猫背、 反り腰はなぜよくないの? 正しい姿勢について理学療法士が解説
「正しい姿勢ってどんな姿勢?」このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、猫背や反り腰がなぜ体に悪いのかと併せて、自宅でできる正しい姿勢のためのストレッチ運動についてご紹介します。
正しい姿勢と悪い姿勢
Q. 正しい姿勢とは、どのような状態でしょうか?
A. 正しい立ち姿勢とは壁に背中を当てて立った時に、頭・背中・お尻・踵の4箇所が全て壁につく状態、または椅子に座った時に、頭・背中・お尻の3箇所が全て背もたれにつく状態を言います。少ない筋力で効率よく姿勢を保てており、関節や内臓への負担がほとんど無い状態とも言えます。この姿勢確認は、簡単に行えるので、ぜひ一度ご自分の姿勢を確かめてみてください。
Q. 猫背や反り腰は、どうして体に悪いのでしょうか?
A. 人間の背骨は横から見た際に、緩いS字を描いています。猫背や反り腰になると、S字とは反対方向へと負担がかかったり、過度にS字が強調され、腰椎や胸椎に負担がかかったりしてしまいます。また、臓器に負担がかかり自律神経が乱れたり、呼吸が浅くなったりといった症状が起こる可能性もあります。
Q. 悪い姿勢は、ほかにどのような悪影響を及ぼしますか?
A. 悪い姿勢を長時間続けると筋肉が硬くなってしまい、血行不良になり疲労が蓄積しやすくなったり、肩こりや腰痛の原因になったりします。また、下を向いた姿勢が長く続くと、人は精神的に落ち込みやすくなるので、うつ病などの精神疾患にかかるリスクも高くなります。
なぜ姿勢は崩れるの?
Q. どうして悪い姿勢になってしまうのでしょうか?
A. 正しい姿勢を保つには、お腹側と背中側の筋肉のバランスが重要になってきます。しかし、加齢や運動不足などにより筋力が低下すると体を支えきれず、悪い姿勢となってしまいます。また、日常的な悪い姿勢が関節や骨の並びを歪ませてしまうこともあります。
Q. 長時間、正しい姿勢でいるのは疲れてしまうのですが、どうしたらいいのでしょうか?
A. 正しい姿勢でいると疲れるのは、姿勢を保つための筋力が衰えていたり、筋肉を正常に働かせるのに必要な関節や骨の並びが整っていなかったりするためです。そのため、体幹の筋肉を鍛えるストレッチ運動を行い、筋肉が働きやすいように整えていく必要があります。
Q. 姿勢が崩れがちなデスクワークで気をつけるポイントを教えてください。
A. パソコン作業の場合は、膝と股関節を約90度に曲げた状態で両足が地面につくように椅子の高さを調整し、目線が真っ直ぐになるようにモニターの高さも整えます。そして、骨盤を起こして座るといいでしょう。勉強などで机面を見る場合も、基本的な座り方は同じですが、肩に力が入りやすいため、机に腕がハの字になるようにして負担を減らすのがお勧めです。また、首を曲げると首の後ろの筋肉が緊張するため、顎を引き目線を下げて作業するといいでしょう。さらに、長時間同じ姿勢でいると、筋肉が疲労し悪い姿勢になってしまうため、適度に休憩を挟むことも大切です。
姿勢を良くする方法
Q. 猫背を改善する方法はありますか?
A. 猫背の方は、背中側の筋肉をストレッチするのがお勧めです。今回は、家庭でも簡単に行えるバスタオルを使用したストレッチ運動を紹介するので、ぜひ試してみてください。まず、丸めたバスタオルを横向きに置きます。そして、横にしたバスタオルに肩甲骨が当たるように仰向けで寝転がり、バンザイをするように両腕を上方へと1〜2分間伸ばします。また、腹筋や背筋運動で体幹の筋肉を鍛えると猫背予防になるので、併せて行うとさらに効果的です。
Q. 反り腰を改善する方法についても教えてください。
A. 反り腰は、特に骨盤から腰椎に付く筋肉が凝り固まることでなる可能性が高いため、腰回りの筋肉を緩めるストレッチ運動を行うといいでしょう。まずは、四つ這いになります。そして、ゆっくりと息を吐きながら背中を丸めていき3秒間キープします。その後、息をゆっくりと吸いながら背中を真っ直ぐ元に戻します。これを1分間、繰り返し行います。また、ハイヒールを履くことで腰椎の過度な前弯が起こり、反り腰を助長するため、ヒールが低い靴に変えるなど足元から見直すことも大切です。
Q. 正しい姿勢を維持するために、日常生活で気をつけることはありますか?
A. 日常生活では、足を組んで座ったり、長時間スマホをいじったりすることを控えるようにしましょう。足を組んで座ると骨盤周りの筋肉が緊張し硬くなるため、不良姿勢に繋がります。また、スマホを長時間使用すると無意識に肩へと力が入り、画面を覗き込む姿勢が猫背を助長してしまいます。日頃から、鏡などで自分の姿勢を確認してみるのも正しい姿勢を維持するために大切です。
中野渡慎也(理学療法士)
札幌医療リハビリ専門学校を卒業後、2015年4月より理学療法士として介護老人保健施設で勤務。2019年にはWEBライターとしても活動をスタート。日常の健康や医療に関する疑問を「分かりやすさ」にフォーカスし、理学療法士WEBライターとして活動中。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
※記事内容は執筆時点のものです。
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