肩こりを解消したい! 自分でできる正しいマッサージを教えて!
厚生労働省の2019年国民生活基礎調査によると、自覚症状がある体の不調で、男性は二位が「肩こり」、女性は一位が「肩こり」となっており、大変多くの人が肩こりに悩んでいることが分かります。今回は自分でできる正しいマッサージ方法をご紹介します。
自分でできる肩こりの正しいマッサージ方法とは
Q. 肩こりがひどいのですが、そもそもなぜこんなに肩が凝るのでしょうか?
A. 肩こりは筋肉の血行不良が大きな原因です。筋肉は運動を通して伸び縮みすることで血液がめぐり、柔軟な状態を保ちます。しかし、筋肉をあまり動かさないでいると、血液のめぐりが悪くなり、その結果、凝りや痛みといった様々な不調が出てきます。そのため、肩こり解消のためには、マッサージなどで筋肉の血流をよくすることが重要です。
Q. 肩こりを解消するための正しいマッサージ方法を教えてください。
A. 肩こりに一番関係する筋肉は首から肩にかけた「僧帽筋」です。この「僧帽筋」をほぐすことが肩こり解消のためには重要です。「僧帽筋」をほぐすには、シンプルに自分の手で反対側の肩を優しく揉むのがおすすめです。具体的には、机の前に座った状態で揉まれる方の肩の肘を机の上に乗せ、1セット10〜15回ほど揉んでください。揉まれる方の肩に力が入らないようにし、痛みがでない程度の強さで優しく揉むのがポイントです。
Q. そのほかにも簡単にできる方法はありますか?
A. 「肩すくめ運動」がおすすめです。これは、マッサージというより肩の筋肉を動かすことでマッサージ効果を期待する方法です。具体的には、両肩をリラックスさせた状態で、肩をすくめるようにゆっくりと上げます。これを1セット10〜15回程度ゆっくり息をしながら行います。マッサージよりも簡単にでき、肩こりに対する効果も高いため、ぜひ日常的に取り入れてみてください。
Q. 肩から背中にかけて凝るのですが、それを解決するために自分でできる方法はありますか?
A. 背中の凝りには「肩甲骨を寄せる運動」がおすすめです。先程紹介したマッサージと運動は「僧帽筋」という首から肩にかけての筋肉をほぐす方法ですが、こちらは、「肩甲骨周りの筋肉」をほぐす方法で、背中の凝りが強い人に向いています。具体的には、両側の肩甲骨をゆっくりと背骨に向かって寄せ、気持ち良いと感じる程度で1セット10回ほど行います。ポイントとしては「肩を動かすではなく」、「肩甲骨を動かす」イメージでやることでより高い効果が得られます。
グッズを使った肩こり解消方法
Q. 肩こり解消グッズもたくさん販売されていますが、グッズを使った肩こり解消方法はありますか?
A. フォームローラーという表面に凹凸がある筒状の道具がおすすめです。筋肉には、「筋膜」という筋肉を覆っている膜があります。フォームローラーはその「筋膜」をほぐすのに効果的な道具になります。スポーツ用品店やネット通販で比較的安価に購入が可能です。
Q. フォームローラーを使った肩こり解消方法を教えてください。
A. まず、フォームローラーを首の下においた状態で、仰向けになります。その状態で、ゆっくり首を左右に振り、首回りの筋肉をほぐすようなイメージで首回りの筋肉を当てていきます。これをゆっくりと10〜20回程度行います。首回りの筋肉は繊細なので、強くしすぎないように注意してください。また、首の凝りが強い方は、筋肉がほぐれやすくなるお風呂上がりに行うと効果的です。
Q. 肩、背中の凝りに対しても使えますか?
A. はい。フォームローラーを肩甲骨のあたりに当てるように仰向けになり、手を頭の後ろで組みます。その状態でコロコロとフォームローラーを上下に動かし、肩から背中の筋肉をほぐすように当てます。これも、1セット10〜20回程度行います。もしフォームローラーがない場合は、テニスボールでも代用可能です。テニスボールを肩甲骨の内側に置いて、コロコロと筋肉に押し当てることで先程紹介した方法と同様の効果が期待できます。
肩こり解消のために普段からできること
Q. 1日どれくらいの頻度で行えばいいですか?
A. マッサージや肩の運動は、頻度に関して特に決まりはないため、気がついたらやってみてください。簡単にできるので、通勤の電車を待っているときやエレベーターに乗っているときなど、毎日のルーティーンの中に組み込んでしまうのがおすすめです。デスクワークをされている方は、30〜60分に1回程度を目安にやってみるといいでしょう。フォームローラーは1日に何度も行うのではなく、毎日継続することが大切です。1日の終わりに行い、毎日継続することでかなりの効果が期待できます。
Q. 肩こり解消のために普段から意識した方がいいことはありますか?
A. 運動習慣を持つことは大切です。運動習慣があれば、肩周りの血流がよくなり筋肉の柔軟性が高まります。また、体幹が鍛えられ、猫背になりにくくなるので、肩こりになりにくい体をつくることができます。
Q. 肩こり解消にはマッサージや運動に加え、道具を併用していくのがいいということでしょうか?
A. その通りです。マッサージはもちろん効果的ですが、マッサージだけでは根本的な肩こりの解消にはなりません。また、運動を続けるのが難しい方は、道具を使って筋肉をほぐし、肩を楽にすることを習慣化して肩こりに悩まされない体をつくっていきましょう。
西野 英行(理学療法士)
リハビリ専門病院と訪問看護ステーションで理学療法士として10年以上勤務。障がい者や高齢者と深く関わる中で、身体と心の健康を通してより良い生き方を追求する。リハビリだけでなく、オンラインスクール運営、セミナー講師、メディア運営、執筆、出版など多方面で活動。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
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