若々しい歩き方とは?① 〜歩行速度 編〜



歩くことの重要性は、医学の父ヒポクラテスの時代から「人間にとって最良の薬」と言われており、”健康維持に歩く”という行為が重要であることについては異論がないと思います。1日何歩歩けば良いのかという疑問はあるとは思いますが、日々、1万歩を目標に歩いている方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、同じ1万歩を歩くなら、若々しく見られたい、または、様々な健康課題の予防になるような歩き方で歩きたいと思いませんか? 歩き方で人からの見られ方は変わらないと思う方もいるかもしれませんが、周りで歩いている人を見てください。若々しく見える方とそうでない方がいると思います。

花王は、歩行基礎力測定会(※1)というサービスと、その開発を通じて多くの方々の歩き方を計測し、アドバイスを実施し、その成果を論文として発表してきました(※2)。そこで、この5週間に渡って配信する全5つのコラムを通じて、加齢を軸に若々しい歩き方の指標について知り、クイズを通じてさらに理解し、歩行年齢測定ミッションで実際に測り、ご自身の歩行を変えていく体験してもらおうと思っています。この全コラムを完了するころには、歩行の指標と加齢の変化の関係を理解し、若々しい歩き方についてや、自分や周りの人の歩き方についても、見方が変わると思います。どんな指標に注目して若々しい歩き方を評価すれば良いのか、実際に自分の歩きを測って理解しながら一緒に考えてみましょう。

「歩行速度」とは?


順番に、歩き方の指標を理解していきたいと思いますが、まず、歩き方の代表的な指標として、「歩行速度」から始めましょう。実は、この歩行速度に関しては多くの研究結果が存在しています。65 歳以降で徐々に低下してくることや(※3)、速く歩けることで、寿命の延伸やサクセスフルエイジング(がん、糖尿病、心臓疾患、脳疾患などの病気や認知障害がなく健康な状態で年を取る事)達成率の向上などが認められており、歩行速度の低下が転倒や認知機能低下などのリスク因子となるため、歩行速度は、体温、血圧、脈拍、呼吸数、痛みに並ぶ第6のバイタルサインとまで言われています(※4)。歩行速度の目安としては、横断歩道を渡ることが可能な時速3.6 kmが良く知られており、この歩行速度を下回ることはサルコペニア(筋減弱症)やフレイル(虚弱)の判定項目の1つにもなっています。では、歩行速度が速ければ若々しい歩き方なのか、というとそれだけではありません。これについては第2回以降でお話しします。

どうやって、歩行速度を測るの?

さて、歩き方の測定については、インソールにセンサーを装着するサービスや、撮影された画像を解析するサービス、さらに、歩行専門のトレーニングサービスも存在しています。これらのサービスはまだまだ浸透しておらず、多くの人が自分の歩き方を測定したことがないと思います。本キャンペーンでは、スマホだけで歩き方を測定出来る技術『Walk Coordinator』を活用し、どなたでもすぐに歩き方の確認が可能になっていますので安心ください(※5)。

歩き方を測るうえで、ひとつ、注意点があります。それは歩き方は自分の意志で、ある程度コントロール可能という点です。一般的には制御可能な5 mや10 mという比較的短い距離で計測された歩行速度よりも、意識しつづけることが難しい日常生活中での歩行速度のほうが遅くなることが報告されています(※6)(※7)。そのため、日常生活に近い条件でなるべく意識せずに歩き方を計測することで、本来の自分の歩き方を知る事が出来ます。前置きが長くなりましたが、まずはご自身の現状の歩き方を測定し、歩行年齢を確認してみましょう。

※歩行測定ミッションはキャンペーン期間内の毎週金曜日~日曜日に配信されますのでご留意ください。

執筆者の紹介

花王株式会社
ヒューマンヘルスケア研究所
須藤 元喜

2001年、花王入社、基礎研究部門を経て、商品開発部門に移り、ヘルスケア商品の開発に従事。今まで、メリーズ、リリーフ、Sooクールローション、リファインなどの商品開発に関わったほか、歩行基礎力測定、ホコタッチなどの歩行モニタリングサービス開発を手掛ける。

【参照・参考】
(※1)サービスの特徴 | 歩行基礎力測定サービス (hocotouch.jp)
(※2)花王 | 栄養代謝の研究開発 | 歩行や運動習慣に関する論文情報 (kao.com)
(※3)高齢者の歩行能力と病気の関連 | 健康長寿ネット (tyojyu.or.jp)
(※4)運動分析学入門:歩行を測る (umin.ac.jp)
(※5)花王 | 関節の動きを解析する「歩行メカニクスモニタリング技術」を確立 スマホをお腹に抱えて8歩歩くだけで歩行の姿勢や癖を見える化 (kao.com)
(※6)日本人女性における日常歩行速度と歩容との関連 | CiNii Research
(※7)Relationship between Daily and In-laboratory Gait Speed among Healthy Community-dwelling Older Adults - PubMed (nih.gov)