「こむら返り」ってどんな状態? 何が原因でおこるの?


「こむら返り」ってどんな状態? 何が原因でおこるの?

突然、なんの前触れもなく訪れる激痛、「こむら返り」。理由もわからず、しかも唐突に訪れるのでどうしたらいいか不安になるという方も多いかもしれません。

「こむら返り」とは?

Q. こむら返りとは、何でしょうか?

A. ふくらはぎから足裏、足の指にかけての急激な筋肉の突っ張りを一般的に「こむら返り」とよびます。いわゆる「足がつる」状態です。急な激痛なので心配になるかもしれませんが、病気ではありません。

Q. どうして「こむら返り」は起こるのでしょうか?

A. 実は、正確なメカニズムはよくわかっていません。医学的には「有痛性筋痙攣」とか「筋クランプ」と称しますが、正式な名称もはっきり定められていないのが現状です。腓腹筋に起こることがほとんどなので「腓腹筋痙攣」とも呼ばれていますが、実際は腓腹筋以外でも起こりうる症状です。「こむら」は「ふくらはぎ」をさす言葉ですが、ふくらはぎ以外にも手足の指や首、背中などでも起こります。原因としては、筋肉の疲労や血行不良、そしてミネラルバランスの崩れなどがあげられます。

Q. どんな人に起こりやすいのでしょうか?

A. 加齢に伴い血流が滞りやすかったり、疲労が溜まりやすくなったりしている中高年、ミネラルバランスが崩れやすく体重増加などで足に負担がかかりやすい妊娠中の女性などです。普段あまり運動習慣のない人が急にスポーツやストレッチをした時なども、筋肉に負担がかかると起こりやすいと言われています。運動前に準備体操をするのは、「こむら返り」の予防という目的もあるのです。

「こむら返り」の原因

Q. 「こむら返り」の原因についてもう少し詳しく知りたいです。

A. 「こむら返り」は、わかりやすくいうと筋肉の誤作動なので、筋肉が正常に働きにくい状態になってしまうと「こむら返り」が起こりやすくなります。

Q. そうすると、筋肉が疲労している状態が良くなさそうですね。

A. そうですね。筋肉に酸素や栄養分を運ぶのも、筋肉に溜まった疲労物質を回収するのも血液なので、血行不良も筋肉の疲労に繋がります。

Q. ミネラルバランスが原因となるのはどうしてですか?

A. 私たちが筋肉を働かせて活動するとき、筋肉は収縮と弛緩を繰り返します。このときにカルシウムやカリウム、ナトリウムなどのミネラルが必要とされるのです。そして、それらの働きを調整しているのがマグネシウムというミネラルです。これらが不足したりバランスが悪くなったりすると、筋肉の働きが上手くいかなくなってしまうのです。

「こむら返り」の予防法や対処法

Q. では、どうやったら「こむら返り」は減らせますか?

A. まず、筋肉疲労を速やかに解消することです。筋肉が疲れていると感じたら、マッサージやストレッチ、休息などで対応しましょう。もちろん、先ほど言ったように、運動前に準備体操をするのも効果的です。

Q. 血行を良くするためには、何をしたらいいのでしょうか?

A. 基本的なことですが、食生活や水分摂取に気をつけて、血液サラサラを保ちましょう。また、タイトな衣類や靴でふくらはぎを締め付けないことや、冷やさないことも大切です。特に、くるぶしから上の10~15cmあたりは、血管が急激に細くなるため血流が悪く、冷えやすい部分です。靴下を履いたり、半身浴や足湯をしたりして冷えを解消しましょう。

Q. ミネラルバランスを保つために何かいい方法はありますか?

A. カルシウムは乳製品や小魚、カリウムは野菜や果物、海藻類、マグネシウムは肉や魚に多く含まれます。このような食材を使ったレシピを積極的に取り入れるのがいいですが、ミネラルウォーターも吸収率が良く、効率的に摂取できるのでおすすめです。あとは、煮干しや干し椎茸などでしっかり「だし」をとったお味噌汁は、全てのミネラルがバランスよく摂れる優秀メニューです。

Q. 実際に「こむら返り」になった時の対処法を教えてください。

A. 膝を伸ばして座り、足の親指をつかんで手前に引っ張りましょう。仰向けに寝た状態でも構いません。これだけですぐに治まります。事故につながる恐れもありますので、運転中や水泳中などはできるだけ速やかに安全な場所へ移動しましょう。


齋藤 里美(理学療法士)

札幌医科大学保健医療学部理学療法学科卒業後、急性期の総合病院に約20年間勤務。理学療法士としてリハビリテーション業務のほか、重複障害をもつ患者さんの治療の適正化などに従事。2021年2月から医療ライターとして活動を開始。医療従事者としての知識や経験を自分の言葉で届けるほか、医療雑誌の校正や編集も勉強中。プライベートでは小中学生3人&チワワのママ。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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