肩こりや腰痛の「トリガーポイント」って何? 見つけ方や対処法を柔道整復師が解説!


肩こりや腰痛の「トリガーポイント」って何? 見つけ方や対処法を柔道整復師が解説!

肩こりや腰痛などでときどき耳にする「トリガーポイント」という言葉。なんとなく意味は想像つくものの、一体どういうことを示すのか、正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。

トリガーポイントとは?

Q. トリガーポイントとはなんですか?

A. まず、トリガーとは「引き金」という意味です。トリガーポイントとは、「痛みの引き金となる場所」のことであり、そこを刺激するとその部分だけでなく、遠隔部にも痛みや違和感を引き起こします。

Q. 自分で痛みなどの感覚が得られるポイントということですね。

A. そうです。そのように「それそれ!」と感じることを、専門的には認知覚と言います。その認知覚を得られる部分がトリガーポイントということになります。

Q. なぜ、遠隔部に痛みなどを引き起こすのですか?

A. トリガーポイントは筋肉などの深層部にあり、そこを刺激すると「それそれ!」という感覚が得られる箇所です。鍼灸の世界ではそのポイントのことを「阿是穴 (あぜけつ)」と呼びますが、これは中国語で「はい、そこです」という意味です。筋肉は連結しているため、阿是穴(筋硬結)を刺激すると連結している筋肉の遠隔部に症状が出ます。

Q. 具体的に、トリガーポイントは体のどこに存在するのでしょうか?

A. 研究では、主に人体の筋肉、腱、筋膜、靭帯などに形成されることがわかっています。特に多くできるのは、姿勢を維持するために使う筋肉や筋膜です。そもそも、トリガーポイントは筋収縮を頻繁に繰り返すことで負荷が積み重なり、血行や栄養が不良となって、筋肉が硬縮状態になった部位に発生します。同じ姿勢を長く続けると姿勢筋が過度に緊張するため、肩周りや腰などにトリガーポイントができやすいのです。

Q. トリガーポイントは自分でも見つけることができますか?

A. 要領を抑えれば自分でも見つけることができます。

トリガーポイントの見つけ方

Q. トリガーポイントは、どのようにして見つけるのですか?

A. あくまでも私のやり方ですが、まずは痛い部分を含め、その周辺を触ってみます。例えば、肩が痛い場合には、肩関節の後ろだけではなく前や脇の下など、広くトリガーポイントを探してみます。すると、米粒大~うずら玉くらいのコリコリとしたものが見つかると思います。それがトリガーポイントであると考えます。

Q. そのほか、トリガーポイントを見つけるコツはありますか?

A. そのポイントを押したとき、痛みがほかの場所にも広がればトリガーポイントである可能性が高いと思います。それ以外にも、筋肉を縮めたときに症状が出るポイントを探す方法もあります。

Q. 肩こりの場合、トリガーポイントはどのあたりにあることが多いのですか?

A. 肩甲骨に沿って見つかることが多いと思います。また、首の付け根と肩先を結んだ線の中央あたりにある肩井(けんせい)というツボあたりに見つかることもあります。そのほか、首の裏の、後頭部に近いところにもトリガーポイントが見つかることもあります。

Q. 腰痛の場合には、どのあたりにトリガーポイントがあるのですか?

A. 腰が痛い場合には、腰椎に沿って広く探してみます。骨盤の外側にある腸骨と骨盤の中心にある仙骨を結ぶ仙腸関節のあたりに見つかることもありますし、背中の中央やお尻のあたりに見つかることもあります。

トリガーポイントの改善法と注意点

Q. トリガーポイントを放置するとどうなるのですか?

A. 痛みが慢性化するだけでなく、トリガーポイントを中心に筋肉がこわばって硬くなり、関節の可動域が制限されたり、血行障害をもたらしたりします。また、痛みが広範囲に広がったり、疲労感、冷え、自律神経の乱れ、筋力低下などを引き起こしたりすることもあります。頭痛やめまいのほか、腰にトリガーポイントがあれば下肢のしびれや痛みが生じることもあります。

Q. トリガーポイントはどのように改善するのですか?

A. 鍼灸やマッサージのほか、トリガーポイント注射や筋膜リリースなどの施術があります。また、患部に超音波を当て、深部の筋肉にアプローチをするという方法もあります。それぞれメリットが異なりますので、症状などに応じて選択しましょう。

Q. 一度の施術で良くなるのでしょうか?

A. 場合によっては施術を一度受けただけで、劇的に症状が改善することもあります。反対に、複数回の施術が必要な場合もあります。特に複数のトリガーポイントが関与している場合は、症状が長引くこともあるでしょう。根気良く続け、症状の改善を目指しましょう。

Q. トリガーポイントができないように気をつけることはありますか?

A.正しい姿勢を維持すること」と「適度な運動をすること」が大切です。特に運動不足の状態が続くと体内に老廃物が溜まって筋肉が硬くなったり、筋力が低下して正しい姿勢を維持するのが難しくなったりします。また、「ストレスを溜めないこと」「良質な睡眠をとること」「栄養状態をよくすること」なども心がけましょう。


金井 修(にしはち鍼灸整骨院)

東京医療専門学校卒業。その後、計15年間都内の整骨院に勤務し経験を積む。2005年、東京都八王子市に「にしはち鍼灸整骨院」を開院。柔道整復師。鍼灸師。


引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より

※記事内容は執筆時点のものです。
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