医師がやっている眼精疲労の対処法を教えて!


医師がやっている眼精疲労の対処法を教えて!

目の専門家ともいえる眼科医は、目の疲れに対し、どんな工夫をしているのでしょうか。プロの方法には根拠があるはずですし、誤解や勘違いなども少ないと思われます。そこで、医師にズバリ伺いました。日頃から気をつけている方法について教えてください。

眼科医院の点眼薬が一つの答え

Q. 先生がやっている疲れ目の対処法を教えてください。

A. 近視で老眼も多少ある私個人の場合でいいなら、焦点距離の異なるメガネを複数、使い分けています。車に乗るときなどの「遠方用」と、仕事をするときの「手元用」ですね。このほうが、目の疲れに関していえば、「遠近両用」よりも楽ですね。その日に予定している内容がおおむね固定されているなら、その環境に合った単焦点メガネを用意しておくといいでしょう。

Q. 遠近両用は、双方を兼ねる反面、どっち付かずの傾向もあると?

A. 遠近両用メガネは、2つのレンズが段階的に組み合わさっているので、「遠くなら上のへりに近い部分、手元なら下のへりに近い部分」で見ないと、本来の“見え”は得られないのです。中間の部分で見ると、目が頑張ってしまいますから、それだけ目に負担がかかります。ただし、人にもよりますよ。そもそもメガネが不要な方もいらっしゃいますしね。

Q. 若くて、メガネを使っていない人の場合は?

A. 一般論としてなら、「睡眠をよく取ること」ではないでしょうか。睡眠不足は、肉体的な疲労と自律神経失調の双方で、目に良くない習慣といえます。「何時間寝ればいいのか」という目安は人それぞれで、「ぐっすり寝られたな」と思えば、それでいいでしょう。目の疲れも取れているはずです。

Q. では、前提条件を全て外します。眼精疲労の根本対策について教えてください。

A. そうなると、眼科医院で処方する点眼薬です。点眼薬の目的は「目の筋肉にある凝りを解きほぐすこと」ですから、これに勝る対処法はないと思います。眼精疲労は、タイプ別に分類うんぬんというより「程度差の問題」ですので、“凝りを解きほぐす” というシンプルな方法が最も合っているのではないでしょうか。

眼科医院では常識、充血解消用の目薬に潜むワナ

Q. 逆に、先生が見ていて「やめたほうがいい」と思える方法は?

A.充血を取ることに特化した市販の目薬」は、使用を控えてください。そもそも充血とは、より多くの酸素や栄養を送るために、目の血管が拡張している状態です。充血用の目薬で血管を収縮させると、「もっと酸素や栄養が欲しい」と訴えている目への供給が少なくなりますので、好ましくありません。

Q. ほか、控えたい習慣などはありますか?

A. 目をゴシゴシこすることです。目の表面を物理的に摩擦しますから、疾患の原因になります。目をこすって得られることは「何もない」と言いきっていいでしょう。ただ、寝ているときにかゆくてかいてしまう程度なら、やむなしです。

Q. サプリメントについても注意点を教えてください。

A. 「眼精疲労」に限定してなら、否定的な見解を持つ医師が多いですね。また、目のマッサージグッズも怖いですよね。ただの疲れ目だと思っていたら、実は緑内障という眼圧の上昇によって起こる病気だった場合、取り返しのつかないような危険を伴います。「他人がいい」と言っていたとしても、「自分にいい」とは限りません。わからなかったら、医師に相談してください。

Q. 眼科を受診すれば、いろいろなアドバイスをいただけるのですよね?

A. もちろんです。専門的な検査をして、その人に合った治療やアドバイスをいたします。最も多いのは、「市販の目薬を使っても、疲れ目が解決しない」というパターンです。できましたら、市販の目薬を使う前の段階で、ご相談ください。眼科で処方する点眼薬なら、たいていの「眼精疲労」が解決できます。

共通項として見えてきた「頑張る」というキーワード

Q. そもそも眼精疲労はどうして起こるのですか?

A. 一言で言うなら、「物をしっかり見ようとして、目が頑張ってしまうから」ですかね。無意識にやっていることなので、自分ではなかなか気づけないと思います。また、「長時間かつ同じ距離の物を見続ける」ことも、大きな要因といえます。ピント調節筋が焦点を同じ距離に保とうと、頑張り続けるわけです。

Q. 眼精疲労を放置することで考えられるリスクは?

A. 眼精疲労の定義は、目だけでなく目以外の場所にも症状が出ていることです。具体的には、肩の凝り腰の痛みなどですね。これらの悪化や慢性化が考えられます。また、「物が見えにくくなっている病気」を抱えた結果として、「頑張って見ようとしている」ケースが怖いのです。眼精疲労の治療だけでは済まされません。

Q. なんだか、人によって眼精疲労の対処法が違ってきそうですね?

A. 「眼科の受診」は、共通して言えることだと思います。ただし、「どうして目が頑張っているのか」という原因になってくると、環境だったり、隠れた目の病気だったり、合っていないメガネだったり、さまざまですよね。


富永 浩一郎 医師(富永クリニック眼科)

杏林大学医学部卒業。杏林大学医学部眼科学教室入局。米国留学後、眼科クリニック院長などを経た2014年、東京都港区に「富永クリニック眼科」開院。目についての正しい情報を提供し、快適な毎日が送れるべく、日々の医療に努めている。日本医師会、日本眼科学会、日本眼科医会の各会員。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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