眼精疲労がひどい! 眼科医が教える予防策は?
パソコンやスマホなどを操作しているときに感じる「目の疲れ」。真の眼精疲労ではなく、ドライアイによって似た症状を発症している場合が多いといいます。目のだるさや重さを感じる原因と、その予防策について医師に解説していただきました。
環境を整えるだけで、目はぐっと楽になる
Q. 目の疲れを楽にする方法はありますか?
A. 私がお勧めするのは、作業環境に合わせた「専用のメガネを作る」という方法です。例えばパソコンやスマホで目が疲れるとしたら、拡大鏡か軽めの老眼鏡をかけてみてください。ピント調節筋は手元を見るときによく使いますから、ぐっと楽になりますよ。すでにメガネをお使いの方でも、もう1本、持ってみてはいかがですか。
Q. メガネ以外の方法はありますか?
A. 作業環境をもっと明るくするのも効果的です。明るいと瞳が小さくなり、それだけ焦点深度も浅くなるのです。わかりやすく言うなら、小さなピント調節幅で済むということです。あるいは、ピントを一生懸命合わせなくてもいい距離で作業するなど。モニターの距離を離したり、資料を離して読んだりするだけでも違ってくるでしょう。
Q. 目をマッサージする方法はどうでしょう?
A. その場合は目尻のほうではなく、目頭の上あたりをマッサージしてください。場所がわからなかったら、ホットタオルで目の周り全体を温めてもいいでしょう。ぬるいと効果が薄れてしまいますので、やけどをしない程度の「熱め」にしてください。
Q. 市販のサプリなどは効くのですか?
A. ピント調節筋に働きかけるタイプの機能性食品なら、効果があるかもしれません。ビタミン剤の類いは、長期間飲み続けて効果が出るかどうかといったところ。もちろん、ご本人が「効く」と感じるなら、それでも構いません。
その疲れ、実はドライアイかも
Q. 目の疲れはどうして起きるのでしょう?
A. ピントを合わせるということは、目のレンズにあたる水晶体の厚さを変えるということです。このとき、水晶体の周りにある「毛様体筋」という筋肉を使います。若い方は水晶体が軟らかいのですが、硬くなってくると、より筋肉の力を必要とします。そのため、目が疲れやすくなるのです。
Q. 手元側にピントをあわせるときに、筋肉を使うのですよね?
A. はい、前述のとおりです。老眼鏡を使う環境に似ていますよね。また、近視用のメガネをお使いの方は、裸眼で作業するのも方法です。近視用メガネは、遠方を見るように作ってあるので、むしろ手元が見にくいんですね。
Q. 作業環境を変えても疲れが残る場合、どうすればいいですか?
A. そのような方は「ドライアイ」の可能性があります。対象物を集中して見ていると、まばたきの回数が減ってくるからです。むしろ「ドライアイ」になっているケースのほうが多いのではないでしょうか。ピント調節筋は意外と元気なのに、目の渇きのせいで、まばたきの重さやだるさを感じているのかもしれません。
Q. 本当の眼精疲労かドライアイかは、自己診断できますか?
A. 目薬をして楽になるようなら、ドライアイかもしれませんね。もっとも確実なのは、医師の診察を受けることです。ドライアイの状態では、涙液が蒸発して角膜を荒らしてしまいかねませんから、一度、検査してみてください。
Q. ドライアイの予防法があったら、教えてください。
A. 目薬のほか、先ほどのホットタオルも有効です。保湿効果が望めますし、目をつぶっている間に涙液を循環してくれます。真の眼精疲労にも有効ですから、お湯が使える環境なら、ぜひ、試していただくことをお勧めします。
山本 篤志(山本眼科 院長)
日本大学医学部卒業。2016年より、父親が院長を務める山本眼科の副院長に就任。「見え方の満足」を診療理念とし、白内障手術に力を入れている。日本大学病院兼任講師。日本眼科学会専門医、眼科PDT認定医。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
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