うつ病の人は顔つきが変わる? うつ病の人の特徴や気づくサインを公認心理師が解説


うつ病の人は顔つきが変わる? うつ病の人の特徴や気づくサインを公認心理師が解説

「うつ病」という病名は皆さん耳にしたことがあると思います。「気分が落ち込む」「何もやる気が起きなくなる」など症状について想像できる方も多いのではないでしょうか。そんなうつ病ですが、「発症すると顔つきが変わる」という話を耳にすることもあります。うつ病で顔つきが変わるというのは本当なのでしょうか。

うつ病とはどんな病気? 症状や原因を解説

Q. うつ病とはどんな病気ですか?

A. うつ病とは、気分の落ち込みや興味・喜びの減退などの精神症状や不眠、倦怠感、食欲の低下などの身体症状が2週間以上継続することにより、社会生活が困難になる病気です。国際疾病分類(ICD-10)では「気分障害」に分類されます。気分障害には、気分の落ち込みと高揚を繰り返す双極性障害なども含まれます。

Q. うつ病の原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

A. うつ病の原因は明確には分かっていませんが、環境要因が大きく関係していると言われています。例えば、人間関係でのトラブル、家庭内不和、大切な人の死(家族、友人)、大切なものを失う(財産、仕事)、妊娠や育児など、いわゆる強いストレスがかかっている状態にあると発症しやすくなります。また、神経生物学的要因や身体的要因、遺伝子的要因が関係していると言われています。

Q. うつ病の治療方法についても教えてください。

A. うつ病の治療では、主に休息、薬物療法、環境調整をおこないます。まずは十分な休息をとり、こころと身体を回復させていきます。その際に、抑うつ気分に効く薬や、睡眠を改善してくれる薬を使って回復を後押しさせます。また、回復しても前と同じ環境になれば再発する可能性があるので、職場や人間関係など変えられる環境は変えるような働きかけが重要になってきます。治療を進めていく中で不安や疑問を感じた際には、主治医に相談しましょう。

うつ病の人は顔つきでわかる? 顔つきや行動の特徴とは

Q. うつ病の人は顔つきに特徴があると聞いたことがあります。本当でしょうか?

A. はい、うつ病の人は顔つきに特徴があります。たとえば、以前に比べて暗い表情や無表情、ぼーっとしている、作り笑いなど無理をして笑っている姿が見られます。また、悲しげな表情をしていたり、顔色が悪かったりすることもあります。今まで明るい表情だった人が、急に暗い表情になったり無表情になったりしていたら、うつ病の可能性が考えられます。

Q. うつ病の人に見られる行動の特徴を教えてください。

A. 例えば、欠席や欠勤が増える、ネガティブな発言が増える、言葉数が減る、遊びなど楽しい予定も断るなどの特徴が挙げられます。うつ病と言えば、ネガティブな発言をする病気のイメージがあるかもしれませんが、1人で抱え込んで誰にも弱音を吐かない人もたくさんいますので気を付けましょう。

Q. その他、うつ病の人に見られる特徴はありますか?

A. 失くしものや忘れ物が増える、簡単なミスが目立つ、食欲が減る・または増すといったこともうつ病の人によく見られる特徴ですね。また、うつ病の人は「身体がだるい」「前と比べてすぐ疲れるようになった」というような倦怠感が生じますので、活動量が低下することもあります。

Q. うつ病になりやすい人の特徴があれば教えてください。

A. うつ病になりやすい特徴としては、「生真面目」「完璧主義」「責任感が強い」「自分に厳しい」といった性格の人が多いですね。ほかの人からの頼みや依頼を断れず、タスクをかかえ込んでしまったり、臨機応変な対応が出来ずに自分を追い込んでしまったりする傾向にあります。自分自身の性格傾向をつかんで、ストレスを溜め込みすぎないようにすることが大切です。

「うつ病かもしれない」と思ったら病院の受診を うつ病かもしれない人への接し方を併せて解説

Q. うつ病かもしれない人への接し方を教えてください。

A. うつ病は、単なる気分の落ち込みとは違い、努力だけではどうにもならない病気です。本人のつらさや焦りなどを理解しながら、あたたかく見守っていくことが大切です。具体的には、十分に休養するように勧め、可能であれば現実的に休める環境づくりを手助けします。本人がつらい思いを話した時には、否定せず共感的な姿勢で話を聞いてあげましょう。「頑張れ」などの安易な励ましや説教は厳禁です。ただし、「死にたい」など希死念慮が見られる時には早急に受診を促す必要があります。

Q. どうやって受診を勧めたらいいでしょうか?

A. うつ病は本人が「うつ病ではない」「まだ大丈夫」と受診を拒否することが多く見られます。そんな時には、不眠や食欲不振などの身体症状の治療を目的に受診を促すと少しハードルが下がるのではないでしょうか。また、病院以外の相談機関に頼ることも1つの方法です。

Q. 病院以外ではどんなところで相談できますか?

A. 社会人であれば職場の産業医やEAPサービス、学生であれば養護教諭やスクールカウンセラーが挙げられます。また、各自治体にはメンタルヘルスに関する相談窓口が設置されています。


甘中 亜耶(公認心理師)

京都文教大学大学院 臨床心理学研究科修了。大学院修了後、発達相談を経験した後、2022年から児童精神科クリニックと保健所に勤務。精神疾患やメンタルヘルスに関して「正しい情報を分かりやすく伝える」をモットーにフリーランスのライターとしても活動している。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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