥りやすいといったことから、季節性があると言ってもいいのかもしれません。

Q. 新生活から1ヶ月のタイミングでゴールデンウィーク(GW)の連休があることは、五月病に関係しているのでしょうか?

A. GWで仕事から離れることで、新年度の張り詰めていた気持ちが切れてしまい、気分の落ち込みや意欲の低下が浮き彫りとなる可能性があります。また、長い休みが明けることで、「またきつい生活に戻らないといけない」というネガティブな気持ちから調子を崩しやすくなる場合があります。これは、新年度でエネルギーをフルパワーで使った後に、いきなりGWでクールダウンを行うというメリハリに欠いた状態が原因の可能性があります。そうならないために、頑張り過ぎない、適度に休息を取ることを意識することが大切です。

こんな4月を過ごした人は五月病を要警戒?

Q. 五月病になりやすい人の傾向などがあれば知りたいです。

A. 五月病になる人の多くは、真面目で責任感があり、優しい性格を持っている方です。そうであるからこそ本来の自分を超えて無理して環境に過剰に適応しようとしてしまい、その結果、五月病のような適応障害となることが多いと考えられます。

Q. 五月病になりそうな傾向のある人は4月をどう過ごした人でしょうか?

A. 五月病にならないためには、無理に頑張りすぎないこと、自分をしっかりと保つことが大切でした。具体的には、無理して環境に合わせようとしたり、自分のペースを保てなかったりした人は五月病になる可能性を秘めています。もちろん時には頑張らないといけないことがあるかもしれませんが、そういった時は、その後に自分自身を「よく頑張った」とねぎらい、しっかりと休みを取ることがケアになります。休むときは寝るでもよし、好きなことをするでもよし、自分のやりたいことができる時間を作ると良いでしょう。

Q. 睡眠や食事なども五月病に関係しますか?

A. 睡眠や食事は心と体の安定を保つためにもとても重要です。睡眠、食事ともにエネルギーを充電するために必要で、それがおろそかになってしまいエネルギーが少ない状態で生活すると、無理をしている状態が増えてしまい、その結果、適応障害となってしまうことがあります。また、睡眠は脳や体を休めるために大変重要ですし、食事をとることで感情を安定させるホルモンをつくり、しっかりと働かせることができます。結果的に睡眠、食事ともにバランスよくとることが、適応障害の予防につながる可能性があると考えます。

Q. 仕事中にやっておくと良いことがあれば知りたいです。

A. 仕事中は、適度に休息をとることが大切です。気分転換を行うことで、リフレッシュした状態で仕事をすることができるでしょう。また、「無理をし過ぎないように意識する」ことも大切です。新生活ではどうしても無理し過ぎてしまうことが多いため、意識しておくだけでも良い意味で気持ちのブレーキとなり、結果的に負荷をかけ過ぎずに適度な緊張感で仕事を行うことができると考えます。

五月病は何科で治療できる? 自分でもできる抜け出し方があれば教えて

Q. 五月病になってしまったことを自認する手段はありますか?

A. 疲れやすくなった、やる気がでない、今まで楽しいと思ったことが楽しくなく感じる、何となく気分が沈んでいる、そういった状態がある場合は五月病の可能性があります。早めに気づき、適切に対処することで、症状が悪化せずにすむことがあります。ひとつでも当てはまるものがあれば、休息を取ることが重要で、それでも改善しない場合は病院へ相談することをおすすめします。

Q. 五月病になった場合、何科でどんな治療が受けられるのでしょうか?

A. 精神科・心療内科の受診をおすすめします。治療は、基本的に「ストレスから離れて休むこと」です。五月病の原因となる適応障害の多くは、ストレスの原因となる環境から離れることで回復します。眠れない、不安といった症状や休養をとっても回復しない、気分の落ち込みなどが悪化するといった場合などに、お薬を使うこともできます。また、適応障害ではない病気が隠れていて、診察や検査を受けて明らかになる場合もあります。

Q. 五月病になってしまったときの注意点や対策などを知りたいです。

A. 繰り返しになりますが、まずは「ゆっくり休む」ことが重要です。注意点としては、休んでいる間に睡眠や食事といった生活リズムを乱さないことも大切になります。


別府 拓紀(精神科医)

2012年産業医科大学医学部卒業。大学病院や市中病院で精神科の経験を積み、現在精神科医として市中病院勤務。大手企業の専属産業医経験あり。病院や企業の嘱託産業医経験多数。公認心理師、精神保健指定医、認知症サポート医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本老年精神医学会専門医、日本臨床精神神経薬理学会専門医、メンタルヘルス運動指導士、日本医師会健康スポーツ医、産業医、日本DPAT先遣隊隊員。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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