「繰り返すぎっくり腰…」原因や再発を防ぐ方法を整骨院院長が解説
強烈な痛みに襲われる「ぎっくり腰」。かがんだときや遠くの物を取ろうとした瞬間など、ふとしたタイミングでぎっくり腰を発症したことがある人も多いと思います。ぎっくり腰は再発リスクが高いのが厄介です。
なぜ、ぎっくり腰が起きるのか?
Q. ぎっくり腰の原因はなんですか?
A. 腰周りに大きな力がかかることにより、関節や椎間板、腱、靱帯などが損傷を受けることで発症します。しかし、その背後にあるのは「筋力の衰え」です。とくに腹横筋や腸腰筋など、体の深部にある筋肉が衰えると、ほかの筋肉がその分も頑張らなければなりません。このようにサボっている筋肉と頑張りすぎる筋肉の差が、痛みを引き起こすとされています。
Q. どんなシチュエーションでぎっくり腰が起きるのですか?
A. ぎっくり腰が発症するシーンは様々です。例えば、重い物を持ち上げたときに発症する人がいます。ほかにも、かがんだときや立ち上がろうとしたとき、くしゃみをしたとき、物を取ろうとしたとき、歯磨きをしているときなど、日常のふとした瞬間に発症します。
Q. ぎっくり腰の前兆はあるのですか?
A. 人によっては、ぎっくり腰を発症する前に、 腰に重だるさを感じることもあります。その一方、全く前兆がない人もいます。
Q. そもそも、ぎっくり腰とは正式な疾患名なのですか?
A. いいえ。ぎっくり腰は通称であり、医学的には「急性腰痛症」または「腰椎捻挫」と言います。
Q. ぎっくり腰になると、どのような症状がみられるのですか?
A.
ぎっくり腰の症状には、以下のようなものがあります。
・突然激痛に襲われて、身動きできなくなる
・体を反らせたり、おじぎをしたりすると腰が痛い
・体勢を変えた瞬間、腰に激痛が走る
・最初は「腰が重い」「腰に違和感がある」くらいだったが、時間が経つにつれて痛みに変わった
ぎっくり腰の治療法
Q. ぎっくり腰はどのように治療するのですか?
A. ぎっくり腰を発症した当日から翌日までは痛みが強く、体を動かすことができないことも多いと思います。この時期を「急性期」と言い、無理せず安静にすることが大切です。腰が痛くて横になれないという場合には、腰を軽く曲げて横向きの体勢をとると、腰の負担が軽減されます。
Q. 冷やすのと温めるのでは、どちらがいいのですか?
A. 急性期は患部で炎症が起きているので、冷やすと炎症を鎮静させることができます。ただし、よく保冷剤を使う人もいますが、それだと温度が低すぎます。炎症を取るには0℃付近がいいとされています。そして、冷やすのに最もおすすめなのが「氷嚢(ひょうのう)」です。氷をビニール袋などに詰めて、患部に当てて冷やしましょう。
Q. 痛みが落ち着いたら、どのようにしたらいいでしょうか?
A. 安静にしすぎると、逆に治りを遅くします。もし体を動かすことができるなら、整形外科や整骨院などを受診して、専門家の指導のもとで運動療法やストレッチなどをおこないましょう。
Q. 痛みが残っていても安静にせず、治療を開始した方がいいのですか?
A. そう思います。できるだけ早く治療を開始することが、速やかな治癒につながります。痛みが残っているときには、その状況に適した治療法がありますから、ぜひ治療を開始してほしいと思います。
Q. だいたい何日で治りますか?
A. 多くの場合、1~2週間で症状が落ち着きます。ただし、ぎっくり腰と間違いやすい疾患に「椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」があります。1~2週間経っても症状が治らなかったり、症状が悪化したりする場合には、これらの疾患の可能性もあります。適切な治療が必要となるので、念のため整形外科を受診して診察を受けましょう。
ぎっくり腰は再発する? 予防するためには?
Q. ぎっくり腰は再発しやすいと聞きました。本当ですか?
A. はい。一度ぎっくり腰を発症した人は再発しやすいとされています。ぎっくり腰を発症すると、その後の1年間で約1/4の人が再発するという説もあります。
Q. なぜ、再発しやすいのですか?
A. 先述したとおり、ぎっくり腰が発症した原因は「サボっている筋肉」と「頑張りすぎている筋肉」があることです。つまり、サボっている筋肉を働かせない限り、どこかの筋肉がその働きを担わなければなりません。そうなると、頑張りすぎている筋肉に負担がかかって、痛みなどの症状が出てしまいます。「サボっている筋肉」を働かせるための運動療法やリハビリをおこなわない限り、ぎっくり腰は再発を繰り返しやすいのです。
Q. 再発させないためにはどうしたらいいでしょうか?
A. まずは適度に筋力や柔軟性を養い、身体機能を回復させることが重要です。ときに、ぎっくり腰を発症した後は「安静にした方がいい」と考え、運動を休んでしまう人が多いのですが、そうすると余計に筋力や柔軟性は衰え、ぎっくり腰の再発リスクが高まります。急性期を超えたらできるだけ早く運動を開始し、筋力や柔軟性の衰えを防ぐことが大切です。
Q. そのほか、どんなことに気をつければいいでしょうか?
A. 肥満の人は腰に負担がかかりやすくなるため、減量をおこないましょう。また、前屈みや中腰など、腰に負担となる姿勢や動作を避けることも大切です。
水野 雄介(あおぞら整骨院)
柔道整復師。静岡県浜松市に「あおぞら整骨院」を開院。「心こそ大切なれ」をモットーに患者さんと接して、適切な施術を提供する。
引用:「Medical DOC(メディカルドック) - 医療メディア」より
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